皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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simo10さん |
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平均点: 5.69点 | 書評数: 193件 |
No.15 | 6点 | しらみつぶしの時計- 法月綸太郎 | 2013/09/21 23:14 |
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ノンシリーズの短編集。以下の10作で構成されます。
①「使用中」:密室モノの新たなアプローチの提案にピンとこない若手編集部員と、それにイライラする中堅推理作家のやりとりが面白すぎる。 ②「ダブルプレイ」:犯罪ホロスコープで披露された交換殺人の発展系の原型?当事者が登場する分こちらの方が面白い。 ③「素人芸」:妻を殺してしまった夫の苦肉過ぎる策。コメディな雰囲気はあるが嫁さんが可哀相過ぎる‥ ④「盗まれた手紙」:なるほどと思ったがこのネタって暗号なんかですでに知られてる方法なのかな?作者自身が考えたのならすごいけど。 ⑤「イン・メモリアム」:ショートショート。残念ながら意味が解らなかった。 ⑥「猫の巡礼」:猫を飼っていないので本当なのかと思った。 ⑦「四色問題」:法月親子の原型っぽいキャラのやりとり。もはやこの雰囲気に対してアレルギー気味になっていることを実感。 ⑧「幽霊をやとった女」:何ページか読んですごくつまらなそうだったから読みませんでした。 ⑨「しらみつぶしの時計」:すごく論理的なパズル小説。ただラストが全然論理的じゃなかった。 ⑩「トゥ・オブ・アス」:二の悲劇の原型らしき作品。ただし例の二人称がない。 個人的に面白かったのは①②③⑨です。氏の作品とは思えないほどブラックユーモアにあふれてました。⑩も面白いとは思うけど好きな作品である二の悲劇の簡易版を読まされた感じで好きになれなかったです。残りは全てつまらかったです。 どうやら各作品の掲載時期がバラバラらしく、特に何かのコンセプトに従った短編集わけではなかったようで、評価もバラバラになりました。 |
No.14 | 4点 | 犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題- 法月綸太郎 | 2013/05/23 22:17 |
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--ネタばれ含みます--
十二星座シリーズ(?)第二弾。以下の六話で構成されています。 ①「[天秤座]宿命の交わる城で」:交換殺人もの。ちょっとややこしいけど良く出来ている。短編にしとくのが勿体ない。 ②「[蠍座]三人の女神の問題」:犯人が犯行後に三人の人物に電話をかけた真の理由は…なるほどなとは思うけどインパクト薄し。 ③「[射手座]オーキュロエの死」:ちょい役にわざわざ名前を与える時点で読者は勘繰ってしまうんだから気を遣って欲しい。(名前無くても良かったんじゃない?) ④「[山羊座]錯乱のシランクス」:ダイイングメッセージもの。こういった駄洒落系は嫌いです。 ⑤「[水瓶座]ガニュメデスの骸」:変則的誘拐もの。息子が男の娘(おとこのこ)である必要があるのだろうか? ⑥「[魚座]引き裂かれた双魚」:会長が息子の生まれ変わりを探す真の理由は?という結果論的ワイダニットにあたるんですかね。 第一弾と同様、縛りがあるせいでどれもキツそうです。①、②は法月親子の会話のみで成立しており、謎解きに注力している感じです。好きな人は良いでしょうが私には無機質過ぎてイマイチです。残りの作品は事件関係者が登場してきて物語性はありますが、どれもインパクトに欠けるかな。私は探偵法月綸太郎が好きでないと思っていたのですが、この親子が作り出す雰囲気、特に法月警視の方が苦手だということを発見しました。 |
No.13 | 4点 | パズル崩壊- 法月綸太郎 | 2010/10/31 22:08 |
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8つの短編で構成されています。
