皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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kanamoriさん |
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| 平均点: 5.88点 | 書評数: 2475件 |
| No.1315 | 6点 | クリスマス・イヴ- 岡嶋二人 | 2010/12/24 18:00 |
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| クリスマス・イヴに吹雪の別荘で、若い男女が殺人鬼に襲われる一夜の顛末を描いただけのスプラッタ・ホラー。
巧妙なトリックや捻った仕掛けもない非常にシンプルなホラー・サスペンスなので、他の岡嶋作品のような作風を期待するとガッカリ感があるかも知れませんが、単純なプロットをこれだけ一気に読ませるストーリーに仕上げた点は評価したいです。 |
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| No.1314 | 7点 | 暑いクリスマス- ジェイムズ・マクルーア | 2010/12/23 10:46 |
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| 今年一番の猛暑を記録したクリスマス直前の夜、役所勤務の青年殺害事件の捜査に取り掛かったクレイマー警部補は、上からの命令で突如交通事故担当に回される、というのがあらすじです。
警察小説というと、謎解き要素が物足りないものが多いように思いますが、本書は、70年代のこの国の”警察国家体制”をミスディレクションにしたようなフー&ホワイダニットものの本格ミステリの傑作でもあります。意外性と皮肉に満ちた結末が光っています。 クレイマーの部下で地元部族出身のゾンディ刑事が、容疑者を追う途上で“強制移住”の場面に遭遇するなど、この国の社会情勢が過不足なく描かれていますが、タイトルのクリスマスの描写はほとんどありません。真夏の南アフリカ共和国でも、サンタはあの服装なんだろうか。 |
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| No.1313 | 7点 | 悪の教典- 貴志祐介 | 2010/12/22 18:01 |
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| 前半、とくに物語の導入部は、読んでいてサイコサスペンスの傑作の予感がしました。
教頭や同僚教師からは信頼され、生徒の人気者である高校の英語教師・蓮実の造形が巧みです。第1章最後の鴉のエピソードを始め、章が進む毎に徐々に、サイコパスとしての蓮実の裏の顔が読者の面前に露わになっていく過程に引き込まれました。 しかし、下巻に入り「引き返し不能点」以降の、殺戮のサバイバル・ゲーム風の展開は少々工夫に欠け、「バトル・ロワイヤル」などの先行作品を想起させる点は大いにマイナス。 上下巻で850ページという長尺を感じさせないリーダビリティの高さは抜群で、なかなかの娯楽作品ではありました。 |
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| No.1312 | 6点 | ママのクリスマス- ジェームズ・ヤッフェ | 2010/12/21 18:00 |
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| 安楽椅子探偵”ママ”シリーズ、ロッキー山脈のふもとにある架空の町・メサグランデに舞台を移した長編の2作目。
背景にキリスト教とユダヤ教の微妙な関係という宗教・民族問題が絡むあたりは、とっつきにくい所がありますが、ミステリの構成としては手堅くまとまっていると思いました。 ”本当の真相”は息子のデイヴにも知らせないというラストの二段構成は、前作に続き長編でのパターンでしょうか。 |
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| No.1311 | 7点 | 産霊山秘録- 半村良 | 2010/12/20 18:00 |
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| 古代から日本の歴史の激動期に暗躍し、裏で歴史を動かしてきた<ヒの一族>について語られたSF伝奇小説。
荒唐無稽で壮大なホラ話。織田信長を中心とした戦国時代や、坂本龍馬の幕末を舞台とした章までの前半部は、謀略もの歴史ミステリとしても傑作。太平洋戦争以降は、若干テンションが落ちる印象は否めないが。 最後は、宇宙まで物語が展開して、後の大長編「妖星伝」に通じるところもありますが、月面に横たわるある人物という図は、「星を継ぐもの」を連想させました(笑)。 |
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| No.1310 | 6点 | マダム・タッソーがお待ちかね- ピーター・ラヴゼイ | 2010/12/19 18:08 |
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| ヴィクトリア朝ミステリ、クリッブ部長刑事シリーズ最後の8作目。
タッソーの蝋人形館には、極悪人の人形を飾った部屋があり、殺人の罪で処刑がまじかに迫った写真館の妻ミリアムの人形もそのうち陳列されるだろうという、タイトルにブラックなユーモアを感じます。 真相を隠蔽するミスディレクションの手法としては、クリスティ作品などで多用されたものですが、シリーズの中ではミステリ度が高く比較的まとまった佳作だと思います。 |
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| No.1309 | 5点 | 毎日が13日の金曜日- 都筑道夫 | 2010/12/19 17:40 |
