皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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まさむねさん |
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| 平均点: 5.89点 | 書評数: 1282件 |
| No.202 | 7点 | アルバトロスは羽ばたかない- 七河迦南 | 2011/08/27 22:50 |
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| 児童養護施設「七海学園」の子どもたちが通う高校の文化祭当日に,校舎屋上からの転落事件が発生。単なる事故だったのか,その謎を追う「冬の章」が作品のメインなのですが,その合間合間に,春から晩秋までにかけて起こった,学園の子どもと春菜保育士を取り巻く4つの事件が挟み込まれている構成です。4つの事件の中に「冬の章」の手掛かりというか,伏線が用意されている訳ですね。
4つの事件(短編)自体もなかなかの出来栄えなのですが,やはり何といっても,作品の「全体構成」を評価したいですね。終盤の反転は,全体構成の賜物。綺麗で巧妙です。 |
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| No.201 | 5点 | 鍵のかかった部屋- 貴志祐介 | 2011/08/22 23:00 |
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| 密室ハウダニットに特化した中短編4本!作者も好きですよね~密室が。
個人的には,表題にもなっている「鍵のかかった部屋」がベストかな。微妙な作品もありましたが,そこはご愛嬌ってところでしょうか。密室好きの方はどうぞ。そうでない方は,途中でつらくなるかも。 ちなみに,防犯探偵シリーズ…らしいです。というのも,恥ずかしながら防犯探偵・榎本も弁護士・純子さんも,ワタクシにとっては初対面。特に問題なく読めましたけど。 |
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| No.200 | 6点 | 麒麟の翼- 東野圭吾 | 2011/08/22 22:53 |
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| 「赤い指」あたりから続く,加賀恭一郎シリーズのキーワード(「家族」)が,これまた色濃く反映されてますね。加賀刑事の着目点や推理の推移を楽しもうと思えば,悪くないと思います。松宮の成長とか,金森登紀子看護婦の再登場,さらには彼女に頭が上がらない加賀刑事のシーンなど,シリーズファンにとっての見所もありますしね。
ただ,謎解きとしては楽しめないでしょうねぇ。読者への証拠の提示もないですしね。ちなみに,私の根拠レスな真犯人予測は見事にハズレました…。 |
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| No.199 | 6点 | つきまとわれて- 今邑彩 | 2011/08/17 23:05 |
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| 反転モノ好きの私としては,結構楽しめました。非常に読みやすいですしね。
特に「つきまとわれて」と「六月の花嫁」がおすすめです。それと最終話の「生霊」。登場人物を他の短編にも登場させて繋げる手法が綺麗に展開されてます。 この作者の短編集は初読だったのですが,他の短編集も読みたくなりました。 |
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| No.198 | 5点 | ブラジル蝶の謎- 有栖川有栖 | 2011/08/16 22:19 |
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| 何とも芸のない書評で恐縮ですが,「可もなく不可もなく」というのが率直な印象。後々まで記憶に残りそうな話は無かったですね。
その中でも,時期的には,どうしても最終話の「蝶々がはばたく」のトリックに目が行きます。確かに成り立つし,ほどよい余韻も具備している,ますまずの作品ですが,今年の3月11日以降に読むと,複雑な気持ちになりますね。 |
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| No.197 | 5点 | 死ねばいいのに- 京極夏彦 | 2011/08/10 23:57 |
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| ミステリ面だけに着目すればフーダニット+ホワイダニットなのでしょうが,読中は,そんなことは気にせず,主人公と被害者を取り巻く人達の人生感を堪能(?)することができましたね。
ただ,犯人及び被害者の感情については,結構な違和感も。終盤にちょっとした反転があるのは良いのですが,やや中途半端な印象も・・。 |
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| No.196 | 5点 | ガラスの麒麟- 加納朋子 | 2011/08/05 22:48 |
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| 連作短編の特長をうまく活かしている作品ではありますね。「ななつのこ」といい,作者はホントに連作短編が上手いなぁ。
でも,正直いって登場人物(被害者と神野先生)に感情移入ができず(おっさんだからか?),最終章も中途半端な印象が否めず,解決もロジカルとは言い難かったので,この程度の採点になりますかねぇ。個人的に評価が難しい作品です。 |