①「重ねて二つ」:必然性を無視して、トリックのためのトリックを意図して描いた様ですね。 ②「懐中電灯」:倒叙ものです。詰め将棋で追い詰める刑事、最後に明される犯人のわずかなミス、潔く自白する犯人等々、古畑任三郎っぽい作品でした。 ③「黒のマリア」:密室殺人ものです。結局彼女は真相を知らなかったんですね。 ④「トランスミッション」:ミステリではないですが「世にも奇妙な物語」っぽくて面白かったです。 ⑤「シャドウプレイ」:意味が解りません。前作の探偵「羽佐間彰」と関連があるんでしょうか? ⑥「ロスマクドナルドは…(略)」:ロスマクドナルドを知らない私に取っては苦痛でした。最後のどんでんらしき展開も完全スルーです。 ⑦「カットアウト」:回りくどい文体が煩わしかったのですが、読み終わってから良い作品だと気がつきました。やはり法月氏のワイダニットは良いですね。 ⑧「(略)」:探偵法月綸太郎が登場。しかし意味が解りませんでした。 個人的に気に入ったのは②④⑦ですかね。全体的にはタイトル通り、確かに「崩壊」している印象でした。 |
No.12 | 4点 | 犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題- 法月綸太郎 | 2010/10/19 21:20 |
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探偵法月綸太郎シリーズの短編集です。
十二星座の各星座をテーマに十二作の短編があり、そのうち6つを収録したものが本作の様です。 ①「牡羊座:ギリシャ羊の謎」:晴良さん酷すぎますよ。真相はチープ。 ②「牡牛座:六人の女王の問題」:パズルというかクイズというか…終始読んでいてイライラしました。 ③「双子座:ゼウスの息子達」:フーダニットもの。支配人のおっちゃんの話し振りが絶妙(確かに嘘は言っていない)。ラストが決まり過ぎ。 ④「蟹座:ヒュドラの第十の首」:ちょっとしたフーダニットもの。最後のどんでんが読めてしまうタイトルの付け方が軽率。 ⑤「獅子座:鏡の中のライオン」:作中作が非常に面白そうだったが、本編は… ⑥「乙女座:冥府に囚われた娘」:ドラッグの横行、熱中症といった社会現象をベースにしたフーダニットもの。後味が悪いが締めは決まった。 作品ごとの出来がかなりばらついている印象です。③、④、⑥は良いのですが①、②、⑤は読んでいてイラつきました。これまでの短編集の出来からは大分落ちます。 |
No.11 | 8点 | 二の悲劇- 法月綸太郎 | 2010/09/21 22:02 |
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-ネタばれ含みます-
まさに悲劇的な話でしたが、非常に美しい作品だと思いました。 前半は二人称部分の回りくどさも含め、ややだるい展開でしたが、中盤での百合子の母の語り、奈津美の日記の辺りからぐいぐいと読まされました。 著者の長編にありがちな、自分的には食傷気味だった「複雑な血縁関係」が登場しなかったのも良かったです。 また、真相にも納得がいきました。 論理的に推理するのは難しいかも知れませんが、タイトル、二人称、誤認等のキーワードから考慮すれば、直感的に真相に辿り着くことは可能だと思います。 ちなみに、「頼子~」、「一の悲劇」、「身投げ女~」などのように、探偵法月綸太郎以外の人物が語り手を担っている作品の方が自分的に高評価な結果になっていると思いました。 |
No.10 | 6点 | 生首に聞いてみろ- 法月綸太郎 | 2010/09/04 02:37 |
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-ネタばれあり-
まず、タイトルと作風のギャップに違和感を感じました。地理的に馴染みがあるせいか、物静かな情景が浮かんで、作品世界に惹きこまれました。もう少しこのタイトル何とかならんのでしょうか? ミステリとしては、終盤での伏線の回収の手際が良かったと思います。ただし、「なるほど」とは思わせられたけど、ビックリはさせてくれなかったので物足りなさを感じてしまいます。 生首に関しても説明はついているけど、それでもやっぱり「そこまでするかいな」と思ってしまう。 また、著者の長編にお馴染みの複雑な(今回は偽りのだけど)血縁関係に食傷気味です。どうしても安っぽい2時間サスペンスドラマを見た気分にさせられる。 あと、いつの間にか国友レイカがフェードアウトしていたのが気になった。 犯人のインパクトも弱い等、何かとタイトル負けしたインパクトの弱さが目に付く作品ですが、個人的にはこの雰囲気は好きでした。 |