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| 「殺人現場へ二十八歩」に続く”ホテル・ディック”シリーズの第2弾。
ホテル専属警備員の元刑事・田辺を主人公にした連作短編集で、活動型の「退職刑事」という雰囲気がありますが、ミステリとしても、ハードボイルドとしても軽めでした。 ホテル周辺の浅草風俗などの蘊蓄と語り口を楽しむタイプのミステリ。 |
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| No.1308 | 6点 | ロードサイド・クロス- ジェフリー・ディーヴァー | 2010/12/18 16:41 |
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| ”人間嘘発見器”キャサリン・ダンス特別捜査官シリーズの2作目。
「掲示板」サイトによるネットいじめが関係する殺人予告事件がメイン・ストーリー。交通事故被害者を慰霊するための薔薇で飾られた「路肩の十字架」が殺人予告に利用され、それがタイトルの意味。 どうしても、どんでん返しが約束されている前提で読むことになるので、今回は、作者が終盤近くまで引っ張るある構図の意図が判りやすくなっているように思います。ダンスの母親に関する安楽死疑惑というサブ・ストーリーはもっと膨らませてもよかった。 |
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| No.1307 | 6点 | Kの日々- 大沢在昌 | 2010/12/18 16:16 |
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| 消えた8000万円の争奪戦というクライム小説。
秘密を知る雑貨店経営の女性「K」を巡って、主人公の裏稼業探偵をはじめ、ヤクザ組長の息子、過去の誘拐に関わった男、悪徳警官など怪しげな男たちが蠢いて宝探しが始まる。 会話文主体のプロットはサクサク読めるし、その会話の裏の思惑を読み解きながら、徐々に構図が見えて来る構成は、ベテラン作家の円熟したテクニックを感じさせました。 Amazonの★数を見ると、いやに評価が低いのですが、そんなに酷い出来とは思わなかった。 |
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| No.1306 | 6点 | 天使の帰郷- キャロル・オコンネル | 2010/12/17 20:41 |
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| “氷の天使”キャシー・マロリー刑事シリーズの4作目。
今作は「探偵の帰郷」テーマ。NY市を離れ、幼いころ住んだルイジアナ州の町を舞台にして、17年前の母親惨殺事件の謎とマロリーの過去がストーリーの核になっています。カルト教団をはじめ個性的な田舎町の人々が多数登場するところは、女史のノン・シリーズ作品に近いテイストもあります。 復讐譚ながら、NYから追いかけてきた友人チャールズが、重い雰囲気を中和させる役割をしているように思います。 |
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| No.1305 | 5点 | このミステリーがすごい!2011年版- 雑誌、年間ベスト、定期刊行物 | 2010/12/16 18:41 |
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| 今年もこの時期がきましたか。
最近は、ネットで情報が氾濫しているので、ランキングに関しては以前と比べて興味が薄れてきましたが、それでも未読で読んでみたい作品が見つかるのでありがたいです。正月休みは、とりあえずジョン・ハートを遡って3冊かな。 しかし、今年の話題作よりも、興味の中心は来年の「我が社の隠し玉」ですね。 miniさんの丁寧なレヴューとダブりますが、やはりウィンズロウが大注目。「シブミ」の前日譚を書いたことも驚きですが、サーファー探偵の新シリーズが楽しみ。 あと、忘れたころのデニス・レヘイン。パトリック&アンジー・シリーズの最終?第6作が今頃出るとは思わなかった。 クラシック・マニア部門だと、チェスタトンの連作短編集(ブラウン神父付き)、クリスピンのフェン教授ものの短編集、パトリック・クェンティンなどに期待したい。 それにしても今年の裏表紙はいやに分厚いですね。100ページ分ぐらいの分量があります(笑)。 |
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| No.1304 | 7点 | 追悼者- 折原一 | 2010/12/16 18:00 |
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| 今回の三面記事シリーズの元ネタは「東電OL殺人事件」。
元ネタの事件同様に、真犯人の追及よりも、昼は有能なOLで夜は娼婦だったという被害者女性に焦点をあて、ノンフィクション作家らが、被害者の幼少から殺害直前までの過去を関係者から取材する構成になっています。 これはなかなかの傑作。インタビュー形式特有のある制限や、タイトルに通じる巧妙な仕掛けによって、折原作品の相当の通読者でもミスリードされるのではないかと思います。作者の近年の作品の中では出色の出来でしょう。 |
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| No.1303 | 6点 | 死の相続- セオドア・ロスコー | 2010/12/15 20:11 |
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| 西インド諸島・ハイチを舞台にした館ミステリ。
外では原住民の暴動が発生している最中、館では相続人が次々と奇怪な手段で殺され、ヴードゥー教やゾンビ登場という怪奇趣向が飛び出すというとんでもない展開で楽しめた。プロットが異常すぎて、オーソドックスな密室トリックが霞んでしまうほどです。 普通のクラシック・パズラーに飽き足らない方にお薦めの怪作。 |
