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まさむねさん
平均点: 5.87点 書評数: 1226件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.846 6点 双孔堂の殺人~Double Torus~- 周木律 2019/08/25 21:46
 「堂」シリーズの第二弾。スケール感は前作に及ばず、密室の真相には拍子抜け感も残ります。とはいえ、全体としてはシリーズの「肝」を押さえつつ、最終盤の捻りも含めて巧く纏めていらっしゃるなぁ…という印象。ポイント自体はシンプルで、それが判明した時点でスルスルと解けていくようなスタイルって、個人的には好きなんですよね。
 でも、数学的な記述は、私には難しすぎるというか、ちょっと苦しい。いや、作品として記す意義は分るのだけれども、ソッチ系の部分をかなり軽めに読み飛ばした同志(?)も多いような気がするなぁ。

No.845 6点 占い師はお昼寝中- 倉知淳 2019/08/19 22:48
 霊感はないけど推理は鋭いぐうたら占い師と、その姪っ子のコンビによる短編集。
 安楽椅子探偵モノに分類されるのでしょうが、占い師が推理した内容が真実なのかは最終的に不明であること、さらには、占い師として推理(推測)した事実をそのまま顧客に提示するものではない(敢えて全てを提示しない)ことに、作者らしさを感じますね。特に後者は、真相(と思われること)自体の驚きは決して多くない中で、占い師がなぜ顧客にそのような回答をしたのかという点を含めて、この短編集の面白味を形作っているような気がします。マイベストは、収束具合にほっこりとした「ゆきだるまロンド」でしょうか。

No.844 6点 空想オルガン- 初野晴 2019/08/13 20:51
 ハルチカシリーズの第三弾。今回は、清水南高校吹奏楽部が東海地区大会出場まで果たした夏の物語。本作の時点で主人公は高校2年生という設定なので、今後の成長も楽しみです。
 で、内容としては、切なさの中に連作短編最終話としての切れ味を感じた表題作「空想オルガン」が印象的なのですが、個人的には「ヴァナキュラー・モダニズム」の大技(?)も捨てがたいですね。へー、初野さんって、こういったタイプの作品も書かれるのですね…という軽い驚きがありました。

No.843 5点 向田理髪店- 奥田英朗 2019/08/06 23:51
 「過疎の町のさまざまな騒動と人間模様を、温かくユーモラスに描く連作集」という解説通りの連作短編集。舞台は、北海道の架空の自治体「苫沢町」なのですが、このモチーフは誰が考えても夕張市でしょうねぇ。夕張を訪れたことのある身としては、想像しやすい舞台設定でスッと入り込めましたね。
 全般において、スラスラと、しかも一定考えさせつつ読ませる巧さがあります。すごいスーパーマンもいないけれど、すごく悪い奴もいない、これって、落ち着いた心持ちで読み進められますよね。だからこそ、と言っていいものか分かりませんが、反転度合は相当に少ないかな。これらを総合的にどう捉えるかで評価も変わってくるのだと思います。個人的には楽しめたのですが、どう贔屓目に見てもミステリー作品とは言い難いので、この採点とします。

No.842 5点 展望塔の殺人- 島田荘司 2019/07/31 22:30
 いかにも島荘!といった短編集。その印象が最も強く残ったのが「発狂する重役」で、これは様々な意味で凄い。いやいやあり得ないだろう…とか考えてはダメなのでしょう。この短編集に根強いファンがいることも分かる気がします。

No.841 5点 本と鍵の季節- 米澤穂信 2019/07/28 21:00
 男子高校生のコンビでしたが、「古典部シリーズ」や「小市民シリーズ」から連なる雰囲気を感じることができましたね。コンビといっても、ホームズ&ワトソンという位置づけにしていない辺りもイイと思います。でも、ミステリーとしての驚きは少なかったかも。ちょっと無理やり感も抱いたりして。

No.840 6点 乱鴉の島- 有栖川有栖 2019/07/17 22:10
 火村シリーズ初の「孤島モノ」です。とはいえ、孤島であるべき必然性は認めつつも、個人的には「うーん、思っていたのと違うかも」と感じちゃったりして。
 導入部も謎の提示もなかなかに魅力的なのです。作者らしいロジックも楽しめたのです。一方で、ヒトコトで言えば「地味」ということになるのでしょうか、どうにも普通な印象でしたね。いや、決して悪くないし、火村とアリスのやり取りも含めて、楽しく読ませてもらったのですが。

