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kanamoriさん
平均点: 5.88点 書評数: 2474件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.454 5点 まぼろし砂絵- 都筑道夫 2010/06/09 20:59
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第7弾。
マンネリを嫌って趣向を変えた作品が目立つのですが、オカルト風の「熊坂長範」や「ばけもの寺」は本格ミステリから離れてしまっていて、本末転倒という感じです。
しかし、「人ごろし豆蔵」は初期の不可能興味を追求した作品に匹敵する読み応えのある密室殺人もので、編中のベストでしょう。

No.453 5点 かげろう砂絵- 都筑道夫 2010/06/09 20:40
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第6弾。
プロットが既読感のある作品が散見されますが、首切断の動機が意外な「水中花」や、ありきたりながら江戸時代ならOKなアイテムを使ったトリックの「ぎやまん燈籠」は、まずまずの出来ではないかと思います。

No.452 5点 きまぐれ砂絵- 都筑道夫 2010/06/09 20:20
なめくじ長屋捕物さわぎシリーズ第5弾。
収録作は、「長屋の花見」「舟徳」「高田の馬場」「野ざらし」「擬宝珠」「夢金」と並んでいて全編が落語を元ネタとした異色編です。
作者が楽しんで書いたことはわかりますが、ミステリの趣向としてはあまり大した出来のものがありませんでした。
落語好きなら、もう少し楽しめたかもしれませんが。

No.451 6点 みずほ荘殺人事件- 仁木悦子 2010/06/09 18:46
ミステリ短編集(角川文庫版)。
家族や町内のほんわかした人間関係を描いて、コージー的で暖かな印象がある作者のミステリですが、本書は濃いめの本格編が多く収録されています。
特に幻影城に掲載された「最も高級なゲーム」が顕著で、犯人当てで凝った仕掛けは従来の作者のテイストを逸脱しています。
ほかにも、表題作や「肌さむい夏」も現場見取図を掲載するなど、ディープな本格編で楽しめました。

No.450 4点 殺人はちょっと面倒- 小泉喜美子 2010/06/09 18:20
ミステリ短編集。比較的長めの短編4作収録されています。
女性誌に掲載された作品が多いためか、女性の複雑な心の揺らぎを描いた作品が目立ちます。
表題作の、恋人に裏切られた若い芸者のいじらしい決断や、「夜のジャスミン」の復讐のために住みこんだ家政婦の最後の行動などは、意表を突くというより肩透かしで、ミステリとして読むと期待はずれの感じを受けます。

No.449 5点 賭の季節- 佐野洋 2010/06/08 18:40
初期の長編ミステリ。
美人女優の双子の妹が姉に化けて、大会社の御曹司との結婚計画から姉の殺害計画まで発展していくストーリー。いかにも陳腐なサスペンス風で、計画の発案者である女優のマネージャーの思惑はミエミエと思いきや、結構ヒネリのあるミステリでした。
あいかわらず短めの長編なのであっけないですが。

No.448 3点 今宵、バーで謎解きを- 鯨統一郎 2010/06/08 18:13
桜川東子が探偵役を務めるバー・ミステリの第3弾。
今回はギリシャ神話を材料にマスターらヤクドシトリオが提出する現在の事件を推理するというパターン。
もう読むまいと思いながらも、つい手を出してしまう鯨統一郎のいつもながらのヌルい作品で、まじめに書評するのも憚れます。
もう読むまい。

No.447 6点 七色の密室- 佐野洋 2010/06/07 23:20
ミステリ連作短編集。
著者の短編集は「連作」のケースが非常に多い。同じ主人公を登場させる連作もありますが、本書の「密室」ように同一のテーマを設定した連作短編集が多いように思います。
タイトル通り密室もの7編が収録されていて、ストレートな本格編から倒叙形式のものまで、トリックだけでなく構成もバラエテイに富んでいて飽きさせない工夫がされている点が好印象でした。

No.446 7点 十八の夏- 光原百合 2010/06/07 22:55
ミステリ短編集。
協会賞受賞の表題作を含め4編収録されていて、瑞々しい文章で綴られた好短編集でした。
いずれも青春小説・恋愛小説として完成度が高い上に、最後にサプライズを自然な形で仕込んでいる。個人的ベストは、「ささやかな奇蹟」で、ネタがある程度分かっても物語そのものを面白く読めました。

No.445 5点 ヨコハマ幽霊ホテル- 山崎洋子 2010/06/07 18:54
乱歩賞受賞後1作目の長編ミステリ。
横浜の古いホテルのオーナーとなった若い女性が、殺人事件をはじめ次々と奇怪な事件に巻き込まれ・・・というストーリー。
個性豊かでいわくありげなホテルの住民たちやヒロインの造形など面白いし真相も巧く隠蔽されていますが、「犯人」の動機がいまいち納得いきませんでした。

