皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
nukkamさん |
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平均点: 5.44点 | 書評数: 2813件 |
No.3 | 6点 | 夜歩く- 横溝正史 | 2009/06/12 09:35 |
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(ネタバレなしです) 1948年発表の金田一耕助シリーズ第3作である本書の前には「本陣殺人事件」(1946年)や「獄門島」(1947年)、後には「八つ墓村」(1949年)や「犬神家の一族」(1950年)といった代表作とされる作品が次々に発表されており、それらと比べて知名度で劣るのは地方色や時代色といった背景描写が弱いからでしょうか。逆に考えれば今読んでもさほど古さを感じさせないという長所でもあるのですけど。語り手による1人称形式を効果的に使って重く暗くそしてサスペンス濃厚な雰囲気づくりに成功している点はやはり全盛期に書かれた作品だということを納得させます。 |
No.2 | 5点 | 三つ首塔- 横溝正史 | 2009/04/03 17:12 |
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(ネタバレなしです) 1955年発表の金田一耕介シリーズ第11作ではありますが名探偵としての推理らしい推理をすることもなく(登場シーンも少ないです)、殺人事件は場当たり的に解決してしまいますので本格派推理小説としては楽しめません。犯罪に巻き込まれたヒロインがこれまで全く縁のなかった裏社会の人間模様にカルチャーショックを受けていく様を丁寧に描いていた通俗スリラーです。21世紀の読者視点では世間知らずのヒロインの内面描写に古臭ささを感じるかもしれませんが、遺産を巡ってのサバイバル・ゲームにも通じるサスペンスと連続殺人の絡ませ方は巧妙でぐいぐい読ませます。風俗描写に力を入れすぎてせっかくの三つ首塔がいまひとつ存在感がなかったのは惜しいですが。 |
No.1 | 10点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2009/01/14 09:29 |
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(ネタバレなしです) 1949年から雑誌連載が開始され、途中で中断を挟みながらも1951年に完結となった金田一耕助シリーズ第5作ですが今回はあまり名探偵らしさを発揮していませんし(登場シーンも少なく、ほとんど脇役です)、本格派推理小説としては問題点も多いです。しかし巻き込まれ型サスペンスと冒険スリラーのミックスタイプとしては最高の出来栄えで、壮大なスケールとはらはらする展開にページをめくる手が止まりません。 |