皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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makomakoさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 861件 |
No.25 | 6点 | 君に読ませたいミステリがあるんだ- 東川篤哉 | 2023/11/04 17:26 |
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一種の連作なのですが、一筋縄ではいかないお話となっていますので、是非順番に読みましょう。
初めの「音楽堂の殺人」はとんでもない駄作みたいです。 これっていままで没になっていたネタを何とか使ってごまかすためにこんな設定を考え出したの?と疑ってしまうほど。自ら突っ込みを入れてあらをごまかしたような作品と感じました。 ところが2作、3作と呼んでいくとそれなりに出来は良くなってきます。勿論突っ込みがいくらでも入るのですが。 最後の「エックス山のアリバイ」も禁じ手のようなトリックである意味あきれるのですが、そうも変だぞ。なんかおかしい。と感じた時にはすっかり作者の仕掛けにはまっていました。 やられました。最終的には面白いですよ。 |
No.24 | 7点 | 谷根千ミステリ散歩 中途半端な逆さま問題- 東川篤哉 | 2023/08/19 07:22 |
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東川氏の作風は好きなのです。
このところちょっとマンネリ化しているようにも思っていましたが、本作品は新しいヒロインがなかなか素敵です。名前もいいなあ(岩篠つみれ、いわしのつみれ)。イワシ専門料理屋イワシの吾郎の娘さん。お父さんは岩篠吾郎、お兄さんは岩篠なめ郎。探偵は怪運堂なるラッキーグッズ販売い店を営むかなり怪しくて軽いところがある変人。 短編集というべき4つのお話です。それぞれそれなりの凝ったところがありますが、ユーモアを取り除くと古典的作品のトリックをひねっとようなものがほとんどですので、まじめに読んでは面白くないかもしれません。 ユーモアにくすりと笑いながら読んだことがあるような古典トリックを思い浮かべて読むべきなんでしょう。 |
No.23 | 8点 | 仕掛島- 東川篤哉 | 2022/11/06 07:49 |
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館島の続編ともいえるお話です。作者はユーモアミステリーの旗手として知られており、もちろんこの作品でもユーモアセンスたっぷりですが、館島と同様がっちりした本格物です。
はじめは従来のユーモアミステリーの色が濃いのですが、瀬戸内海の孤島で起きる不可解な殺人事件が20年以上前の事件と絡み合って、読み進むにつれ興味深い展開となります。 最終的には見事などんでん返し。 お話はプロローグからすべて意味があり、しかもきちんと収まります。 館島は私見では作者の最高傑作と思っていますが、それに肩を並べる素晴らしい作品でした。 表装の絵もよいですね。いかにも奇怪な島でこれから本格ミステリーが始まるぞっていった感じがよく出ています。 |
No.22 | 6点 | ハッピーアワーは終わらない- 東川篤哉 | 2022/04/02 22:12 |
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かがやき荘のアラサー女子3人が謎を解いていくという設定は前作と変わりない。
本作品では3人の個性がはっきり出てきた結果、謎を解くのは小野寺葵だけであとの二人はおはなしをにぎやかにしているだけといった風になってしまっているのはちょっと残念なところです。 作者特有のユーモアはまあまあといったところでしょう。 なお本作品は改題されているので現在は「かがやき荘西荻探偵局2」ということとなっています。 |
No.21 | 5点 | ライオンの棲む街- 東川篤哉 | 2020/11/29 08:41 |
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東川氏の作品はいつもサービス精神にあふれ、楽しませてもらっているのですが、このお話はユーモアも内容も今一つといった感じでした。
トリックはそこそこ、それをユーモアで補うといった作品なのでユーモア度が下がると作品の価値も下がってしまいます。 何より探偵のエルザがあまりにも言葉使いが悪すぎる。勿論そういったキャラクターなのでしょうが、ちょっとやりすぎなのでは。本当は上品な家庭で育って、時々すごく丁寧な言葉でしょべるようなキャラクターのほうがよかったかも。 |
No.20 | 6点 | 探偵少女アリサの事件簿 今回は泣かずにやってます- 東川篤哉 | 2020/10/31 07:19 |
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東川氏のユーモアミステリーは最近キャラクターをどんどん増やしているようです。
探偵少女アリサもその一人。 氏は純粋推理としては問題があるが、そこをユーモア小説だからこんなもんで許してね、といったお話なのでかえって大胆なトリックが出てきたりして毎回楽しませてくれます。 今回もその系統のお話ですが、ちょっとユーモア度が足りないかな。 この子を主人公とすればまだ何作も書けそう。次回を期待しましょう。 |
No.19 | 7点 | 探偵さえいなければ- 東川篤哉 | 2020/01/18 07:37 |
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このシリーズはどれをとっても楽しく読めるので、発売されると必ず買ってしまいます。