No.839 6点 初恋ソムリエ- 初野晴 2019/07/14 22:52
 ハルチカシリーズの第二弾ですね。第一弾「退出ゲーム」を読んだのが相当に前だったのでどうなのかなぁ…と思っていたのですが、ブランク(?)を感じることなくスイスイと読むことができました。
 ちなみに、「退出ゲーム」と比べるとミステリとしては薄味になっていますし、現実味としても積極的な評価はしにくいような気がします(「退出ゲーム」の各短編のレベルが高かったという見方もあり得るのでしょうが)。一方で、吹奏楽部の面々の魅力も含めて、シリーズ全体としての雰囲気としての印象の良さは、個人的に継続していますね。

No.838 6点 失はれる物語- 乙一 2019/07/07 00:23
 「Calling You」、「失はれる物語」、「傷」、「手を握る泥棒の物語」、「しあわせは小猫のかたち」の5作品は既読だったのですが、内容をよく覚えていなかったため、2度目でも十分に楽しめました。作者には申し訳ないですが、何てお得な読者なのだろうかと、自分勝手に満足しました(笑)。
 さて、書き下ろしの「マリアの指」。分量的にもこの短編集中で1番だし、ミステリ的な面も強そうなので楽しみにしていたのですが…。うーん、作者らしいし、決して悪くはないのだけれども、結末にスッキリしない感情も残ったかな。
 全体としては、作者の良さを知ることができる短編集と言えると思います。個人的には「手を握る泥棒の物語」が好き。真逆の世界観「失はれる物語」も響きますが、読む時点の精神状態に評価は大きく左右される気がしますね。

No.837 6点 金田一耕助に捧ぐ九つの狂想曲- アンソロジー(出版社編) 2019/07/01 22:16
 タイトルどおり金田一耕助への愛(むしろ横溝正史先生への愛かも)に溢れたアンソロジー。筆者は、五十音順で赤川次郎、有栖川有栖、小川勝己、北森鴻、京極夏彦、栗本薫、柴田よしき、菅浩江、服部まゆみの9名です。
 バラエティには富んでいますが、出来栄えは作品によってマチマチといった印象。正直、ちょっと評価し難い短編もありましたね。
 個人的ベストは、パロディとして楽しかった北森鴻氏の「ナマ猫亭事件」でしょうか。動機の脱力さ加減が秀逸でした。

No.836 6点 赤いべべ着せよ…- 今邑彩 2019/06/24 22:41
 リーダビリティが高く、次々にページをめくらされました。作者がこの小説の根底に据えようとしたテーマが、事件の展開や真相の中にキッチリと織り込まれていた印象。その織り込ませ方に、この作者らしい美しさを感じました。

No.835 6点 螺旋の底- 深木章子 2019/06/20 21:45
 舞台は北フランスの小村。そして中世の城のような石造りの館。謎めいた登場人物…ということで、まずは作品を包みこむ薫りがイイですね。
 そして、高いリーダビリティ―に裏打ちされた伏線の細やかさが見事(読了後に気付いたのですがね)。目新しさという観点では多少消極的な評価になりますが、非常に楽しませていただいたことも事実。作者の裾野の広さも感じることができました。

No.834 5点 幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート- 倉知淳 2019/06/16 16:38
 アルバイト中の猫丸先輩が遭遇した5つの事件を扱った短編集で、脱力系ネタが多めの仕上がりです。一方、猫丸先輩のコミカルさは相変わらずで、このバランスを楽しめるか否かがポイント。好き嫌いは分かれそうだけれども、全体的に作者の優しさが現われた短編集とは言えそうです。
 マイベストは、これも脱力系だけれども、何気に爽やかな「たたかえ、よりきり仮面」でしょうか。

No.833 5点 グランドマンション- 折原一 2019/06/13 21:34
 良くも悪くも「折原作品」だったなぁ…という印象。
 書下ろしの短編「リセット」を最終話に配置し、連作短編として纏めようとする工夫等は理解するのですが、いずれにしても新鮮味は薄かったですね。

