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まさむねさん
平均点: 5.89点 書評数: 1282件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.242 7点 マスカレード・ホテル- 東野圭吾 2011/12/05 22:50
 「4件目の連続殺人は某一流ホテルで発生する可能性が高い」との分析に基づき,刑事がホテルマンとして乗り込みます。刑事とホテルウーマンの衝突と理解,登場人物や宿泊客らの人間ドラマなどなど,事件の真相以外にも,多種多様な「読みどころ」を配置しています。サスペンス的要素もあり,一切飽きることなく読みきりました。
 読者として謎解きできるスタイルではないため,純粋に作者のストーリーテラーぶりを堪能するのがベスト。一点だけ気になる点を述べるとすれば,「手口が凝り過ぎている・・・」

No.241 6点 笑わない数学者- 森博嗣 2011/12/03 21:27
 「オリオン像消失トリック」が簡単すぎるなぁ,伏線も分かりやすいしなぁ~と思っていたら,意図的にそうしていたのですか。ははぁ,私はまんまと「逆トリック」とやらに嵌った訳ですね。(なんて言いながら,「逆トリック」の概念ってイマイチ理解できないのですが・・)
 色んな意味で,難しい作品ですねぇ。よって,評価も難しい。

No.240 5点 鬼蟻村マジック- 二階堂黎人 2011/12/03 10:39
 山村の名家,鬼伝説,跡目争い・・・などなど,横溝(最近で言えば三津田信三)的な雰囲気を備えたミステリ。この雰囲気に水乃サトルはふさわしいのか?という疑念もありましょうが,本作品でのキャラは抑え気味でして,結構まともな探偵役を務めています。このことが良いのか悪いのか・・・好みによるでしょうねぇ。
 なお,本格ミステリとしての評価ですが,個人的には「水準以上」と言ってよいと思います。でも,特筆すべき点があるかと問われると,あまり思いつかなかったりして・・・。まぁ,堅実な作品って感じでしょうか。

No.239 6点 犯人のいない殺人の夜- 東野圭吾 2011/11/29 20:52
 ノンシリーズの短編集。駄作がなく,上質な作品が揃っています。一方で,本格色やインパクトは弱め。軽く楽しみたい方にオススメです。
 その中でも記憶に残ったのが表題作。東野氏にしては珍しい仕掛けでしたね。次点が「さよならコーチ」。こちらは,いかにも東野氏らしい作風です。

No.238 5点 諏訪湖マジック- 二階堂黎人 2011/11/27 22:01
 正統派のアリバイ・トリックです。確かにトリックの一部は「人形は~」の派生版ですが,工夫が結構趣深い(?)ですし,終盤のどんでん返し含め,良く練られています。
 ただし,ちょっと長すぎますなぁ。無駄な部分が多いんですよねぇ。相当な中だるみ感を抱きました。トリック自体は悪くないだけに,もっとシンプルでトリックに特化する構成の方がよかったのではないでしょうか。

No.237 7点 放課後はミステリーとともに- 東川篤哉 2011/11/24 21:14
 鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ…ってことになるのでしょうねぇ。とは言え,探偵部長をはじめとする3馬鹿トリオは登場せず,副部長「霧ヶ峰涼」を主人公とした短編集です。
 7年間にわたって書き溜めたらしいですが,確かに,初期の作品ほど出来がよいです。第1話「~の屈辱」は,野球を絡めたのがミソ(ある部分の伏線は欲しかったけれど)。第2話「~の逆襲」は,あの分量での連続反転が見事。短編ミステリとして高水準。他の作品も悪くはないですが,インパクトは落ちます。
 ちなみに,ギャグとしても野球ネタをふんだんに使用していますので,真に楽しむには「野球好き」が条件になるかもしれません。ミステリとは違う視点で「読者を選ぶ」かも(笑)。
 作者は,大ヒット「謎解きは~シリーズ」や「烏賊川市シリーズ」の短編集も発表していますが,個人的にはこの短編集が最もしっくりきましたね。単に私が野球好きだからかもしれませんが…っていう個人的嗜好も含んでこの点数に。

No.236 5点 軽井沢マジック- 二階堂黎人 2011/11/21 20:56
 浅見光彦シリーズを思いっきり意識してますねぇ。舞台も軽井沢ですしね。ここまで「分かりやすく」意識されると,むしろ清々しい。
 読みやすいし,キャラも立っているし,一定の本格性も(すごく地味ですが)具備しているし,作者がこの作品でやろうとした目的は達成しているような気がしますね。個人的には,シリーズ続編にもそのうち手を出してみようかなぁ・・・という気にはさせられました。
 一方で,「二時間ドラマっぽさ」を感じたのも事実。作者に何を期待しているかによって,評価は分かれそうです。