No.9 | 6点 | 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 | 2010/08/24 21:46 |
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探偵法月綸太郎の短編集第三弾。五話構成です。
①「イコールYの悲劇」:ダイイングメッセージものはやっぱりクイズ的な感じが否めない。ラストはぞっとしました。 ②「中国蝸牛の謎」:蝸牛をモチーフにした密室もの。蝸牛にちょっと詳しくなれます。 ③「都市伝説パズル」:都市伝説を利用した心理トリック。著者には珍しく簡単なトリックでした。評価が高くて意外。 ④「ABCD包囲網」:謎の提示までは非常に興味を引かれたが、動機が納得いかない。最後の締括りも解らんかった。 ⑤「縊心伝心」:安楽椅子探偵モノ。基本的にダークな話は好きだけど、こういったリアルなダークさは嫌だと分かりました。 どれも水準以上の出来だと思いますが、個人的にはヒットした作品はありませんでした。 |
No.8 | 7点 | 法月綸太郎の新冒険- 法月綸太郎 | 2010/08/21 13:41 |
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-ネタばれ含みます-
探偵法月綸太郎の短編モノ第二弾。以下の五作品にて構成されます。 ①「背信の交点」:著者には珍しい列車モノだけど本質はワイダニットかな。どの結果でも哀しいです。 ②「世界の神秘を解く男」:功名心を利用した恐ろしい罠。ラストの綸太郎がちょっと格好いい。 ③「身投げ女のブルース」:これまた著者には珍しい○○モノ。もう一つの事件の存在に戦慄が走りました。 ④「現場から生中継」:電話アリバイトリックものは犯人のつまづきがワンパターンなのでイマイチ。 ⑤「リターン・ザ・ギフト」:交換殺人をベースにしたワイダニットもの。論理の構築部が多く、やや面倒。 どの作品もレベルが高いです。個人的には③が好きですね。 |
No.7 | 7点 | 法月綸太郎の冒険- 法月綸太郎 | 2010/07/08 23:30 |
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探偵法月綸太郎の短編モノ。以下の七作品にて構成されます。
①「死刑囚パズル」:何故死刑執行直前の囚人が殺されたのか?論理的に犯人を導くフーダニット形式を取りながらもワイダニットとのバランスも良い。 ②「黒衣の家」:予想外のショッキングな結末。綸太郎は良く動機が分かったものだ。 ③「カニバリズム小論」:ワイダニットに絞りつつ、ラストに捻りが効いている。 ④「切り裂き魔」:こうするしかなかったんですとは言うが、そんなことはないでしょうと思ってしまう。 ⑤「緑の扉は危険」:密室殺人もの。強引だけど大胆さが好きです。 ⑥「土曜日の本」:結局主題に対する解答はなく、ミステリではない。作家が全員判明できずにちょっと悔しい。 ⑦「過ぎにし薔薇は…」:お題的に「切り裂き魔」と変わらず、動機が後付けな印象がする。 ⑤を除いて、全体的にワイダニットに重点を置いた形式のようです。 ①②③がダークな話で個人的に好きだったのですが、④⑤⑥⑦の図書館シリーズが軽すぎて一冊の本としてバランスが悪くなっている印象です。 どうせなら作風に合わせて別々の本にして欲しかった。 |
No.6 | 5点 | ふたたび赤い悪夢- 法月綸太郎 | 2010/07/04 22:54 |
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本作は「雪密室」と「頼子のために」の続編的なものとして描かれており、「頼子~」に関しては結構ネタばれされているので未読の方は十分注意されたし。
