皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
文生さん |
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平均点: 5.85点 | 書評数: 456件 |
No.176 | 6点 | ウッドストック行最終バス- コリン・デクスター | 2020/08/04 19:56 |
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1万人の住人の中から容疑者を1人に絞り込むロジックには思わず笑ってしまいましたが、それ以外の仮説にはそれほど面白味を感じなかったのが残念です。二転三転する推理と聞いて『毒入りチョコレート事件』や『ギリシャ棺の謎』のように誤答の一つ一つに魅力のあるもの、あるいはもっとぶっとんだバカミスを想像していただけにその辺はちょっと期待外れでした。
ただ、唯一バカミスっぽかった1万人の絞り込みロジックや真相の意外性などを含め、全体的にはそこそこ楽しめた作品ではあります。 |
No.175 | 4点 | ヒトクイマジカル- 西尾維新 | 2020/08/03 11:20 |
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初期の西尾維新ならではの萌えキャラ殺しはかなりのインパクト。
ただ、読みどころはそれだけ。 シリーズ最初の2作とは違ってもはやミステリーとはいえず、かといって、伝奇バトルとしてもスケール感に乏しい中二理論満載のよくわからない戦闘で面白くない。 この作者にバトルものは向いていないと思う。 |
No.174 | 5点 | 狂い壁狂い窓- 竹本健治 | 2020/08/01 18:43 |
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じめっとした雰囲気の和風幻想ミステリーの味わいは評価できるものの、本格ミステリとしてはこれといって面白味を感じられなかったのが残念。 |
No.173 | 6点 | シャム双子の秘密- エラリイ・クイーン | 2020/08/01 18:25 |
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山火事に囲まれて逃げ場のない山荘で殺人事件が起きるという設定はかなりスリリングですし、終盤になるとクイーンが名探偵の存在意義に疑問を持つなど、後期クイーン問題の萌芽も見られます。読み応えという点ではなかなかの作品だといえるでしょう。
ただ、肝心の殺人事件を巡る推理がダーイングメッセージの解釈に終始するだけでかなり地味。 そこそこ楽しめはしたものの、できれば舞台装置に見合ったインパクトのある謎を用意してほしかったところです。 |
No.172 | 4点 | ミステリ・オペラ- 山田正紀 | 2020/07/31 07:36 |
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『神狩り』や『宝石泥棒』といった著者のSF小説が大好きで、しかも、日本推理作家協会賞と本格ミステリ大賞のダブル受賞ということで大いに期待して読んだわけですが、どうにも良さが理解できませんでした。
個々のエピソードはそれなりに読ませるものの、「ミステリーの形を借りて描いた昭和史」というテーマ性がまったくピンとこなくて、最後まで物語に入り込むことができなかったのです。 本格ミステリとしては個々のトリックが凡庸すぎるということもあり、自分にとってはイマイチな作品でした。 |
No.171 | 7点 | 密閉山脈- 森村誠一 | 2020/07/29 09:35 |
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雪の降り積もった山頂で男が殺され、死亡推定時刻以降に雪は降っていないはずなのに犯人の足跡が見当たらないという、いわゆる雪密室ミステリーです。
分かってみれば単純なトリックながらも、ディクスン・カーの『白い僧院の殺人』や『貴婦人として死ぬ』などと全く異なるアプローチに創意工夫の跡が見られ、好感が持てます。 |
No.170 | 8点 | エジプト十字架の秘密- エラリイ・クイーン | 2020/07/28 17:04 |
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無味乾燥で少々読みにくかった初期のクイーン作品に比べ、本作は連続首切り事件がサスペンスフルに描かれており、読んでいてぐいぐいと引き込まれていきました。
首のない死体ものとしてヒネリを加えたトリックにも驚かされます。 国名シリーズのなかでは一番好きな作品です。 |
No.169 | 8点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2020/07/27 09:54 |
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メイントリック自体はそこまですごいというわけではないのですが、倒叙風のプロットとの合わせ技で効果的に演出されているのが見事です。クセのある犯人像もインパクトがあり、さすがは代表作の一つに数えられているだけのことはあります。 |
No.168 | 3点 | 監獄島- 加賀美雅之 | 2020/07/27 09:38 |
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これほどまでに絶賛一辺倒なのがちょっと不思議な作品です。
自分の書きたいものを詰め込めるだけ詰め込むという姿勢はいいのですが、調理不足で小説としての完成度が今一つという印象を受けます。 ストーリーがやたらと冗長ですし、台詞などもわざとらしいほどに大時代的で読んでいてイラっとします。 肝心の不可能犯罪も偶然の要素が多すぎるのと独創的なアイディアに欠けるので高い点数はつけられません。 たとえ、既存のトリックでも使い方に工夫があればよいのですが、それも感じられませんでした。思い付きをそのまま、詰め込んだといった印象です。 全体として練り込み不足の感があり、一見豪華な肉料理だけど実は脂身ばかりの安肉を大量に食べているような感じで胃もたれを起こしそうでした。 作者が敬愛していたというディクスン・カーは自分も大好きなんですが、この作品は駄目でしたね。 |
No.167 | 6点 | 64(ロクヨン)- 横山秀夫 | 2017/11/11 07:05 |