No.235 7点 i(アイ)―鏡に消えた殺人者- 今邑彩 2011/11/18 23:02
 決して驚愕のトリックではないのです。
 しかし,謎の提示手法・的確な伏線・ロジカルな解明・終盤の捻り具合・全体の分量・読みやすさ・・・などなど,全体的にバランスがとれており,非常に良質な作品です。まぁ「バランス」といっても,好みや気分によって左右される抽象的なモノなのですけれども…。しかし,個人的には重要視したい項目ではあります。
 ちなみに,怪奇と本格推理とのバランス(端的にはエピローグ部分の評価)については,何とも微妙ですねぇ。ラストの一撃としては決して悪くはないと思いますが,蛇足っぽい印象も。でもなぁ,ソレがないと最後の被害者(?)の行動が理に適ってないしなぁ…ってソレ自体が理に適ってない訳だし…などと「メビウスの輪」的に考えさせられるのも,まぁ嫌いではないです。うーん,やっぱりバランスがいい作品だと思いますね。

No.234 5点 MISSING- 本多孝好 2011/11/15 20:01
 ミステリ的な側面が一切ない作品も混じっているのですが,純粋な「読書」という目線で見れば,悪くないですね。考えさせられるし,じっくりと沁みます。文章も綺麗。
 しかし,このサイトでの採点はこのあたりにしておきます。

No.233 5点 連続殺人鬼 カエル男- 中山七里 2011/11/13 22:30
 ラストはうまく纏めていると思いますね。
 ただし,どんでん返しの一部は,サイコ系として十分に想定の範囲内であって,驚きはありませんでしたねぇ。それと,内容に比して長すぎる印象。戦い(?)のシーンはしつこ過ぎる。そんなに長く必要か?

(以下,未読の方はご注意を)
 何と言ってもタイトルが「○○○男」ですからねぇ。しかもマスコミが名付け親ときた。ある意味で「まさか」でしたよ(笑)。まぁ,いくつかの工夫は施されているのですけれどもね。

No.232 6点 正月十一日、鏡殺し- 歌野晶午 2011/11/08 21:57
 7話からなる短編集。
 第1話の「盗聴」はノーマルなミステリーですが,次第にブラック度が上昇し,最終話「正月十一日、鏡殺し」に至っては,これ以上ない程真っ黒に。物凄い後味でした…。
 とはいえ,「裏本格」は堪能させていただきました。個人的には「記憶の囚人」の見せ方に感心しましたね。出だしは「はぁ?」って感じなのですけれどもね。

No.231 6点 不完全犯罪 鬼貫警部全事件(2)- 鮎川哲也 2011/11/07 21:39
純粋にロジックを楽しむことができる短編集。
無駄な要素が排除されているので,小気味好く読み進めることができます。
特に,名短編の誉れ高い「五つの時計」は,アリバイ好きであろうとなかろうと,一読の価値アリです。

No.230 4点 君の望む死に方- 石持浅海 2011/11/06 10:33
 「扉は閉ざされたまま」に続く,碓氷優佳シリーズ第2弾。
 前作同様,興味深い状況設定です。ダブル倒叙とも言えるプロットも面白いです。その点は評価します。
 しかし,納得しがたい点も多々ありますねぇ。
 まず,被害者役の行動って論理的か?被害者役は,犯人を隠したいのでしょう?じゃあ,犯人役を見切っていることを碓氷に伝えられた時点で,「自重」しましょうよ。
 そして,碓氷優佳は何をしたかったのか。仮に,被害者役が自重せず説得が不調に終わったとしても,犯人役側に「見切ってますよ」って言えばいいはず。防ぎたいの?防ぎたくないの?っていうか自己矛盾していないのか,碓氷優佳。
 そして,犯人役の母親の行動も謎。子どもにしゃべってはいけない。犯人役もこれまた…もういいや。
 いや,特殊な状況設定のために止むを得ない措置とは思うのですよ。しかし,「賢い」と設定されている登場人物ほど,私にはおバカに見えましたがねぇ。人工的なおバカにね。
 この作家ってこういうところがなぁ…。

No.229 6点 人間の尊厳と八〇〇メートル- 深水黎一郎 2011/11/04 21:41
 作者にとっては初の短編集。短編ごとの感想を。
①人間の尊厳と八〇〇メートル
 日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作品だけに,プロット,伏線が秀逸。反転の効果も含め,気持ちのよい読後感。結末だけを捉えれば,某作家(複数いるけど)の短編を思い起こさせますが,プロットは別モノですし,こちらの方が上質。
②北欧二題
 一題目は「日常の謎」を逆手に取ったともいえる発想が面白い。二題目は正直肩すかし。
③特別警戒態勢
 動機は面白かったけれども,水準クラスかなぁ・・・と。
④完全犯罪あるいは善人の見えない牙
 纏まった作品だけれども,水準クラスかなぁ・・・と。
⑤ 蜜月旅行LUNE DE MIEL
 物語としては嫌いではないです。ミステリー?との疑問は,まぁ,作中で「人間にとって最大のミステリーは人間だ」と述べていますし(笑),アリということで。

