皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
kanamoriさん |
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平均点: 5.89点 | 書評数: 2426件 |
No.526 | 5点 | 悪魔のひじの家- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/23 20:12 |
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60年代以降の後期の作品のなかでは比較的出来がいいと思いますが、密室トリックは多少改変されていても自身旧作の使い回しですので、カーを読みなれた人は察するのは容易だと思います。
犯人の意外性を追求する姿勢は変わっていませんが、隠蔽手段として関係者の嘘の証言が関わっている点は感心できません。 |
No.525 | 7点 | 囁く影- ジョン・ディクスン・カー | 2010/06/23 18:55 |
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パリ郊外の古塔最上階での不可能殺人をフェル博士が解く本格編で、中期の佳作だと思いました。
吸血鬼伝説は添えものという感じですが、物語導入部のミステリアスな情景描写や殺人クラブの雰囲気から引き込まれます。 カーの描く若い女性像はいつも類型的ですが、本書のヒロインのフェイ・ノートンの造形は異質で、あるミスディレクションに寄与していると思います。 |
No.524 | 5点 | 砂楼に登りし者たち- 獅子宮敏彦 | 2010/06/22 20:40 |
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室町時代~戦国時代を舞台背景にした本格ミステリ連作短編集。
4編ともトリックに工夫を凝らしていて、「美濃蛇念堂」の雪の密室状況の意外な真相など、そこそこ面白い。 一方、歴史ものとして見た場合、登場する実在の人物(らしい)がマイナーでマニアック過ぎるのであまり興味が湧かない。この辺の歴史ネタに通じた人がどれだけいるか、ちょっと疑問です。 |
No.523 | 6点 | 未来警察殺人課- 都筑道夫 | 2010/06/22 20:16 |
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作者の守備範囲は非常に広くて、ロジック重視の本格ミステリをはじめ、SF、ホラー、、ハードボイルド、アクション小説、時代小説など、あらゆるジャンルのエンタテイメント小説を書いています。
本書は、第二の地球を舞台にしたSFハードボイルドの連作短編集で、ロジックよりプロット重視ですが、各編ひねりを加えていて結末の意外性にも配慮したミステリの好短編集でした。 |
No.522 | 6点 | 奥の細道殺人事件- 斎藤栄 | 2010/06/22 18:49 |
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松尾芭蕉=忍者説や汚水公害問題など色々な題材が織り込まれていて、作者の作品のなかではまずまず面白く読めました。
ミステリの趣向としては芭蕉ノートの暗号はともかく、死んだ容疑者のアリバイ崩しや反則すれすれの意外な犯人の設定(ちょっと伏線が不足ぎみですが)など、初期作らしい本格度の高い内容でした。 |
No.521 | 5点 | 夏の終る日- 仁木悦子 | 2010/06/22 18:27 |
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ミステリ連作短編集(角川文庫版)。
シリーズ・キャラクターの一人、私立探偵・三影潤もの5編が収録されています。探偵の職業からハードボイルドと見られがちですが、この短編集を読む限り文体にそのテイストはあまり感じられません。 浮気調査や失踪人探しを発端にいずれも殺人事件に巻き込まれるサスペンスで、本格度は薄めでした。 |
No.520 | 6点 | あきらめのよい相談者- 剣持鷹士 | 2010/06/22 18:11 |
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軽いタッチで日常の謎を解く、いかにも東京創元社という連作短編集でした。
若手弁護士が探偵役の友人に奇妙な事象について相談するというパターン4編が収録されています。 犯人は分かるが被害者が不明という安楽椅子もの「あきらめの悪い相談者」が個人的ベスト。 |
No.519 | 8点 | ナイルに死す- アガサ・クリスティー | 2010/06/21 23:58 |
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クリステイの特質が非常によく出ている佳作だと思います。
主要登場人物の造形の書き込みが丁寧で、それを逆手にとって読者をミスリードする技巧がさえています。 殺人事件がなかなか起こりませんが、序盤から旅情ロマンとサスペンスに気を配っていて、物語に引き込まれました。 |
No.518 | 7点 | 白昼の悪魔- アガサ・クリスティー | 2010/06/21 23:37 |
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非常にオーソドックスで端正な本格ミステリという印象です。
だいぶ前に読んだので記憶が定かではありませんが、リゾート島という舞台や、アリバイ・トリックの使い方がクリスチアナ・ブランドの某作にそっくりだと感じました。 |
No.517 | 7点 | オリエント急行の殺人- アガサ・クリスティー | 2010/06/21 23:19 |
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「アクロイド殺し」もそうですが、本書のような大仕掛けがある作品は、物語の中盤が間延びしているように感じられます。
