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まさむねさん
平均点: 5.86点 書評数: 1154件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.234 5点 MISSING- 本多孝好 2011/11/15 20:01
 ミステリ的な側面が一切ない作品も混じっているのですが,純粋な「読書」という目線で見れば,悪くないですね。考えさせられるし,じっくりと沁みます。文章も綺麗。
 しかし,このサイトでの採点はこのあたりにしておきます。

No.233 5点 連続殺人鬼 カエル男- 中山七里 2011/11/13 22:30
 ラストはうまく纏めていると思いますね。
 ただし,どんでん返しの一部は,サイコ系として十分に想定の範囲内であって,驚きはありませんでしたねぇ。それと,内容に比して長すぎる印象。戦い(?)のシーンはしつこ過ぎる。そんなに長く必要か?

(以下,未読の方はご注意を)
 何と言ってもタイトルが「○○○男」ですからねぇ。しかもマスコミが名付け親ときた。ある意味で「まさか」でしたよ(笑)。まぁ,いくつかの工夫は施されているのですけれどもね。

No.232 6点 正月十一日、鏡殺し- 歌野晶午 2011/11/08 21:57
 7話からなる短編集。
 第1話の「盗聴」はノーマルなミステリーですが,次第にブラック度が上昇し,最終話「正月十一日、鏡殺し」に至っては,これ以上ない程真っ黒に。物凄い後味でした…。
 とはいえ,「裏本格」は堪能させていただきました。個人的には「記憶の囚人」の見せ方に感心しましたね。出だしは「はぁ?」って感じなのですけれどもね。

No.231 6点 不完全犯罪 鬼貫警部全事件(2)- 鮎川哲也 2011/11/07 21:39
純粋にロジックを楽しむことができる短編集。
無駄な要素が排除されているので,小気味好く読み進めることができます。
特に,名短編の誉れ高い「五つの時計」は,アリバイ好きであろうとなかろうと,一読の価値アリです。

No.230 4点 君の望む死に方- 石持浅海 2011/11/06 10:33
 「扉は閉ざされたまま」に続く,碓氷優佳シリーズ第2弾。
 前作同様,興味深い状況設定です。ダブル倒叙とも言えるプロットも面白いです。その点は評価します。
 しかし,納得しがたい点も多々ありますねぇ。
 まず,被害者役の行動って論理的か?被害者役は,犯人を隠したいのでしょう?じゃあ,犯人役を見切っていることを碓氷に伝えられた時点で,「自重」しましょうよ。
 そして,碓氷優佳は何をしたかったのか。仮に,被害者役が自重せず説得が不調に終わったとしても,犯人役側に「見切ってますよ」って言えばいいはず。防ぎたいの?防ぎたくないの?っていうか自己矛盾していないのか,碓氷優佳。
 そして,犯人役の母親の行動も謎。子どもにしゃべってはいけない。犯人役もこれまた…もういいや。
 いや,特殊な状況設定のために止むを得ない措置とは思うのですよ。しかし,「賢い」と設定されている登場人物ほど,私にはおバカに見えましたがねぇ。人工的なおバカにね。
 この作家ってこういうところがなぁ…。

No.229 6点 人間の尊厳と八〇〇メートル- 深水黎一郎 2011/11/04 21:41
 作者にとっては初の短編集。短編ごとの感想を。
①人間の尊厳と八〇〇メートル
 日本推理作家協会賞(短編部門)受賞作品だけに,プロット,伏線が秀逸。反転の効果も含め,気持ちのよい読後感。結末だけを捉えれば,某作家(複数いるけど)の短編を思い起こさせますが,プロットは別モノですし,こちらの方が上質。
②北欧二題
 一題目は「日常の謎」を逆手に取ったともいえる発想が面白い。二題目は正直肩すかし。
③特別警戒態勢
 動機は面白かったけれども,水準クラスかなぁ・・・と。
④完全犯罪あるいは善人の見えない牙
 纏まった作品だけれども,水準クラスかなぁ・・・と。
⑤ 蜜月旅行LUNE DE MIEL
 物語としては嫌いではないです。ミステリー?との疑問は,まぁ,作中で「人間にとって最大のミステリーは人間だ」と述べていますし(笑),アリということで。