今回もなかなか面白い。ギャグはいつもより面白く、読んでいてクスっと笑ってしまったことが何度もありました。 本格推理小説並みのすごい謎が提示され、またとんでもない解決が最後に来るといったお決まりのコースを踏んでいますが、これを本格推理でやるとちょっとないでしょうということとなるのが、ユーモアミステリーではなるほどとなるのが不思議です。 次作も期待しています。 |
No.18 | 7点 | かがやき荘アラサー探偵局- 東川篤哉 | 2019/05/06 09:42 |
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文庫化され「かがやき荘西萩探偵局」改題された方を読んだ感想です。
はじめはアラサーの三人がちょっと感じ悪いところもありましたが、その後は例によってのユーモアミステリーに違和感なくはいっていけました。 東川氏のお話はきちんと本格小説として出来上がった上にユーモアが入るといったもので、いかにも馬鹿らしい内容にユユーモアだけ付け加えたものとは一線を画しているものと思っています。 本作品もその路線にたがわず、きちんとした(それほどでもないか)推理小説に出来上がっていると思います。 なかなか奇抜な推理もあり、これが真正面からの本格物だとちょっとなあといったところもあるのですが、まあ許せてしまいます。 結構面白いです。続編が楽しみですね。 |
No.17 | 6点 | 探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて- 東川篤哉 | 2017/08/13 17:24 |
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本作品は東川氏の小学生探偵少女という新しいキャラクターの始まりなのでしょう。
なかなか面白いキャラだしこの路線なら多分何作かは、楽しませていただけそうです。 本作品は連作集となっており、それなりに本格でもあります。何でも屋の橘くんに小学生探偵有紗ちゃんがメインキャラクター。 いつも有紗ちゃんのお父さんが国内難事件で出張する間の子守役を橘くんに頼むのだが、お母さんはさらに有名な世界的探偵で外国へ行っていることとなっている。お父さんの出張事件もお母さんの出張事件も、推理小説ファンならすぐピンとくる有名な本格推理小説の事件なのは作者のサービスなのでしょう。 私としては一番最初の「名探偵溝の口に現れる」がユーモアが効いて一番面白かった。 次作を期待して待ちます。 |
No.16 | 6点 | 私の嫌いな探偵- 東川篤哉 | 2016/03/18 07:57 |
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烏賊川シリーズは結構気に入っているのですが、これはまあ普通ぐらい。
作者も最近は売れっ子となり著作も大量に必要となったいるので多少ゆるくなっているのでしょうか。 それでも本格としての体裁はきちんと保っている。まあユーモアミステリーでなければ怒るようなトリックもありますが。 |
No.15 | 6点 | 魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?- 東川篤哉 | 2015/10/24 15:09 |
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推理小説に魔法使いが出てきては反則でしょう。なんせどんな密室でも魔法でとおりぬけ、瞬間移動でアリバイができたではお話にならないのですから。
まあ本作品はこんなとんでもないことはやっていません(あたりまえか) 倒叙型推理小説といった分類となるのでしょうか。なんせ犯人は分かっているし犯罪方法もはじめに述べてあるのですから。これをさえない刑事がマリィが魔法で解決?させたものを、現実に合わせての解決へ持ち込むといった推理小説としてあまり見たことがない筋書きとなったいます。 第1作の魔法使いといかさまの部屋を読んだときは、大分がっかり。いつものギャグも大して面白くないし。さらに読んでいくとこの設定になれたのかまあ面白くは読めました。 東川氏のファンとしては「謎解きはディナーの後で」がヒットする前の作品のほうが好みです。作者も売れっ子となり忙しいのか、作品の質がやや低下してきたように思われるのは残念です。 |
No.14 | 6点 | 謎解きはディナーのあとで 3- 東川篤哉 | 2015/03/06 21:01 |
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このシリーズがどうして大ヒットしたのかよくわからない。作者を著名人にしたヒット作なので続編を出すのは出版業界として当然ではあるが、ひょっとして作者自身もあまり続編が書きたくなかったのかも。
続編が出るたびにちょっとずつクオリティーが落ちる感じがします。 このあたりでこのシリーズは終了がよさそうですね。 |
No.13 | 7点 | 中途半端な密室- 東川篤哉 | 2015/01/30 07:50 |
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東川氏の初期の短編集。作家としてデビュー前から、氏がユーモアと本格物を合体させた作品を目指していたことが読み取れて好ましい。
トリックを主体とした短編なのですが、丸太小屋が10分で消失するなど大規模なトリックもあり、なかなかのものです。これに怪奇色を付けて、わけのわかったようなわからないような話を織り交ぜて長編とする作家さんもいるでしょうが、読みやすい文章できちんとした短編としているのは若い作者の資質を感じさせるものでした。 |
No.12 | 6点 | もう誘拐なんてしない- 東川篤哉 | 2015/01/18 15:18 |
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出だしの翔太郎がたこ焼き屋を無理やりやらされるまでは絶好調。笑いが止まらない展開でしたが、その後少しテンションが落ち誘拐の本番あたりとなるとまあ普通かな。悪くはないけど、すごいなあっていうほどではない。