No.444 8点 かげろう絵図- 松本清張 2010/06/07 18:30
徳川家斉が大御所として権力を握っていた時代を背景にした謀略系の時代小説。
次期将軍の座を巡って現将軍・家慶派と家斉派の権力闘争劇が現在の企業小説や政権争いを読むごとくで、めっぽう面白い。
特に、家斉の側室・お美代の方を中心とする大奥内の駆け引きや、お美代の養父・石翁の権力の盛衰などは非常に迫力あるスリリングな内容で、長大な小説をあっという間に読み終えることができた。
結末の付け方も、いかにも清張という幕引きだと思いました。

No.443 5点 一匹や二匹- 仁木悦子 2010/06/07 00:03
ミステリ短編集(角川文庫版)。
表題作のほかに、「坂道の子」「サンタクロースと握手しよう」「蒼ざめた時間」「縞模様のある手紙」の5編収録。
「一匹や二匹」は長編の秀作「二つの陰画」の探偵役だった櫟健介夫婦の息子が主人公の作品。子供が主人公だと描写が実に活き活きとしていて読んでいて楽しい。宮部みゆきの子供を主人公にしたミステリに通じる味わいがあります。

No.442 4点 白雪姫(角川文庫版)- 高木彬光 2010/06/06 23:41
神津恭介シリーズの短編集。
いずれも女性が重要な役割をする7つの短編が収録されていますが、神のごとき名探偵が扱うには小粒な話が多かったです。
表題作の「白雪姫」は雪の密室殺人を扱っていて比較的派手ですが、そのトリックは苦笑もので、現在こんなミステリを書けば袋叩きにされるでしょう。

No.441 5点 熱い視線- 北川歩実 2010/06/06 23:17
単行本未収録作品の短編集。
96年から02年の間に雑誌・アンソロジーに発表された作品が収録されていて、「視線」が緩いしばりのテーマとなっています。
ストーカー、人形、事件の目撃者などの視線を小道具にして、ヒネリのある結末を設定していてますが、持ち味(欠点?)の過剰などんでん返しの多用は抑えめになっているため、比較的読みやすい作品が多いと思います。
その分、コアな北川ファンは物足りない内容かも知れません。

No.440 6点 亜愛一郎の逃亡- 泡坂妻夫 2010/06/06 16:02
亜愛一郎シリーズの第3短編集。
前2作と比べて、ロジックの切れに物足りない感じを受ける作品が多く、連作物の物語性を楽しむ短編集かもしれません。
それでも、「飯鉢山山腹」や「火事酒屋」の逆説的ロジックは初期作を彷彿とさせる出来だと思います。

No.439 7点 亜愛一郎の転倒- 泡坂妻夫 2010/06/06 15:48
亜愛一郎シリーズの第2短編集。
続編なので「狼狽」で受けたほどの新鮮な驚きは受けませんでしたが、特異なロジックは健在だと思います。
トリックの豪快さで言えば「砂蛾家の消失」が一番だと思いますが、著者の持ち味が出ているのは、「藁の猫」と「病人に刃物」でしょうか。

No.438 9点 亜愛一郎の狼狽- 泡坂妻夫 2010/06/06 15:31
30年ほど前の初読時には変わった設定の不可能トリックもの「右腕山上空」や「掌上の黄金仮面」が好みでしたが、再読してみて他の作品の方が著者の持ち味が出ているように思えてきました。
「DL2号機事件」の狂人の論理はいまいちですが、「G線上の鼬」の伏線の見事さは編中随一、「掘出された童話」は暗号の原理のユニークさで記憶に残ります。
発表された時代を考慮し、思い入れもあるのでこの評価です。

No.437 7点 女郎ぐも- パトリック・クェンティン 2010/06/05 18:44
本書はダルース夫妻シリーズの掉尾を飾るサスペンスで、ウェッブ&ホイーラー合作の最終作ですが、内容は後のホイーラー単独作品の持ち味が多分に出ています。
アイリス不在中に世話をした、作家志願の娘を殺害した容疑をかけられた劇作家ピーターが真相を追うといった内容で、死んだ娘ナニーのとんでもない裏の顔が読みどころとなっている。
傑作「わが子は殺人者」には及びませんが、同種の巻き込まれ型サスペンスの先駆的作品といえそうです。

No.436 7点 ウェンズ氏の切り札- S=A・ステーマン 2010/06/05 18:16
ベルギーのエラリイ・クイーンことS=A・ステーマンの本格ミステリ、中編2作収録。
長めの中編「ウェンズ氏の切り札」は単純なトリックながら、大胆かつ巧妙な使い方に感心。伏線もていねいでなかなかの傑作だと思います。
併録の「ゼロ」は占い師の殺人予言ネタで、オカルト趣向とサスペンスに溢れている。真相もヒネリがある逸品でした。

No.435 5点 殺人者はまだ来ない- イザベル・B・マイヤーズ 2010/06/05 17:46
冷酷な大富豪の遺産相続をめぐる典型的な館ミステリ・・・という物語の滑り出しから、中盤になって前近代的な××術という禁じ手のアイテムが重要な役割を果たすようになって、ゴシック・サスペンス風の物語となります。
密室&アリバイ・トリックの解明など本格要素は充分にありましたが、本質的に古いタイプのミステリという感じでした。
クイーンの「ローマ帽子」との因縁とか翻訳が山村美紗という話題性はありますが、現在ではあまり評価できない内容です。

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