No.228 7点 五声のリチェルカーレ- 深水黎一郎 2011/11/03 20:49
 「五声のリチェルカーレ」には,やられました。ここまで見事にやられたのは久しぶりです。読了後,しばらく首を捻り,その後に訪れた「!」の爽快感。即読み返しましたね。仕掛けは,周到かつ巧妙。題名も秀逸。「ホワイダニット」のみに着目しても,水準以上と思いますね。個人的に記憶に残るであろう作品です。
 最大の肝については,豪快に炸裂しているとは言い難いのですが,むしろその位の炸裂感だからこそ良かったとの印象もあります。静かで,しかも高度で,渋い。野球選手で言えば,元ヤクルトの土橋級。(ちなみに,私は土橋選手のファンでした。)
 短編の「シンリガクの実験」は,ミステリーなのか?といった印象。嫌いではないですけれども。

No.227 5点 慟哭- 貫井徳郎 2011/10/31 21:18
 早い段階で「最重要ポイント」に気付く読者は多いでしょうねぇ。2つのストーリーが交互に進行していきますからねぇ。個人的には,驚きはなかったですね。
 一方で,「慟哭」に至る終盤は読み応えアリですし,ラスト5行の余韻も記憶に残ります。別の視点で捉えると,作者が書きたかった「最重要ポイント」は,こちらの方だったのかもしれません。
 なお,この採点は,新興宗教モノは肌に合わないという,個人的嗜好に基づくものですので,あしからず。

No.226 6点 怪笑小説- 東野圭吾 2011/10/29 14:41
 憎めないバカバカしさ,そして丁度いい塩梅の毒。知らず知らずのうちに,読み終えていました。面白かったですよ。特に「しかばね台分譲住宅」,「逆転同窓会」あたりですかねぇ。「超たぬき理論」のバカバカしさも嫌いではないです。
 しかし,東野氏の作品って裾野が広いよなぁ…と改めて感じ入った次第。

No.225 6点 有栖川有栖の鉄道ミステリー旅- 評論・エッセイ 2011/10/27 22:18
 「乗りテツ」としても有名な有栖川氏による,旅と鉄道とミステリー尽くしのエッセイ集。「この鉄ミスがすごい!」と題する章もありますし,まぁ,このサイトに登録することをお許しください。
 著者が「乗りテツ」に至った経緯や,著者の鉄ミス評など,なかなか興味深いです。「鉄道とミステリーは相性が良い」理論にも,異議なしです。確かに,鉄道ファンでもあり,ミステリーファンでもある方って多そうです。テツ気質のある方は一読してはいかがでしょう。

No.224 5点 真夜中の探偵- 有栖川有栖 2011/10/27 22:05
 北海道が分離独立し,私的探偵行為が厳禁とされている「日本」を舞台としたシリーズの続編。前作「闇の喇叭」を読んでからの方が,世界観に入りやすいと思います。
 で,この世界観,私にはそれほど魅力を感じないのです。特に「北海道」の設定はどう関係するのか?・・・と疑問に思っていたら,終末でその意図が判明。情報チョイ出し方式ですか。シリーズ全体の評価については,次回作以降を待つしかなさそうですねぇ。個人的には,現時点でのシリーズ評価は決して高くないので,今後の爆発に期待します。
 で,この作品自体の,ミステリとしての評価は,有栖川氏に期待するレベルからすれば,中の下といった印象です。

No.223 6点 あわせ鏡に飛び込んで- 井上夢人 2011/10/23 21:29
 反転モノあり,ホラー系あり,リドルストリー調ありの,バラエティー豊かな短編集。
 1990年から5年程度の間に書かれた短編らしいので,作者自身が語るように,「今となっては」的なネタも含まれているのですが,個人的には逆に新鮮味を感じましたね。途中で結末が見えてしまう作品もありましたが,それはそれで楽しめます。特に後半の3作品「あわせ鏡に飛び込んで」・「さよならの転送」・「書かれなかった手紙」あたりが好みです。

No.222 9点 時計館の殺人- 綾辻行人 2011/10/23 21:25
伏線が見事です。きっちり張られているんですよねぇ。
私の中では,「驚きの十角館」・「完成度の時計館」…ですね。