何となく知っているようなトリックも使ってあり(作者もちゃんとネタがあることを示している)、いつものようにちゃんとした推理小説ともなっていると思います。 ただ純粋に本格物のしてみると印刷屋の殺人がうやむやになているのがちょっと気になります。 |
No.11 | 6点 | はやく名探偵になりたい- 東川篤哉 | 2014/01/19 10:16 |
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このシリーズのファンなのですが、これはもう一つでした。ユーモアも若干足りないし、トリックも無理が多すぎるのです。
でも本格物の大家とされる方の作品で「どんどんーー」や「奇想--」みたいに無茶なトリックを見せられるとそりゃないよと思ってしまうのだが、もともとお遊びですと断っているようなシリーズではまあ許せるかな。あとからみればちゃんと伏線も張ってあることだし。 悪くはないのだが、ファンとしては作者にはもうちょっとパンチが効いた作品を期待したい。 |
No.10 | 8点 | 殺意は必ず三度ある- 東川篤哉 | 2014/01/10 20:51 |
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このシリーズは作者が代表作というだけあってユーモアもミステリーも出来がよい。
物語のはじめは抱腹絶倒といってよい面白さで、何度も声を出して笑ってしまった。電車の中などで読むと変な人と勘違いされそうなので一人で読んだほうがよいかも。 途中から本格推理小説となりこれも実にきちんと書かれている。トリックも大胆で周到と思います。個人的には作者がブレークしたディナーシリーズよりずっとよい出来だと思います。 以下多少ネタバレ。 減点はご主人が亡くなったのにえらく冷静で悲しみなどほとんどみせずに謎を解いていく車椅子の婦人。悪くかかれてはいないのですが実際の行動としてはとても冷たく違和感を感じたところです。 |
No.9 | 7点 | 放課後はミステリーとともに- 東川篤哉 | 2013/12/27 20:30 |
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私としては作者の名を知らしめた「謎解きはーー」シリーズよりこちらのほうが好きです。本格物としても明らかに上だと思うのです。
まず名前が良い。探偵が(あんまり探偵として機能してはいないが)霧ヶ峰涼とは実に覚えやすい。なかなか愛らしいキャラクターで読んでいてだんだん好きになりました。 結構なトリックも楽しめる。お話ごとに結構大胆なトリックを惜しげなく投入しているんです。まあ現実には無理そうなトリックもあるけど、ユーモアミステリーだから許せてしまう。 バカミスなる小説ではしばしば内容も貧弱でばかばかしいものがみうけられるけど、作者の小説はそれとは一線を画する本格ユーモアミステリーと思います。 |
No.8 | 6点 | 謎解きはディナーのあとで 2- 東川篤哉 | 2013/12/03 18:09 |
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このシリーズがどうしてこんなにあたったのか分からない。氏の作品にはもっと面白いものがたくさんあるのだが。
でもこれだってまあ悪くはない。ユーモアがパターン化されているのであんまり笑えないが、きちんと本格していると思います。さらっと読むには良いのではないでしょうか。 ところで今回も気になったのですが、作者はジャガーが左ハンドルであると思っているようです(他の作品でも日本のスポーツとジャガーが並んで止まって運転手が両側から出てきたというシーンがあった)。イギリスは日本と同じ「人は右車は左」の交通ルールの世界なので当然ジャガーは右ハンドルなのです(なぜかウインカーとワイパーの配置は日本と反対についているの)。 本格物をはじめて読む方にとってはハードルが低く、しかも本格物の楽しさは味わえるのですからお勧めではないかと思います。 |
No.7 | 6点 | 謎解きはディナーのあとで- 東川篤哉 | 2012/11/24 17:51 |
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東川氏の作品の中では特に優れているともいえないが、なぜかとてもよく売れて作者の名前が急にメジャーとなっためでたい作品。 個人的好みからいうと氏の作品はもっと優れたものがあると思うのですが。
売り方と表装がうけたのでしょうかね。 ドラマ化されたけどこちらはユニークな設定がばかばかしく見えてしまってぜんぜんよくなかった。ミステリーのドラマ化はよくされるのだが、まず原作より面白いものにお目にかかれない。 原作のほうがよいのでドラマをみてつまらなかった人もぜひ読んでみてください。 これを期に作者の作品を読む人が増えればよいですね。ユーモアと本格を組み合わせた東川氏作品のファンの一人として願っています。 |
No.6 | 8点 | 館島- 東川篤哉 | 2009/09/21 09:16 |
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久しぶりに読んだ大仕掛けなトリックでした。島田荘司の「斜め屋敷」に匹敵しそうなすごくへんてこりんな建物。絶対にこれが何かの種であることは誰でも気づくのだがこのような大トリックとは。
東川氏はユーモアミステリーでありながら本格志向を忘れない好きな作者ですが、本格のところを冗談で済ます傾向がありやや残念に思っていました。もう少し本格にふった小説がほしかったのです。 これはまさに私が期待していた本格志向の強いもので、本格物が好きな方は是非一読を。 ただ本格のトリックとしては少し調べれば分かってしまうような穴はあり、他の作品では冗談で済んでいたものが傷のように感じてしまう。ユーモアと本格の両立は難しいのかもしれない。 |