ミステリ部分としては、謎自体がイマイチ惹かれるものではなかったし、真相も「ふうん」といったところ。 物語としては「誰彼」、「頼子~」、「一の悲劇」に続いて四作続けて複雑過ぎる血縁関係が描かれているため、少々食傷気味ではありました。 とはいえ文庫版で600ページ強と結構なボリュームだったのですが、連作の総決算として、重いテーマながらもぐいぐいと読めました。 珍しく(?)、ようやく救われるオチとなってホッとしました。 (ちなみにクイーンに関連して云々言うのは、私にとっては異次元の話であり、正直さっぱりでした。) |
No.5 | 6点 | 一の悲劇- 法月綸太郎 | 2010/07/04 22:28 |
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-ネタばれ含みます-
シリーズ四作目にして初の誘拐ミステリです。 探偵法月綸太郎視点ではなく、被害者の父親視点で描かれているため、緊迫感が伝わってきます。 密室トリックのほうはイマイチでしたが、真犯人はある意味ベタだったのが逆に意外でした。 この真犯人の存在によって、悲劇的な結末ではあったのですが、物語に一本芯が通ったような気がします。 「頼子~」に続き、非常に読み易いです。 |
No.4 | 6点 | 頼子のために- 法月綸太郎 | 2010/06/24 20:45 |
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法月氏の作品は四作品目になりますが、この作品はこれまでの作品に見られるような論理的な表現が抑えられており、恐らく多くの人にとってかなり読み易い仕上りになっていると思います。
また、タイトルから何となく予想ついたのですが、私好みのなかなかダークな作風でした。特に序盤の手記にはかなり感情移入させられました。 ラストの真相にもなかなか驚かされました。 しかし、全体的に面白いとは思ったのですが、何かもう一つ足りない気がする… |
No.3 | 4点 | 誰彼- 法月綸太郎 | 2010/06/19 11:45 |
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これまでの氏の作品の後書きを見ていると、一作ごとに作風が大きく変わるとのことがよく書かれていたが、この三作品目を読み終えた印象は、例のごとく情報を論理的に細かくつついており、あまり変わらないなあといったところ。
また、「綸太郎の推理」⇒「ハズレ」の繰り返しが大半を占めるため、物語性に欠けた印象も受けます。 的はずれとも言える推理を繰り返す中で、時には正しい情報が含まれているため、その情報の取捨選択を楽しめるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかの分かれ道になりそう。(正直、自分には合いませんでした。) 三作続けて、ページをめくる指がなかなか進まない… |
No.2 | 4点 | 雪密室- 法月綸太郎 | 2010/05/29 14:05 |
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-ネタばれ含みます-
探偵「法月綸太郎」シリーズを初めて読みました。 タイトル通り、雪の密室一本に絞った作品です。 招待主である篠塚真棹を筆頭に、招待客達も皆一様に腹にイチモツ抱えている様な序盤の雰囲気は良かったです。 それらの正体もなかなか明かさずに焦らす手法も気に入りました。 ただ、肝心のトリックが共犯モノだったので、どうしてもガッカリしてしまいます。 まだ読み始めたばっかりだけど、この先このシリーズを読んでいけるだろうかと憂鬱になる。 |
No.1 | 5点 | 密閉教室- 法月綸太郎 | 2010/05/04 00:49 |
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密室殺人をメインとしてハウダニット、フーダニット、ワイダニット全てを含んだ贅沢な構成になっています。
ミステリ的にかなり細かい所まで論理的に構築されており、良くできていると思うのですが、必ずしもそのことが「読んでいて楽しい」という所につながらなかったのが正直痛い。 最初は主人公を含めた各生徒達のありえない言い回しに違和感いっぱいだったのですが、慣れれば逆に楽しめてきました。 かなりクセのある作品で、好きな人にはたまらないかも。 |