No.221 5点 世界が終わる灯- 月原渉 2011/10/19 21:40
 舞台はニュージーランドの山間部。吹雪で走行中の豪華寝台列車内で,首切り密室殺人が発生。その後,列車はトンネル内で急停止し,列車内から次々と人が消えていく。通信機器はすべて破壊され,孤立状態に・・・。
 設定としては本格モノの王道といえますし,個人的にも好みのど真ん中です。
 ただし,トリックらしいトリックは1点のみ,かつ,「やっぱりそうでしたか」といったレベル。ミスリードも「いかにも」といった感じ。驚きは少なかったですね。
 とはいっても,決して読んで損をしたなと感じた訳ではありませんし,別の見方をすれば,優等生的な作品と言えるかもしれません。(優等生=魅力的とは言い切れないという意味を含めて。)

No.220 4点 赤い月、廃駅の上に- 有栖川有栖 2011/10/15 16:57
 鉄道にまつわる怪談集。
 と言っても,あまり怖くはなく,幻想的な話が多かったですね。もう少しインパクトが欲しかったかなぁ…。
 多少テツっ気のある身としては,決して嫌いではない短編集なのですが,ミステリーとは言い難かったので,このくらいの採点になっちゃいますかねぇ。

No.219 5点 密室殺人ゲーム・マニアックス- 歌野晶午 2011/10/15 16:39
 シリーズ第三弾の全体構成としては,「アリ」だと思いますね。
 しかし,個々のトリックは拍子抜け。ちょっと辛い。作者の言いたいことも分かりますけどねぇ。4点と5点の中間ってことで,四捨五入。

No.218 5点 はやく名探偵になりたい- 東川篤哉 2011/10/12 20:03
 烏賊川市シリーズでお馴染みの探偵・鵜飼&助手・戸村コンビが織り成す短編集。どの短編も本格の体裁は保持していますが,出来栄えはまちまちでしたねぇ。作品ごとの感想を。
1 藤枝邸の完全なる密室:もう一捻り欲しい印象。
2 時速四十キロの密室:謎は魅力的。
3 七つのビールケースの問題 :微妙な「やっつけ感」が漂う。
4 雀の森の異常な夜:なかなかの正統派。
5 宝石泥棒と母の悲しみ:短く,単純なトリックながらも個人的には好み。佳作。
 
 全体印象としては,烏賊川市コンビは長編の方が活きるような気がしましたね。

No.217 6点 闇の喇叭- 有栖川有栖 2011/10/10 20:11
 太平洋戦争末期,アメリカの原子爆弾の完成が遅れたために,ソ連が北海道までを占拠して…という設定。歴史SFかと思えるような始まり方で,ちょっと驚かされました。
 しかし,読み進めていくと,氏らしいミステリが展開されていきます。トリックも,個人的には好みの範囲内。青春ミステリとしての色も濃く,総合的にどう分類していいものやら。
 シリーズとして今後どのように展開していくのか,続編に期待します。

No.216 7点 - 麻耶雄嵩 2011/10/07 20:59
(未読の方は注意)
 「登場人物の驚きに驚かされる」手法が斬新。考え方によっては叙述とは言えないような気もしますが,「知らなかった」ことを誤認させているのだから,やっぱり叙述モノか。いやはや,完全にしてやられました。
 一方,「視点」に関しては,序盤から匂いがプンプン漂っていて身構えざるを得ませんでしたので,十分に想定可能でしたね。こちらに意識を集中させておいて,前述の叙述を炸裂・・・って意図なのだとすれば,もう完全に脱帽。
 もう少し高得点でもいいのですが,極めて精密な面がある一方で,ほったらかしにされてる点がいくつかあるなぁ・・・という印象も受けましたので,少しだけ減点を。

No.215 6点 妃は船を沈める- 有栖川有栖 2011/10/03 21:15
 作者の意図はどうであれ,構成としては「中編2本を幕間でつないだ作品」という評価を超えることは難しいでしょうね。
 中編自体は,どちらもロジカルでなかなかの出来栄えです。ミステリアス(?)なヒール役が相当に貢献していますね。(取り巻きの青年達の精神構造は理解不能でしたけど。)1作目における「猿の手」の解釈も面白い。
 個人的には,これまでに読んだ国名シリーズ短編集(ロシア紅茶・ブラジル蝶・英国庭園)よりも楽しめましたよ。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.86点   採点数: 1154件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(55)
有栖川有栖(43)
東川篤哉(41)
森博嗣(37)
道尾秀介(26)
伊坂幸太郎(26)
米澤穂信(22)
島田荘司(22)
歌野晶午(21)
西村京太郎(19)