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メルカトルさん
平均点: 6.04点 書評数: 1901件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.101 5点 浦島太郎の真相 恐ろしい八つの昔話 連作推理小説- 鯨統一郎 2010/08/12 23:49
前作『九つの殺人メルヘン』以上に、ノリノリの昭和の懐かし話が逆に多少ウザく感じられてしまう。
また、御伽話の新説は「そうとも考えられる」程度なので、あまり真剣に受け止めるとバカバカしくなる。
肝心の殺人事件の真相も、前作に比べると今ひとつ納得できない、もやもや感が残る。
総評として前作より劣るが、まずまず楽しめる、と言ったところか。

No.100 6点 闇に用いる力学- 竹本健治 2010/08/11 23:35
まあ、なんと言うか竹本氏らしく、謎のベールに包まれたような筆致は本作には似合っていたとは思う。
ミステリともSFともつかない作品だか、オカルティックな雰囲気は悪くないし、先の展開はどうなるのだろうという興味は持たせてくれる。
だが、果たして続編は書かれるのだろうか。

No.99 4点 古書店アゼリアの死体- 若竹七海 2010/08/09 23:36
古書店アゼリアの女主人ばかりが目立って、他の登場人物の影が薄く個性が感じられない。
この作者はやはり長編には向いていないように思われて仕方ない。
デビュー作のような連作短編集をもっと書けば良いのにと、勝手な希望を抱いてしまう。
ラストは捻りが効いているが、事件そのものとは関係ない為あまり評価できない。
それとやはり前作同様、冗長である。

No.98 8点 悪魔が来りて笛を吹く- 横溝正史 2010/08/07 23:49
天銀堂事件の真相、無駄な密室など、細かい疵はあるものの、様々な小道具を駆使しての雰囲気作りは素晴らしい。
横溝作品の中にあっては異色作かもしれないが、それだけに貴重な存在ではないかと思う。
犯人が黄金のフルートを吹く場面では嫋々たる切ない余韻を残す。
暗い話ではあるが、それなりに救いもあって印象的なラストだと思う。

No.97 6点 九つの殺人メルヘン- 鯨統一郎 2010/08/04 23:30
実に軽妙で、時々笑える、とてもユニークな連作短編集。
昭和の懐かしいTV番組やCM、歌手、俳優などの昔話~メルヘンの新解釈~殺人事件のアリバイ崩し、といったパターンの繰り返し、かと思いきや、最終話では驚きの展開が・・・。
肩の凝らない軽いミステリを読みたい時には最適。
ただ、グリム童話の新解釈には、それ程新味があるようには感じられなかったのは少々残念である。

No.96 6点 被害者は誰?- 貫井徳郎 2010/08/03 23:33
貫井氏にしては軽妙な短編集。
こんなのも書けますよ、とでも言いたげな作者の姿が見え隠れしているような気もする。
それにしてもこの作家も結構様々な作風の作品を物しているようだ。
私としては『妖気切断譜』の続編を一刻も早く読みたいのだが。

No.95 6点 ホワイトアウト- 真保裕一 2010/08/02 23:50
こんな超人いないだろう、という突っ込みはなしで。
壮大なドラマはいかにも映画向きではあるけど、映画のほうはイマイチだった。
ミステリ的趣向はほとんどないに等しいが、サスペンスとしては高得点であろうと思う。

No.94 8点 ラットマン- 道尾秀介 2010/07/31 23:44
これが道尾氏の実力かと思わせるに十分な力作。
途中までは作者のミスリードにまんまと乗せられて、見事に騙された。
その先に更なる驚愕の真相が待っていようとは・・・。
ただ、過去の事件も含めて、伏線が少ないような気がする、その為真相を看破するのは難しいのではないかと思う。
アンフェアとまではいかないが、その点だけがやや不満。

No.93 7点 バイバイ、エンジェル- 笠井潔 2010/07/28 23:29
哲学部分を取り除いてみれば、スッキリとした本格ミステリに様変わりする。
しかし、本作においてはその哲学が肝要であり、どちらかと言えば作者が描きたかったのは、こちらにあるのではないかとも思える。
それでも、メイントリックはまさに本格と呼べるものであり、それだけでも絶賛に値する。

No.92 3点 ヴィラ・マグノリアの殺人- 若竹七海 2010/07/27 21:43
長すぎる、この内容なら短編で十分。
登場人物が多すぎて、誰が誰だか分からないし。
全体の2/3以上を占める容疑者同士の退屈な世間話を延々と読まされて、まるで拷問、挙句あの結末では・・・。
これがコージー・ミステリと呼ばれるものなら、二度と読みたくない。
しかし、姉妹編も同時購入してしまった為読まぬわけにはいかない、これには大後悔。