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横山作品は骨太の人間ドラマとミステリーとしての仕掛けが両立している点が魅力であり、本作でもそれを十分に堪能することができる。ただ、いささかくどすぎる感もあり、ここまで長くする必要があったのかは疑問が残る。肝心の誘拐事件に関しても本格的に動き出すのがかなり終盤になってからなので、ミステリーと人間ドラマのバランスを欠いているようにも思う。半分の長さにすればもっと引き締まった作品になったのではないだろうか。 |
No.166 | 5点 | 致死海流- 森村誠一 | 2017/11/10 21:36 |
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森村誠一が本格色の強い作品を連発していたのは「高層の死角」から「日本アルプス殺人事件」までのわずか3年間であり、1972年に「腐蝕の構造」で日本推理作家協会賞を受賞してからは社会派に大きく舵を切っている。したがって、1978年の発表の本作は久しぶりの本格ミステリということになる。密室殺人とアリバイ崩しを盛り込んだ相変わらずの展開で楽しませてくれるものの、やはり初期作品と比べるとトリックが小粒になっており、アイディア枯渇の感は否めない。 |
No.165 | 6点 | 新幹線殺人事件- 森村誠一 | 2017/11/10 21:18 |
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第1の殺人と第2の殺人にそれぞれ鉄壁のアリバイが用意されているという初期森村作品らしいトリック大盤振る舞いの作品。ただ、最初のアリバイの方は凝った作りではあるものの、アリバイに共犯者が必要だという点がちょっとマイナス。第2のアリバイの方はアイデアはユニークだが、それを実行するにはあまりにもリスキーな気がする。力作ではあるけれど、傑作と呼ぶにはあと一歩及ばないといった感じです。 |
No.164 | 4点 | 宇宙捜査艦「ギガンテス」- 二階堂黎人 | 2017/11/10 20:36 |
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汎用小型宇宙惑星で起きた不可能犯罪に挑む宇宙捜査艦《ギガンテス》の活躍を描いたSFミステリー。しかし、SF的アイデアもミステリーとしてもの仕掛けもいささか凡庸でわざわざSF仕立てにした意味があまり感じられなかった。全体的にイマイチ感の漂う作品である。 |
No.163 | 6点 | 狂骨の夢- 京極夏彦 | 2017/11/10 14:57 |
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幻想的で不可思議な事件を魅力的なレギュラーキャラを交えながらムードたっぷりに描く手腕はさすがだが、それに対する真相がやや凡庸。ミステリー的な仕掛けも個人的にはデビュー作である「姑獲鳥の夏」がベストであり、作を重ねるごとにインパクトが薄くなっている印象を受ける。 |
No.162 | 7点 | 日本アルプス殺人事件- 森村誠一 | 2017/11/10 09:00 |
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写真を利用した古典的なアリバイ崩しものですが、山岳を舞台にした愛憎サスペンスとアリバイ崩しのプロセスがうまく絡まり合って、存外楽しく読むことができました。 |
No.161 | 6点 | 風の証言- 鮎川哲也 | 2017/11/10 07:43 |
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アリバイ崩しに焦点を当てた本格ミステリ。堅実な作品で読みごたえも十分ですが、カメラを使ったトリックは小粒で特にそれ以外の見所もないため、長編ミステリーとしてはやや物足りない。 |
No.160 | 6点 | 時間の習俗- 松本清張 | 2017/11/10 07:37 |
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社会派ミステリの巨匠松本清張としては珍しい純本格に特化した作品。写真を利用したアリバイトリックはなかなかユニークにであり、点と線よりも格段に進歩の跡が見られる。ただ、カメラ事情が大きく異なる現代の読者からすると読んでいてわかりにくい部分があるのが難点か。 |
No.159 | 5点 | 囲碁殺人事件- 竹本健治 | 2017/11/09 18:20 |
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囲碁の対局中に起こった首なし殺人の謎が描かれているが、前作の「匣の中の失楽」の次に書かれた作品としてはひどくまっとうな本格ミステリに仕上がっている。
無難にまとまっていて決してつまらなくはないが、特筆すべき点もなく、出来は可もなく不可もなくといったところ。 |
No.158 | 5点 | 帽子から飛び出した死- クレイトン・ロースン | 2017/11/09 16:44 |
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プロのマジシャンだけあって不可能犯罪を構成する手段は巧みではあるけれど、それがあまりにも堅実すぎて真相が明らかになった際のサプライズにつながっていない点が残念。その辺が種明かしを必要としないマジックと種明かしがクライマックスとなるミステリーとの差であるように感じました。同じ不可能はでもカーなどと比べるとけれ見不足であり、ストーリー自体もこなれていない感があって読みにくかったので点数は低め。 |
No.157 | 6点 | 葉桜の季節に君を想うということ- 歌野晶午 | 2017/11/09 15:09 |
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ミステリーとしての仕掛けそのものは素晴らしいと思うのですが、作中の描写になんとなく違和感を感じていたので最後のどんでん返しにあまり驚くことができませんでした。それに、世界観が反転するようなタイプのミステリーは大好物であるものの、この作品に関しては描かれている世界にそのものに魅力を感じなかったのでそう意味でも評価はそこそこどまりになってしまいます。同じ作者の作品でも本作の前後に書かれた「世界の終わり、あるいは始まり」や「女王様と私」の両作は作品舞台が非常に魅力的に感じただけに作者の代表作が自分の感性と合わなかった点が残念です。 |