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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1194件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.26 5点 マイクロスパイ・アンサンブル- 伊坂幸太郎 2024/03/20 11:28
 もともとは、猪苗代湖を舞台とした音楽イベントの来場者に小冊子として配られた短編小説。イベントが毎年開催された結果、7年間で1冊の本にまとまったようです。
 そういった経緯もあるからなのか、全体として見ると多少散漫な印象もございますが、お伽噺と現実世界との組み合わせ方は伊坂さんらしいし、温かい気持ちにさせてくれました。

No.25 5点 シーソーモンスター- 伊坂幸太郎 2019/09/21 11:50
 中央公論新社130周年を記念した小説誌「小説BOC」の発刊にあたって企画された「螺旋プロジェクト」の一作。これは、8人の作家が原始時代から未来までの日本を舞台とした物語を描くという競作企画で、伊坂サンは「昭和バブル期」と「近未来」の2作を担当したようですね。この2作をまとめたのが本書で、つまりは中編2本(シーソーモンスター+スピンモンスター)により構成されています。各中編には一定の繋がりがあるので、連作中編集といったところでしょうか。
 作者らしい軽快でスリリングな展開は楽しめたのですが、表題作の転換は想定内であったし、スピンモンスターもモヤモヤした読後感というか、ちょっと食い足りない印象も受けましたね。

No.24 7点 AX- 伊坂幸太郎 2018/01/27 22:48
 殺し屋シリーズ第三作品にして、シリーズ初の連作短編。グラスホッパーやマリアビートルの話題も一部登場はしますが、このシリーズは一応それぞれの作品内で完結するスタイルですので、仮に前二作品が未読だとしても特に支障なく楽しめると思いますね。
 凄腕の殺し屋、でも極度の恐妻家で家族思いという、いかにも作者らしい設定の殺し屋「兜」が主人公です。登場人物たちの洒脱な会話を楽しみつつ、殺し屋なのになぜか「がんばれ、がんばれ」って応援している自分がいました。そして後半で急展開。ちょっと驚いたというか…とにかく、最終話がイイ。ラストの余韻もなかなか。

No.23 7点 ホワイトラビット- 伊坂幸太郎 2017/11/03 22:50
 仙台の住宅街で人質立てこもり事件が発生。そこに絡んでくる様々な人たち…。お馴染みの黒澤さんも登場して…。
 もっと詳しく書きたいけれども、未読の方の楽しみを奪うことになりそうなので、やめておきましょう。見事な構成力で、兎に角楽しく読ませていただきました。久方ぶりに(?)伊坂幸太郎さんの実力を再確認できた感じ。面白かったですよ。

No.22 5点 バイバイ、ブラックバード- 伊坂幸太郎 2017/06/29 23:51
 五股をかけている男「星野一彦」は、のっぴきならない事情で「あのバス」で連れていかれてしまうことになった。その前に、監視役のブッチャー的大女「繭美」と一緒に、五人の恋人一人ひとりに別れを告げに行く…という設定の連作短編集。
 個人的には、別れを切り出される女性たちに情が傾いてしまって、正直、楽しみにくかった面もありましたね。星野も繭美も、どうしようもない奴なのか、いい奴なのか微妙っていう点も、何かくすぐったい感じもする。何よりも、「あのバス」って…。結構登場人物同士の会話とかは面白いのだけれども。
 まぁ、様々な面で伊坂さんらしい作品ではあります。

No.21 6点 サブマリン- 伊坂幸太郎 2016/07/04 23:16
 「チルドレン」の続編。「チルドレン」の発刊から12年が経っていたのですねぇ。ちょっと驚きです。
 家裁調査官の陣内のキャラが相変わらずイケています。後輩調査官、武藤との掛け合いも絶妙。その中で、少年犯罪について押しつけがましくなく、考えさせる構成も流石であります。
 まぁ、人物設定も含めて、都合の良過ぎる展開と言えなくもないのですが、それを言っちゃあオシマイですよねぇ。
 伊坂サンらしい作品で、「チルドレン」を読んだことのある方は、是非。(ちなみに、「チルドレン」を読んでいなくても、特段の支障はないと思います。)

No.20 5点 陽気なギャングは三つ数えろ - 伊坂幸太郎 2016/04/26 22:52
 「陽気なギャング」シリーズの三作品目。前作から9年の年月を経ているそうです。
 エンタメ小説として標準以上には楽しめたと言えるのかな。一応、密室的な謎も無くはないのですが、まぁ、これは遊び心の一環といったところでしょうか。(「密室」とか書いちゃいましたが、決してココだけを期待してはいけませんよ。念のため。)
 一方で、前二作を読まれている方にとっては(現実には、そういう方がこの本を手にする可能性が高いわけですが…)、想定の範囲内というか、水戸黄門風の予定調和感を抱くものと思われます。敵に「仕返し」するのであれば、もっと直接的で簡易な方法もあるだろうに…という、それを言っちゃあお終いだと認識しつつの率直な感想も、正直ございました。
 総合的に、この点数で。