No.832 5点 科警研のホームズ- 喜多喜久 2019/06/09 15:27
 それぞれの県警から科学警察研究所(科警研)に派遣された3人の研修生。しかし勤務場所は「本郷分室」。室長の土屋はかつて「科警研のホームズ」と称された切れ者だが、とある出来事をきっかけに科警研を離れ、大学で環境科学の研究に没頭している。科警研の所長・出雲は、分室を設置することで、土屋に犯罪捜査に関わる機会を与え、最終的には科警研に戻したがっている…という設定の短編集ですね。
 全体として青臭く感じてしまう面もありましたが、科学的な側面はなかなか興味深かったですし、各短編の構成自体は堅実と言ってよいのではないでしょうか。続編を意識した終わり方でしたが、確かに設定としては使い勝手がいいかもしれませんね。

No.831 6点 てるてるあした- 加納朋子 2019/06/02 21:40
 「恋しさと せつなさと 心強さと」
 照代の成長が嬉しいし、何といっても久代ばあちゃんが泣かせてくれます。先の展開は想像しやすいのですが、もっともっと読んでいたい気分にさせてくれた作品。

No.830 5点 殺人鬼がもう一人- 若竹七海 2019/06/01 15:50
 総じて苦みの残る、というかブラック感満載の連作短編集。
 舞台は、都心から離れた寂れたベッドタウン「辛夷ヶ丘」。辛夷ヶ丘署は、ダメ警官の吹き溜まり。住民のクセは強く、遵法意識は弱い。こんな街は嫌だ…コレが第一印象。
 疲れ気味の時に読んだ私が悪いのかもしれないのですが、がっかりな登場人物も多数登場して、何か疲れました。実はユーモアも効いているので、違う体調・気分の時に読んでいれば、印象はガラリと変わったような気もします。
 ちなみに、警察官・砂井三琴とその相棒の描き方はちょっと中途半端だと思いますね。特に相棒の方が。

No.829 5点 作家の人たち- 倉知淳 2019/05/25 22:23
 出版社や編集者、そしてミステリ作家の内幕を描いた短編集。「内幕を描いた」なんて書いたけれど、シリアスなものではなくスラスラ読めます。倉知さんらしいとも言えるし、物足りないとも言える、そんな印象。
 正直、積極的におススメしたい短編集とは言えないのですが、出版社が幻冬舎という点は、ポイントになるかも。最近話題の出版社ですしねぇ。勿論、今回の案件を踏まえて各短編が書かれた訳ではないのでしょうが、ソレを念頭に置いて読む分には面白い短編もありましたね。この採点は、読んだ時期が今だったからこそのものですので、お含みおきください。

No.828 6点 我が家のヒミツ- 奥田英朗 2019/05/19 21:26
 「家日和」、「我が家の問題」から続くシリーズの第三弾(なのだと思う)。
 驚きの反転があるという訳ではなく、むしろ「分かるなぁ…」と頷いてしまう作品が多いのがミソ。ミステリ要素はさて置き、安心して読める短編集って個人的には貴重だったりするのです。(特に疲れ気味の時とか…)
 前半の4作品「虫歯とピアニスト」「正雄の秋」「アンナの十二月」「手紙に乗せて」が、考えさせられもして、良かったですね。「正雄の秋」のパターンって、結構他人事ではないし、「分かるなぁ…」って感じでしたね。

No.827 6点 ビブリア古書堂の事件手帖~扉子と不思議な客人たち~- 三上延 2019/05/12 21:44
 人気シリーズの後日譚。栞子さんと大輔クンは既に結婚していて、6歳の娘・扉子ちゃんと3人家族という設定です。7冊刊行された本家シリーズが2010年~2011年までのエピソードだったということらしいので、本作が刊行された2018年を基準とすると…なるほど計算は合う(笑)。
 本家シリーズ後半を半ば意地で読み進めた感のある身としては、正直それほど期待せずに本書を手にしたのですが、登場人物の近況を含めて時間軸が多少動いた効果なのか、無理にコトを大きくしない短編構成のせいもあるのか、個人的には好印象でしたね。読後感もいい。物語はもう暫く続きそうですが、続編も読んでみようかな…という気にはさせられましたね。それぞれの登場人物の前日譚もありそうだし。

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まさむねさん
ひとこと
ミステリとしての特別な知識なく乱読していますので、私の書評はあまりアテにしないでくださいね。
好きな作家
道尾秀介・東野圭吾・東川篤哉
採点傾向
平均点: 5.87点   採点数: 1226件
採点の多い作家(TOP10)
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