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| No.195 | 8点 | パラレルワールド・ラブストーリー- 東野圭吾 | 2011/08/01 22:48 |
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| 久しぶりに,読後の余韻に浸れた作品。
交互に語られていく現在と過去。混乱する記憶。一体何が真実なのか…と疑心暗鬼になりながら,次第に「なぜ,彼はそうなったのか」というホワイダニット的な面でも惹きつけられました。でもやっぱり真実との境目が(読者にとっても)危ういところがミソ。目を離せません。 これらの謎が終盤で明らかにされたとき,切なさとともに,一種の安堵感(語弊がある?)が。個人的には,「記憶」に残るであろう作品。改編されない限りにおいて,ですけど。 ちなみに,実は「パラレルワールド」ではなく,そして「ラブストーリー」でもないような…って読後にほくそ笑んだのは私だけ? |
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| No.194 | 5点 | ロシア紅茶の謎- 有栖川有栖 | 2011/07/30 21:33 |
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| 表題にもなっている「ロシア紅茶の謎」と「赤い稲妻」は,まぁ楽しめたかなぁ。
で,残りの作品は,小粒でピリリと辛くもない印象。「八角形の罠」は,舞台だったらそれなりに面白いのかもしれないし,「動物園の暗号」の着目点も個人的には好きですけどね・・・。 |
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| No.193 | 7点 | 再会- 横関大 | 2011/07/25 21:46 |
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| 前年の江戸川乱歩賞受賞作。
端的な文章でグイグイ引き込まれました。プロットも,決して目新しい点はないのですが,丁寧に練られています。登場人物間の視点転換も気にならない,というかむしろ効果的に働いている印象。老練な作家が書いたとすら思わせる巧さが垣間見えます。 ご都合主義的な側面や,過去の事件において真犯人がとった行動には理にかなっていない面があるのではないか…という疑問もありましたが,まぁいいか,と思わせるストーリー運び。 このレベルの作品を今後コンスタントに発表されることを期待します。(買うと思います。) ちなみに,前年度の受賞作「プリズン・トリック」とは,確かに様々な点で正反対の位置にある作品です。結構幅広いぞ,乱歩賞。 |
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| No.192 | 5点 | 冷たい密室と博士たち- 森博嗣 | 2011/07/24 13:19 |
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| 「オーソドックスな密室もの」という印象。本格作品としてきっちりしているのですが,特筆すべき点も見当たらないというか・・・。
それと,多くの方が指摘していますが,某女性が殺される理由の説明には,確かに納得し難いですねぇ。プロットの本筋はいじらずに工夫できたような気がします。 でも,読後に損したと思わせる作品ではないです。いたって平均的。 |
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| No.191 | 6点 | 心臓と左手 座間味くんの推理- 石持浅海 | 2011/07/22 22:16 |
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| 作者の代表作のひとつ「月の扉」の探偵役・座間味クンが再登場する短編集。
「月の扉」で知り合うこととなった大迫警視と座間味クンは,時折酒を酌み交わす仲に。その席で,大迫警視が組織としては解決した(ことになっている)事件について語るのですが,座間味クンの推理でガラッと事件の姿が変わってしまうという,まぁ,安楽椅子モノですね。 決して真相究明に特化している訳ではなく,大岡裁き系も,リドルストーリー調もあるのがミソ。小気味よいロジカルな展開でストレスを感じずに読めましたね。短編集としてなかなか高水準だと思います。(「月と扉」の後日談だけは期待はずれでしたが・・・) ちなみに,推理とは全く関係ないですが,この2人の酒を酌み交わす情景(海鮮鍋やら石垣牛やら一夜干しやら鶏料理やら炉端焼きやら…)が浮かび,羨ましくてしょうがなかったです。特にアジの一夜干し!そして日本酒! |
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| No.190 | 6点 | 月の扉- 石持浅海 | 2011/07/16 22:09 |
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| 当時各種ランキングで高評価だった作品。特殊な閉鎖空間におけるロジカルな推理とくれば,まさに作者の真骨頂。確かにその点は楽しめましたね。
しかし,動機がイマイチ(あくまでも個人的見解)という,もう一つの作者の特徴も如実に表れています。「石嶺師匠」の凄さは良く分からないけど,登場人物のみならず作者までもが彼に頼りっぱなしでしたねぇ。 |
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| No.189 | 5点 | 弥勒の掌- 我孫子武丸 | 2011/07/16 22:04 |
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| 氏の作品だけに,ひねくれて読んでしまったせいもあると思うのですが,結末にはそれほどの驚きを感じませんでした。