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| No.1302 | 6点 | 今日を忘れた明日の僕へ- 黒田研二 | 2010/12/14 20:55 |
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| 事故によって記憶の蓄積ができない”前向性健忘症”になった主人公を巡る迷宮ミステリ。
タイトルは連城三紀彦風で、設定は北川歩実風。そして結末はやはり連城ばりの騙りで構図の反転を見せてくれます。一日たつと記憶がなくなるため主人公はある工夫をするわけですが、その小道具の使い方がうまいと思った。 |
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| No.1301 | 8点 | 墓場への切符- ローレンス・ブロック | 2010/12/13 20:26 |
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| 無免許の私立探偵マット・スカダーシリーズの第8作。
「スカダーとその女たちに死を!」というキャッチ・コピー通り、ハードボイルド小説の枠内にシリアルキラーを登場させた”倒錯三部作”の1作目です。 謎解きの要素はなく、刑事時代に逮捕した鬼畜系男モットリーがスカダーと関係者に復讐を企てるというサイコサスペンスの色合いが強いですが、スカダーの飲酒への衝動との戦いを交えながら、殺人鬼モットリーの標的で後に終生の伴侶となる娼婦エレインとのやり取り、凄腕の酒場店主ミック・バルーとの男の友情など、魅力的な人物が登場します。 本書がなければ、シリーズがこれほど長期に渡って書かれていなかったであろうと思われる重要な作品だと思います。 |
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| No.1300 | 6点 | 流星航路- 田中芳樹 | 2010/12/12 18:02 |
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| "李家豊”名義で探偵小説専門誌「幻影城」に発表された初期作品8編を収めた短編集。
なかでは、幻影城新人賞のSFミステリ「緑の草原に....」が出色の内容。地球に似た惑星へ降り立った調査隊全滅の謎、先住生物の正体の意外性、主人公のA級捜査官の正体の意外性など、伏線も充分でミステリ趣向が光っています。 その他、タイムマシンによる追跡劇で、駆け落ち男女の究極の逃亡手段が印象に残る「いつの日か、ふたたび」、後のSF冒険小説の原型ともいえる「懸賞金稼ぎ」「深紅の寒流」などバラエティに富む作品が揃っています。 なお、解説は幻影城新人賞同時受賞の連城三紀彦氏。 |
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| No.1299 | 6点 | 暗闇の薔薇- クリスチアナ・ブランド | 2010/12/12 18:02 |
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| ブランド最後の長編ミステリ。
嵐の夜、正体不明の男との車の交換場面やトランクの中からの死体出現など、なかなか魅力的な発端で期待を抱かせましたが、中盤以降は曖昧な状況が継続し少々退屈でした。 お得意の多重解決も、今作はあまりキレと説得力がないように感じましたが、女性主人公の周りから次々と友人がいなくなっていく終盤は一種異様な哀切感を醸し出していてよかった。 |
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| No.1298 | 5点 | 白い華燭- 嵯峨島昭 | 2010/12/12 18:01 |
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| 同じ酒島警視シリーズでも、後のおふざけミステリのテイストはなく、また官能シーンもない真っ当な?恋愛ミステリ。ただ、時代性ゆえの昼メロのような中盤の展開は少々痛い。
トリックは現代の法医学的に無理がある様に思いますが、真相は意表を突くもので、作者のミステリの中では最良作かもしれません。 |
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| No.1297 | 7点 | フランキー・マシーンの冬- ドン・ウィンズロウ | 2010/12/11 16:06 |
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| 元マフィアの凄腕殺し屋、隠退した62歳の”釣り餌屋のフランク”を主人公にしたクライム・ストーリー。
何者かに命を狙われ逃亡を重ねながら、首謀者を特定するため40年以上に渡るマフィア時代の過去を回想するという構成を取っています。 殺戮と裏切りの物語でありながら、現在形を多用した独特の軽快なリズムの文章はノワール性を感じさせず、一気に最後まで読み通させる牽引力がありました。遊び心や娯楽性に溢れているという点では、前作「犬の力」より本書のほうがウィンズロウらしい作品だと思った。 |
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| No.1296 | 6点 | 空白の研究- 逢坂剛 | 2010/12/10 18:34 |
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| 最初期のミステリ短編集。
精神分析鑑定を小道具にして、最後にサプライズを仕込んだ内容のものが多いが、出来不出来の作品が混在しているように思います。 個人的ベストは「美醜の探究」。醜男ばかりを狙う女性殺人鬼を扱ったサスペンスで、予想外の真相に驚く。叙述の仕掛けや伏線の張り方は本格ミステリそのもの。「真実の証明」も終盤のどんでん返しの連続技が楽しめました。 |
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