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makomakoさん
平均点: 6.18点 書評数: 861件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.201 8点 スイス時計の謎- 有栖川有栖 2011/06/09 21:38
スイス時計の謎は本格推理としてよく出来た作品と思います。この程度以上の長さがないとアリスと火村の掛け合いの楽しみが薄れてしまうのでちょうどよいのかも。いかにも本格らしいロジックにあふれていますが、しっかりと読んでいかないと意味不明の推理となりそうではあります。本格推理が好きな読者にとっては興味深い展開なので、当然私も興味しんしんで読みました。そのほかに3篇ではあるYの悲劇はまずまず。女彫刻家の首はちょっと落ちる。シャイロックの密室はトリック一本での勝負作。現実にこの話どうりになるかはかなり疑問ではあるが(理系の人間はすぐこういうことを考えていけませんね)まあ良しとしましょう。

No.200 4点 郷愁という名の密室- 牧薩次 2011/06/04 22:11
牧薩次名での完全恋愛はなかなかよかったので読んでみたが、全く趣が違う作品。はっきり言ってぱっとしない。夢の中での密室がどうのこうのといわれても現実感はない。密室となった場面での挿絵があるけど、こんな絵でどんな説明となっているのか分からないようなしろもの。完全恋愛のようなみずみずしさがなくて、大分水分が抜けてしまったような気の抜けた印象でした。

No.199 6点 オーデュボンの祈り- 伊坂幸太郎 2011/05/31 21:06
好みが分かれる話だと思います。現実離れしたシュールな作品で好みからいえば余り好きではない。しかし受け付けないこともない。作者の力は十分に感じる。ミステリーとしては完全に解決していないしもやもや感が残るけど、こういった話なら仕方がないのでしょう。もっと若い頃に読んだらもうちょっと共感したかも。伊坂氏の作品は読みにくそうだったので今まで敬遠していたのですが、これぐらいならなんとかなりそう。他も読んでみようかな。

No.198 5点 ささらさや- 加納朋子 2011/05/28 08:12
 女性しか書けない内容ではある。女性が書いたから奥さんを「ばかっさや」なんて呼んでいても許されるのでしょう。内気で恥ずかしがりで自分のことをはっきり表現できない女性というのはちょっとの付き合いならムードがあってよいのだがずっといたらうっとうしいことこの上ない。しかも変に頑固で理詰め話をすると黙り込んで逃げていってしまう。爺さんにも一理ある話なのに全く聞こうとしない困った嫁。爺さんの立場から言えば家族に愛されていた息子が変な女と一緒になってもう嫁の言うことしか聞かなくなった上に、急死したら嫁は孫を連れて逃げてしまい孫に会わせてもくれないといったことになると思うが(自分が爺さんだからこんなとりかたをしてしまうのです)。
 こういった女性は職場にもいるのだが、放っておけないから話を聴いて、明らかに損な事をしているので止めてはどうかと余計なおせっかいをして黙りこくられる。一緒に仕事をするには本当に大変な人だが良い人手もあるのでむげにはできないし。
 ミステリーの度合いは大変低いがまあほんわかとした雰囲気ではあるのでそれを味わうといったところでしょう。
 

No.197 5点 六月六日生まれの天使- 愛川晶 2011/05/24 18:42
 帯に読み終えた後必ずもう一度読みたくなりますとあるが、確かに私はもう一度読み直した。ただし感動したとか面白かったためではなく一度読んだだけだとどうもよく分からないところが多くあって、すっきりしないためだが。
 読み直すとだいたいは納得したのだが、それでももうひとつはっきりしないところが残った。さすがにもう一度読む気はしないのでこれで終わりとした。エログロが出てきた割には嫌な作品ではないがすきでもない。愛川氏の作品は比較的好んでいたのだが。

No.196 7点 i(アイ)―鏡に消えた殺人者- 今邑彩 2011/05/23 18:22
出だしがあまり好きでないが途中はなかなか本格推理としてよくできていると思う。作者は怪奇と本格推理の癒合を目指したとのことだがこういった方向は嫌いではない。結構楽しく読んだので私としては評価は高いほうです。ただ最後のどんでん返しも意外性があって面白いのだが、女性の感覚なのだろうか主人公の行動がどうにも腑に落ちない。最後の数ページは怪奇趣味の結果だろうがせっかくの本格推理がなんだか消化不良の結果となってしまった。