いや,私のようなひねくれ者を惑わす怪しげな展開も良かったし,概ね騙されたし,決して悪い作品ではないのですよ。 ただ,思ったよりも(?)正攻法でしたね。もっと騙されているかと思ってました。「これで終わっちゃっていいの?」というか・・・後味もかなり悪いしなぁ・・・この点数くらいにしておきましょう。 |
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| No.188 | 6点 | 鬼面村の殺人- 折原一 | 2011/07/12 21:06 |
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| 氏の作品を読むのは,恥ずかしながらこれで3作目。従前の印象は「私とは波長が合わない」だったのですが,この作品について言えば,良い意味で裏切られましたね。
密室はともかくとして,建物消失トリックへの挑戦は買えますね。黒星警部と虹子記者とのドタバタ劇も悪くない。最後の連続ひねりにも好感,というか個人的にはど真ん中。 全体的には確実に水準以上の作品だと思います。 |
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| No.187 | 7点 | そして誰もいなくなる- 今邑彩 | 2011/07/10 20:53 |
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| 名作の活かし方としては,ありがちな手法とはいえ,相当に良質で効果的。中盤以降の捻りと加速感も素晴らしく,一気読みでしたね。
ただ,最終章については,makomakoさんと同じ意見で,ない方が締まるかも。 |
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| No.186 | 4点 | 黒い列車の悲劇- 阿井渉介 | 2011/07/09 22:00 |
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| 三陸鉄道のトンネル内で乗客もろとも列車が消えた。数分後,反対側から来た列車は,何事も無かったかのようにトンネルを抜けていった…。単線なのになぜ?その夜,海の上を走る列車の目撃情報が。
確かに謎は魅力的です。しかし,トリック面については,真正面から勝負していると言えなくもないですが,ちょっと強引ですねぇ。海の上を走るくだりも蛇足っぽい。動機にも疑問。牛深警部の想いとか社会派的な視点は,むしろ中だるみを助長してるだけのような気が…。 作品はさておき,震災で甚大な被害を受けた三陸鉄道の完全復旧がなるべく早くなされるよう,お祈りいたします。 |
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| No.185 | 8点 | 丸太町ルヴォワール- 円居挽 | 2011/07/04 22:24 |
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| ラノベ・タッチはむず痒くなるので,すごく苦手です。そしてこの作品は「講談社BOX」での刊行ですから,慎重派(?)のワタクシとしては,普通であれば決して手を出せないのですが,世間の評判の高さに負け,手にとってしまいました。
その結果は,「凄い掘り出し物!」。いや,むず痒くならなかった訳ではない(冒頭の会話シーンなどは痒いどころか,結構カチンとくる)のですが,そこを無視して読み進めたところ,完全に飲み込まれました。連続どんでん返しが圧巻。叙述のテクニックも見事です。比較的安易な叙述を見せておいて…ってのは,よくある手法ですが,どんでん返し連発との合わせ技で見せられると…楽しいですなぁ。 私的裁判っていう設定は,一般的には微妙なのでしょうが,少なくともこの作品の中では活きてます。法廷(?)での両者の応酬も見所のひとつでしょう。 むず痒い&カチンとくる面もあったから減点を…とも思いましたが,作者の将来性の高さを買って8点献上!次はラノベ風味を排除した作品を書いて欲しいなぁ。 |
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| No.184 | 5点 | 私たちが星座を盗んだ理由- 北山猛邦 | 2011/07/02 23:01 |
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| ラストでの覆りに力点を置いた短編集。
作品ごとにレベルはまちまちですが,「妖精の学校」は怪作です。なるほど,なるほど,そう来たか。 「終の童話」もなかなか趣深いです(最終的にはリドルストーリーってことなんでしょうかねぇ。) 両作品とも,読み終わった後が,ある意味で入口かもしれません。好き嫌いは分かれそうですけれども。 |
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| No.183 | 6点 | 貴族探偵- 麻耶雄嵩 | 2011/07/01 21:59 |
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| 「どうしてこの私が推理などという面倒なことをしなければならないんだ。雑事は使用人に任せておけばいいんだよ」
斬新というか,むしろ清々しさすら感じるセリフです。で,その名も「貴族探偵」。安楽椅子探偵モノに一石を投じる(?)ニューヒーローの誕生ですね。 尋常じゃないお金持ち・凄いキャラ立ち・使用人がご活躍・短編集・安楽椅子探偵…などなど,ベストセラー「謎解きはディナーのあとで」と設定はかぶりますが,それぞれ微妙に異なる面白さがあります。両作品を読み比べることをオススメします。 |
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