No.19 6点 陽気なギャングの日常と襲撃- 伊坂幸太郎 2015/12/31 15:13
 素直に面白いエンタメ小説。伏線の仕込み&収斂の巧さ、憎めない登場人物と小粋な会話、読後の爽快感などなど、いかにも伊坂さんらしい。陽気なギャングシリーズは、色々考えずに、本に身を委ねてひたすら楽しむべし。
 さて、そのうち第3弾の続編も読んでみよう。

No.18 6点 ジャイロスコープ- 伊坂幸太郎 2015/11/08 18:43
 アンソロジーや雑誌に掲載された短編に書き下ろし短編を加えた、作者初の文庫オリジナル短編集。
 ミステリーとは言い難い短編が多くを占めますが、逆に作者の良さを詰め込んだバラエティに富んだ短編集と言えるのかもしれません。
 好きなのは、「浜田青年ホントスカ」、「一人では無理がある」、「彗星さんたち」かな。「if」も掌編として、なかなか面白い。すべての短編の受け皿として書き下ろされたであろう、最終話「後ろの声がうるさい」は、いかにも作者らしい。一方で、「ギア」と「二月下旬から三月上旬」は、個人的に合わなかったかな。
 個人的に、伊坂サンの作品は長編よりも短編の方が好みなのですが、その辺りが巻末のインタビューで語られていて興味深かったですね。

No.17 6点 アイネクライネナハトムジーク- 伊坂幸太郎 2015/02/19 23:50
 作者自身があとがきで「僕の書く話にしては珍しく、泥棒や強盗、殺し屋や超能力、恐ろしい犯人、特徴的な人物や奇妙な設定、そういったものがほとんど出てこない本になりました」と、述べております。
 確かにそのとおりで、恋愛に絡んだ連作短編集なのですが、伊坂サンらしい手法もそこかしこに散りばめられています。「伊坂的恋愛連作短編集」といったところでしょうか。
 いつもの「繋がる感」は決して嫌いではないのですが、ちょっと最終話に押し込めすぎた印象もあるかなぁ…。とはいえ、軽快で洒脱な会話は好印象だったし、種々の場面で爽快感も得られたので、全体としては楽しめたと言えます。

No.16 7点 首折り男のための協奏曲- 伊坂幸太郎 2014/05/24 10:15
 7話から成る連作短編集。とはいえ,各話の繋がりは緩やかです。
 個人的なベストは第5話の「月曜日から逃げろ」。ミステリ的にも,これまで読んだ伊坂短編の中でもベストに位置付けたい。敢えて多くは書きませんが,様々な面で綺麗に纏めた秀作です。伊坂作品でお馴染み「黒澤」ファンの方にはさらに楽しめるのではないでしょうか。
 他の短編は,いつもの伊坂ワールドは勿論,恋愛モノやホラー風味の作品もあり,さらには作者の主張や遊び心も加わっていて,氏の短編集としては比較的バラエティに富んでいると言えましょう。(ミステリとしては弱いですが。)何を期待して読むかで評価は大きく変わると思いますが,純粋な読書としては十分に楽しめましたね。

No.15 5点 死神の浮力- 伊坂幸太郎 2014/01/18 23:44
 「死神の精度」の続編で,死神・千葉が引き続き登場。死神の基本設定は変わらないものの,勧善懲悪の長編モノなので,趣としては前作よりも「マリアビートル」に近い印象(どうしようもない悪人のイメージも含めて)。
 なお,「車の下に爆弾」,「監視カメラによる監視」っていうシチュエーションは「ゴールデンスランバー」を想い起こさせたりも。
 千葉のキャラは好みなのですが,終盤はもう一捻りというか,更なる爽快感が欲しかったような気もします。

No.14 4点 あるキング- 伊坂幸太郎 2013/10/13 20:03
 超要約すれば「天才野球少年の生涯」。このサイトに書き込んでおいてアレですが,ミステリではないです。
 では,単なる野球小説なの?と問われれば,それも違う。いつもの「伊坂ワールド」とはまた違った世界観で描かれています。
 しかし何とも評価しにくいのですよねぇ。「入り込んじゃってる」感じがなぁ…。深読みせずに,サラサラ読むべきなのかもしれませんね。