No.91 6点 巷説百物語- 京極夏彦 2010/07/25 23:30
読み始めた時は「おおっ、これは」と確かな手応えを感じたのだが、そのワクワク感は第一話に留まってしまった。
時代小説風の文体には違和感を覚える事はなかったが、どうも何か物足りなさを感じた。
これも期待の裏返しなのかも。

No.90 8点 ハサミ男- 殊能将之 2010/07/22 23:35
ネットで本作を検索していたら、いきなり見てはいけないネタバレが目に飛び込んできたという、苦い思い出のある作品。
叙述トリックの目玉を分かっていて敢えて読んだ訳だが、やはり予備知識なしで読みたかった。
そうすればもっと高得点になったはず。
でも、その他にも驚愕があったので許せた。
尚、最後の結び方はなかなか味のある結末だと思う。

No.89 5点 粘膜兄弟- 飴村行 2010/07/21 23:33
「粘膜シリーズ」前二作と比較すると、冗長な感は否めない。
本作のほうが一章から三章まで有機的な繋がりははっきりしているのだが、不用と思われるエピソードが羅列されており、やや退屈である。
最終的に作者が何を伝えたかったのか、私には理解できなかった。
根底に「愛」が流れているのは間違いないが、その愛の深みも今ひとつ感じられなかったのは残念である。

No.88 6点 未明の悪夢- 谺健二 2010/07/19 23:26
阪神淡路大震災直後の生々しい描写など、半端ではないポテンシャルを保持する貴重な作品ではある。
トリックは震災を実際に体験した者でなくては思いつかないものかも知れないが、ミステリをある程度読んでいる読者なら、苦もなく見破れてしまうのが残念。

No.87 6点 名探偵 木更津悠也- 麻耶雄嵩 2010/07/18 23:40
本格物の短編集としては水準を超えていると思う。
ただ、木更津の扱いはちょっと可哀想な気がする。
香月は相変わらず性格が悪いな、というのが実際の感想。
ワトソン役の新型としては成功しているかもしれないが、個人的にはあまり印象が良くなかったのでこの点数。

No.86 8点 迷路館の殺人- 綾辻行人 2010/07/17 23:42
これ程作中作を見事に昇華させた小説も珍しい。
叙述トリックはややアンフェアな部分もあるが、私にとっては驚愕と言えるものではあった。
鹿谷門美の「迷路館の殺人」でも十分面白かったが、さらにそれを巡っての攻防は読者サービスの精神に溢れていると思う。

No.85 7点 ひらけ!勝鬨橋- 島田荘司 2010/07/16 23:52
これぞユーモアミステリの傑作ではないかと。
まあ、ミステリではないかもしれないし、どちらかと言うと私の苦手なハードボイルド風味だが、老人達の生き生きした姿をユーモアたっぷりに描かれており、とても楽しく読ませてもらった。
青春に歳は関係ないのだと教示し、改めて島田氏の作風の幅広さを見せつけられた力作である。
ゲートボールの試合のシーンでは思わず手に汗握る事請け合い。

No.84 5点 館という名の楽園で- 歌野晶午 2010/07/15 23:41
ガチガチの館ものを期待すると肩透かしを喰らう。
限られたページ数で、本格的な館ものを描ききるのはやはり難しいのだろう。しかし、アイデアは評価できるし、推理作家ならではのオマージュは好感が持てる。
読後感が切ない。

No.83 6点 水銀虫- 朱川湊人 2010/07/14 23:56
朱川湊人氏らしからぬ、ダークで後味の悪いホラー短編集。
どの物語も、「水銀虫」に蝕まれた(罪を犯した)者達の末路が容赦なく描きこまれている。
いわゆる因果応報が根底に存在しているのだが、結末がはっきりとした形で示されていない為、読者は不安定な状況に置き去りにされる。
その辺りが後味の悪さに繋がっている、鬱小説である。

No.82 3点 殺人ピエロの孤島同窓会- 水田美意子 2010/07/11 23:49
小学生の女の子が描いたにしてはよく出来ているのではないだろうか。
しかし、内容的にはやはり高得点はあげられない。
ミステリというよりは、ホラーに近い作品なのだが、トリックやプロットといった肝心要の部分がすっぽりと抜け落ちている気がしてならない。
出版する側ももう少し考えて欲しいものである。

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メルカトルさん
ひとこと
「ミステリの祭典」の異端児、メルカトルです。変人でもあります。色んな意味で嫌われ者です(笑)。
最近では、自分好みの本格ミステリが見当たらず、過去の名作も読み尽した感があり、誰も読まないような作品ばか...
好きな作家
島田荘司 京極夏彦 綾辻行人 麻耶雄嵩 浦賀和宏 白井智之 他多数
採点傾向
平均点: 6.04点   採点数: 1901件
採点の多い作家(TOP10)
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島田荘司(25)
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