No.228 7点 五声のリチェルカーレ- 深水黎一郎 2011/11/03 20:49
 「五声のリチェルカーレ」には,やられました。ここまで見事にやられたのは久しぶりです。読了後,しばらく首を捻り,その後に訪れた「!」の爽快感。即読み返しましたね。仕掛けは,周到かつ巧妙。題名も秀逸。「ホワイダニット」のみに着目しても,水準以上と思いますね。個人的に記憶に残るであろう作品です。
 最大の肝については,豪快に炸裂しているとは言い難いのですが,むしろその位の炸裂感だからこそ良かったとの印象もあります。静かで,しかも高度で,渋い。野球選手で言えば,元ヤクルトの土橋級。(ちなみに,私は土橋選手のファンでした。)
 短編の「シンリガクの実験」は,ミステリーなのか?といった印象。嫌いではないですけれども。

No.227 5点 慟哭- 貫井徳郎 2011/10/31 21:18
 早い段階で「最重要ポイント」に気付く読者は多いでしょうねぇ。2つのストーリーが交互に進行していきますからねぇ。個人的には,驚きはなかったですね。
 一方で,「慟哭」に至る終盤は読み応えアリですし,ラスト5行の余韻も記憶に残ります。別の視点で捉えると,作者が書きたかった「最重要ポイント」は,こちらの方だったのかもしれません。
 なお,この採点は,新興宗教モノは肌に合わないという,個人的嗜好に基づくものですので,あしからず。

No.226 6点 怪笑小説- 東野圭吾 2011/10/29 14:41
 憎めないバカバカしさ,そして丁度いい塩梅の毒。知らず知らずのうちに,読み終えていました。面白かったですよ。特に「しかばね台分譲住宅」,「逆転同窓会」あたりですかねぇ。「超たぬき理論」のバカバカしさも嫌いではないです。
 しかし,東野氏の作品って裾野が広いよなぁ…と改めて感じ入った次第。

No.225 6点 有栖川有栖の鉄道ミステリー旅- 評論・エッセイ 2011/10/27 22:18
 「乗りテツ」としても有名な有栖川氏による,旅と鉄道とミステリー尽くしのエッセイ集。「この鉄ミスがすごい!」と題する章もありますし,まぁ,このサイトに登録することをお許しください。
 著者が「乗りテツ」に至った経緯や,著者の鉄ミス評など,なかなか興味深いです。「鉄道とミステリーは相性が良い」理論にも,異議なしです。確かに,鉄道ファンでもあり,ミステリーファンでもある方って多そうです。テツ気質のある方は一読してはいかがでしょう。

No.224 5点 真夜中の探偵- 有栖川有栖 2011/10/27 22:05
 北海道が分離独立し,私的探偵行為が厳禁とされている「日本」を舞台としたシリーズの続編。前作「闇の喇叭」を読んでからの方が,世界観に入りやすいと思います。
 で,この世界観,私にはそれほど魅力を感じないのです。特に「北海道」の設定はどう関係するのか?・・・と疑問に思っていたら,終末でその意図が判明。情報チョイ出し方式ですか。シリーズ全体の評価については,次回作以降を待つしかなさそうですねぇ。個人的には,現時点でのシリーズ評価は決して高くないので,今後の爆発に期待します。
 で,この作品自体の,ミステリとしての評価は,有栖川氏に期待するレベルからすれば,中の下といった印象です。

No.223 6点 あわせ鏡に飛び込んで- 井上夢人 2011/10/23 21:29
 反転モノあり,ホラー系あり,リドルストリー調ありの,バラエティー豊かな短編集。
 1990年から5年程度の間に書かれた短編らしいので,作者自身が語るように,「今となっては」的なネタも含まれているのですが,個人的には逆に新鮮味を感じましたね。途中で結末が見えてしまう作品もありましたが,それはそれで楽しめます。特に後半の3作品「あわせ鏡に飛び込んで」・「さよならの転送」・「書かれなかった手紙」あたりが好みです。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.89点   採点数: 1282件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(58)
有栖川有栖(45)
東川篤哉(44)
森博嗣(37)
島田荘司(29)
道尾秀介(28)
伊坂幸太郎(26)
西村京太郎(24)
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歌野晶午(21)