 ちなみに,東北楽天イーグルスがリーグ制覇した今が読みドキかもしれません。読後の責任は取れませんけれども(笑)。

No.13 6点 終末のフール- 伊坂幸太郎 2013/09/12 23:12
 3年後に小惑星が地球に衝突し、人類は息絶えるだろう…という設定での連作短編。
 この事実が判明したのが5年前で,パニックによる殺人や強奪,はたまた自殺者続出という騒乱期を経たうえでの,小康状態とも言える時期を舞台としたところに,作者のセンスを感じました。確かに,一旦は自棄になりそうだけど,5年経ってしまえば,残りの3年間は逆に落ち着いて淡々とした生活を送るような気もしますね。妙なリアル感があって,実際に自分がこの状況に置かれたらどうなのだろうと考えさせられます。
 そもそも表題作が「ミステリーじゃないものを」との編集者の依頼に基づいて書かれたものだそうで,他の短編も含めてミステリーとは言いがたいのですが,伊坂さんらしい軽妙なタッチに中で,何気に自分の生と死を見つめ直せるような作品です。

No.12 5点 残り全部バケーション- 伊坂幸太郎 2013/06/07 22:37
 作者お得意の“いい人系アウトロー”達が活躍する連作短編。
 登場人物がなかなか魅力的ですし,リーダビリティも高いのですが,あまり記憶には留まりそうにないなぁ…。もう一味欲しかった気がします。ちょっと先が読めてしまう面もありましたしねぇ。
 とはいえ,サクサクした読書にはピッタリで,楽しめるとは思います。

No.11 6点 ガソリン生活- 伊坂幸太郎 2013/05/22 20:10
 語り手が自動車(緑のデミオ)という,いかにも伊坂サンっぽい作品。自動車同士(正確には車輪が付いている車両同士というべきか…)はお互いに会話ができ,人間の会話も理解することができるのですが,人間側は自動車たちの会話を認知できないという設定。これも伊坂サンらしい。
 ユーモアを含めて非常に読みやすく,登場人物のキャラクターも面白く,一定の謎とスリルもあり,爽快感とほっこり感も味わえますので,万人受けする作品と言えましょう。個人的には,更なるハッピーエンドを想定していたのだけれど…それでは「いかにも」過ぎてダメなのかな?

No.10 4点 PK- 伊坂幸太郎 2013/03/10 18:44
 3編からなる短編集。3話とも微妙(?)に繋がっているわけです。
 で,率直な感想としては,モヤモヤするし,なんだか小難しくし過ぎている感もあって,あまり面白くなかった…。
 いや,作者が敢えてやっている意図は分からないでもないのです。最終話「密使」自体も嫌いではないし…。でも何と言うのかなぁ…展開が迂遠で遅いからなのか「読み進めたい!」ってあんまり思わなかったなぁ…と。それと,作者の想いは分かるんだけれど,ちょっと「押し付けがましい」印象も。

No.9 6点 陽気なギャングが地球を回す- 伊坂幸太郎 2012/09/21 21:33
 伊坂作品で初めて映画化された作品。展開もスピーディーだし,爽快感もあるし,確かに映像向きですね。
 全体的に伊坂ワールド全開です。「はいはい,ココ伏線ですよ~」ってな具合に分かり易すぎる面もあるのですが,とにかくサクサク読み進めるべし。エンタメ小説として結構楽しめると思いますね。

No.8 7点 マリアビートル- 伊坂幸太郎 2012/01/31 22:26
 東北新幹線の車内で巻き起こる,殺し屋たち(極悪中学生も混じっているけど)の協奏曲。舞台が舞台だけに,空間的・時間的制約から生じるサスペンス要素も相まって,次々にページをめくらされましたねぇ。「いい人系アウトロー」を主人公に据えると,この作者は強いなぁ。
 最後に個人的な望みを述べれば,極悪中学生の行く末(?)について,もっと生々しく描いて欲しかった。だって相当ムカムカする奴だったんだもの。

No.7 6点 グラスホッパー- 伊坂幸太郎 2011/02/23 21:07
ヒトコトで表現するとすれば「殺し屋小説」。
前半は,伊坂風セリフ回しにイラッとしたこともあり(すみません。全く肌に合わないもので),かなり冗長に感じたのですが,中盤以降の加速感は良いですね。
色んな殺し屋が登場し,人もたくさん死にますが,読後は不思議な爽快感。
内容はいいんだけど,鼻につくセリフも多いんだよなぁ…って私だけでしょうか?

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1194件
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