浮かんだアイデアに作者自身が舞い上がってしまい物語性が疎かになった訳ではないでしょうが、同じトラベル・ミステリの「ナイルに死す」などと比べると旅情性とか人物の書き込みが弱いという印象です。まあ、人物描写に関しては主役級が多いという事情があったかもしれませんが。 |
No.516 | 7点 | アクロイド殺し- アガサ・クリスティー | 2010/06/21 19:03 |
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この作品の仕掛けは読む前から知っていましたが、作者の技巧の数々をニヤニヤしながら読めました。物語中盤ちょっとダレるところもありますが、結構楽しめたように思います。
語り手をヘイスティングズにしていれば大傑作になっていたんじゃあないでしょうか(笑)。 |
No.515 | 6点 | 貴族探偵- 麻耶雄嵩 | 2010/06/21 18:33 |
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主人公の貴族探偵は、事件の証拠集めどころか推理や真相の開陳まで使用人たちに委ね、自分は女性を口説く事に専念、という人を食った設定で、究極の安楽椅子探偵ものです(笑)。
収録作品自体は、些細なことから真相に到達するというパターンで、案外まともなロジック中心のものが多かった。 なかでは「こうもり」が、既読感のあるトリックながら著者らしさが一番出た作品だと思います。 |
No.514 | 5点 | 明日の空- 貫井徳郎 | 2010/06/21 18:06 |
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帰国子女を主人公にした青春ミステリ風の物語に、短編向きの××ネタを織り込んだミステリ。
読みやすいのはいいんですが、最近流行りの同じようなミステリに食傷ぎみなので、あまり楽しめなかったですね。 |
No.513 | 7点 | ABC殺人事件- アガサ・クリスティー | 2010/06/21 00:13 |
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連続殺人の動機はどう見ても無茶ですが、ミステリのアイデアは最初に書いたもの勝ちという所があるので、後続の作家がいくらすばらしい改良作を書いても、やはり本書の価値は変わらないと思います。
最後のほうで、カスト氏の頭痛の原因についてポアロが示唆するシーンとか、作者が細かい点に気を配っている所が妙に印象に残っています。 |
No.512 | 7点 | 五匹の子豚- アガサ・クリスティー | 2010/06/20 18:58 |
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物語としては地味ですが、なぜか非常に印象に残っている作品です。
いわゆる「回想の殺人」テーマのミステリで、ポアロが16年前の殺人事件の裏の真実を突きとめるために、当時の5人の関係者から次々と証言を得ていく話で、のちに女史の中期以降の作品でたびたび書かれたお得意のプロットです。 大仕掛けだけがミステリの魅力ではないことを証明する逸品だと思います。 |
No.511 | 5点 | カーテン ポアロ最後の事件- アガサ・クリスティー | 2010/06/20 18:28 |
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本書が早川書房から単行本で出るときに、新聞各紙が大々的にある人物の訃報記事を載せていました。帯の惹句にも堂々と掲げていましたから問題ないとはいえ、ミステリ史上唯一の発売前に世界中にネタバレされた作品です(笑)。
ミステリとしてはその趣向以外とくに読みどころのない作品でした。 |
No.510 | 6点 | 鏡は横にひび割れて- アガサ・クリスティー | 2010/06/20 17:47 |
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映画は見ていないけれど、伏線のアレが出てきた段階で「何故?」がなんとなく分かってしまいました。
ホワイダニット一本勝負の作品ですが、それでも結構面白く読めた記憶があります。 ミス・マープルものでは比較的好きな作品です。 |
No.509 | 7点 | 苦い林檎酒- ピーター・ラヴゼイ | 2010/06/20 17:15 |
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ラヴゼイのこれまでの作家活動を見てみると、ほぼ10年単位で作風とキャラ設定が変遷しているのが分かり興味深い。
70年代はクリップ巡査部長のヴィクトリア朝歴史ミステリ、90年代以降はダイヤモンド警視の現代ものミステリ。 で、その間の80年代がノンシリーズの歴史ものを多く書いていて、この時期の作品に本書を含むサスペンスの傑作が多いと思います。 本書はクックの記憶シリーズを思わせるプロットで、主人公の一人称形式で戦時中の少年時代に関わった殺人事件の真相を、回想し紐解いていくというもの。 地味ですが読み心地の良い、上質のサスペンス小説だと思います。 |
No.508 | 7点 | 自殺の殺人- エリザベス・フェラーズ | 2010/06/20 16:39 |
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素人探偵コンビ・トビー&ジョージ、シリーズ第3弾。
ふたりが一旦助けた身投げ自殺未遂男の死の謎を巡って推論を重ねていく本格編。 自殺か、他殺か、他殺に見せかけた自殺か、自殺に見せかけた他殺か、三転四転していくプロットがなかなか面白かった。 |
No.507 | 6点 | この町の誰かが- ヒラリー・ウォー | 2010/06/20 16:20 |
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田舎町の少女惨殺事件を町の人々へのインタビュー形式による会話体だけで描いています。
著者晩年の作品なのに、このような実験作を試みる創作姿勢に感心しますが、ドキュメントタッチの構成が物語に緊迫感を与えていてサスペンスを盛り上げていると思います。 |