No.195 6点 ホラー作家の棲む家- 三津田信三 2011/05/19 22:01
刀城シリーズは大好きなのだが、こういった現実と物語の混在したような作品はどうもあわない。ホラーもあんまり好きではない。処女作ということだが、導入部分が長く退屈なのはその後の作品と共通しているようだ。我慢して読んでいくとだんだん興味深い内容となってくるが、おしまいのほうはどうもよく分からない。作者も多分分からせようと思ってはいないのだろう。それにしてもこんな家に住もうと思うことじたいが私の感覚では理解できそうにない。

No.194 5点 インシテミル- 米澤穂信 2011/05/13 18:50
読み始めはとても面白そうでどうなることかとはらはらしながら読んだ。読み進むにつれてこんな設定は不自然ということはさておいて、人殺しを全くのゲームとしてみている組織にだんだん腹立たしくなってきた。登場人物にも同様の人物がいてとても嫌な感じ。私が今まで読んだ作者の作品とは最後のほうが大幅に違う。最後に新たな殺人ゲームを企画するにいたっては悪趣味としか思えない。推理小説はしょせん殺人をお遊びとして楽しむのではないかといってしまえばそれまでではあるが。読み始めてたらひきつけられて読んだ割には読後感が悪い。

No.193 7点 ルームメイト- 今邑彩 2011/05/09 19:50
意外と皆さんの評価が低いけど、私は結構楽しく読みました。ミステリーとしてもできは良いし、すらすらと読めて興味津々のところもあっていいじゃないですかねえ。
以下ネタバレが少し。
多重人格が主題となっていますが、本当に多重人格なんてあるのかと思い友人の精神科医に聞いてみたらたまには経験するとのこと。うーんそんな人に会ったことないけどなあ。まあ隕石に当たって死ぬというよりは現実味があるということでしょう。

No.192 7点 タイトルマッチ- 岡嶋二人 2011/05/01 09:45
 ボクシングは好きなので興味深く読んだ。誘拐犯の要求が実にユニークで私にとってはかなり最後になるまで犯人も分からずどうなることかと読み進んでいった。誘拐をテーマとすると卑怯でいやみな印象を受けることが多いが、本作品にはそういったことは無かった。残念ながら死亡者が出てしまうが(死なない設定だってありえそうなのに)最後もなかなか気分が良い。さらりと読むにはちょうど良い作品。

No.191 7点 眠れぬ夜の殺人- 岡嶋二人 2011/04/25 19:58
 出だしがよろしくない。善良な市民が不幸にも犯罪者となっていくというくだりは推理小説では時々あるが、こういった設定が嫌いだ。特に筆力の優れた作者だと現実味が増して実にやりきれない。途中で読めようかと思ったが岡島二人なので我慢して読んでいった。
 読んでよかった。最初の不愉快さは見事に解消され最後はなかなか気分がよくなった。続編もあるというから探して読んでみよう。それにしても聡美という女性はなかなか魅力的。お相手なしたくないけどね。

No.190 5点 46番目の密室- 有栖川有栖 2011/04/23 21:37
火村と作家アリスシリーズの記念すべき第1作。初めてこれを読んだときは学生アリスの探偵江神さんと比べてだいぶ落ちるなあと少なからずがっかりした覚えがある。今回再読してみたがやっぱり同じ感触であった。有栖川氏の作品の多くははトリックだけでなく情緒や雰囲気を楽しめるのだが、本作品は雰囲気もさほどでなくトリックもまあこんなものといった程度。火村助教授も作品を重ねるたびにいい感じになったように思うがこの作品ではいまいち。

No.189 8点 風果つる館の殺人- 加賀美雅之 2011/04/17 09:24
 物語の雰囲気も好きだし魅力的な謎と大掛かりなトリックは私にこの大作を一気に読ませる力がありました。読み出したら止められなくなったのは久しぶりです。ぜひ加賀美氏にもう少し速いペースで作品を発表してほしいと願うのはないものねだりかな。
 こういったとんでもないトリックの合理的解決方法など所詮無理があることは承知なのですが、2番目におきた殺人のトリックは残念ながら無理でしょう。また昔起きた事件の凶器も相当無理があると思いますが、もしこれならきっと血がついているので当然そのときに気づくでしょう。でも読者なのだろうな。

No.188 8点 完全恋愛- 牧薩次 2011/04/13 22:01
 ロマンチックで大きな謎もあり私は好きです。本格推理小説としてみれば禁じ手に近いところもあるけど。
 生涯ただ一度の夜の場面はとても印象が深い。この場面は推理小説で言えばちょっと問題があるようにも思えるが素敵なシーンなので許してしまおう。
 完全犯罪があれば完全恋愛があってもよいというのはなかなかのこじつけに思えるが、この題名の本をおっさんが読むのはかなり気恥ずかしかしく、こそこそと題名が見えないように表紙を裏返して読んだ。。

No.187 6点 絶叫城殺人事件- 有栖川有栖 2011/04/11 20:26
有栖川は好みの作家なのだが、トリックのみが目立ったものとなるとがっかりするものもある。氏の短編集はトリックが主体作品となるものが多く私にとってはそのトリックの出来不出来によって作品の評価が決まってしまう。黒鳥亭なんかはかなり好きだが雪華楼のようにあまりに偶然を頼りにしたものはしらけるなあ。全体として読んで悪い印象があるものはないがすばらしいと感じるほどのものもない。ちょっとたったらすぐに内容を忘れそう。

No.186 7点 縛り首の塔の館- 加賀美雅之 2011/04/01 18:11
 この短編集でもシャルル・ベルトランシリーズらしい時代がかったおどろおどろしい雰囲気と飛び切りの謎が楽しめる。このような大掛かりで絶対不可能と思われるトリックを量産することは困難らしく、表題の作品は自分の霊で30マイルはなれた相手を刺殺するのみならず相手からの反撃で自分も密室内で死んでしまったというとんでもない謎を、まず見事に解決しているのはすばらしい。ところが2作、3作と読んでいくと謎は同様に大掛かりで不可能に思われるが、解決に無理がでてくる。

以下ネタバレ
 吸血鬼の塔は残念ながら人間はこんなふうには動けないと思われるし、きわめて低い確率の僥倖によってのみ可能な方法もいけないねえ。最後の妖女の島は殺人の方法自体が自己矛盾してしまっていてこりゃ絶対ありえないでしょう。
やはりこんな不可能な謎を合理的に解く方法はそう何種類も思いつけないのでしょうね。でもこんな大掛かりで不可能な謎に挑戦し続ける作者に期待もしています。

No.185 5点 ダブル・プロット- 岡嶋二人 2011/03/27 16:33
 だまされた。インターネットで「記録された殺人」と本書を一緒に購入してしまった。作者も驚く未収録作品発見とうたってあるのに実は「記録された殺人」にそれより劣る3つの短編が加わっているだけではないか。裏表紙や作者のあとがきにもちゃんと書いてはあるのだがインターネットで見ると全く違う短編集が新たに発売されたように見えてしまうのだ(作者もちょっとあざといとしてはいる)。本屋で買えばこんなことは無いのだが。
 したがって私の書評としては結構厚い本なのに実質短編が3編しかないものを買わされたことをことを考慮してこの程度です。「記録された殺人」を買わないで本書のみを購入していたらもう少し評価は上となりますが。

No.184 7点 検察捜査- 中嶋博行 2011/03/27 09:07
江戸川乱歩賞受賞作はたいてい読んでいるが検察や裁判の話は食指が動かず未読のままであった。遅ればせながら読んでみたが検察や弁護士の実態が思っていたこととかなり異なっていることにまずびっくり。検事は強大な権力があって上下関係に弱い警察などぺいぺいになると思いきや尊大な警察官が出てきたり、検事そのものが定員割れするほど不足しているなどなど。なるほどこれでは最近の特捜部のでっち上げ?もおきるべくしておきなのかと妙に納得してしまう。高学歴集団独特の陰湿で政治的な動きが正義を守る検事の世界にもあったのは意外でしたが、さすがにこんなことは実際にはおきないと信じたい。

No.183 6点 開けっぱなしの密室- 岡嶋二人 2011/03/20 09:34
岡島二人の最初の短編集。全体としてやや小粒であるが一定の水準を保ったものばかり、逆に言えばとても面白いというものもない。どれもテンポがよくさらっと読める。読んで損はないが感動的とか心に残るというものではない。彼らの作品としてはちょっとおちるかな。

No.182 7点 記録された殺人- 岡嶋二人 2011/03/20 09:26
6つの短編集。どの作品も岡島二人らしい無駄のない筆使いできびきびと話が進んでいく。推理小説を読んでいるとしばしばトリックを考え出しそれを広げていってある程度の長さ(多分出版社などから求められている長さなのだろう)としたと考えられるようなものが多いのだが、この短編集はかなり長めの話を作りあげた後に無駄を削って結晶化したような印象を受けた。表題作が一番面白い。犯人の性格の悪さが最後になって暴かれるのも興味深い。

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makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.18点   採点数: 861件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(34)
樋口有介(30)
有栖川有栖(29)
アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(28)
太田忠司(27)
東川篤哉(25)
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