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makomakoさん
平均点: 6.17点 書評数: 891件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.371 6点 はやく名探偵になりたい- 東川篤哉 2014/01/19 10:16
 このシリーズのファンなのですが、これはもう一つでした。ユーモアも若干足りないし、トリックも無理が多すぎるのです。
 でも本格物の大家とされる方の作品で「どんどんーー」や「奇想--」みたいに無茶なトリックを見せられるとそりゃないよと思ってしまうのだが、もともとお遊びですと断っているようなシリーズではまあ許せるかな。あとからみればちゃんと伏線も張ってあることだし。
 悪くはないのだが、ファンとしては作者にはもうちょっとパンチが効いた作品を期待したい。

No.370 5点 貴族探偵- 麻耶雄嵩 2014/01/13 10:49
 どうもこの作家とは相性が良くないのかもしれない。貴族探偵と自分で名乗っているのだが、自分は全く何もしないでお助けマンのような使用人たちが事件を解決する。この探偵のもとは昔漫画であった「おぼっちゃまくん」なのであろうか。
 推理内容もまあ納得できるものもあるが、ひどいのもあるよ。
 

以下ネタバレ。
 そっくりさんが出てくるのは反則みたいだし、死にいたるような怪我をしているのにそれに気づかず犯罪を犯していたなどと、到底納得しかねる結論で物語りはおしまい。
 作者は本格推理なんて所詮こんなもんですと言いたいのであろうか。
 かく言う私も文庫の帯に2014本格ミステリベスト10、第1位をみて購入してしまったのだが、良くみるとそのあとに---のシリーズの第1弾!!とある。
 だまされた。
 

No.369 8点 殺意は必ず三度ある- 東川篤哉 2014/01/10 20:51
 このシリーズは作者が代表作というだけあってユーモアもミステリーも出来がよい。
 物語のはじめは抱腹絶倒といってよい面白さで、何度も声を出して笑ってしまった。電車の中などで読むと変な人と勘違いされそうなので一人で読んだほうがよいかも。
 途中から本格推理小説となりこれも実にきちんと書かれている。トリックも大胆で周到と思います。個人的には作者がブレークしたディナーシリーズよりずっとよい出来だと思います。

以下多少ネタバレ。
 減点はご主人が亡くなったのにえらく冷静で悲しみなどほとんどみせずに謎を解いていく車椅子の婦人。悪くかかれてはいないのですが実際の行動としてはとても冷たく違和感を感じたところです。

No.368 6点 丑三つ時から夜明けまで- 大倉崇裕 2014/01/06 21:13
 推理小説に幽霊のような超常現象を取り入れるとばかばかしい限りのお話となってしまうのだが、この小説はまあ何とかギリギリ合格といったところでしょう。
 怪しいスタッフが揃った幽霊専門の県警五課なるものが登場して一課をコケにするかと思えば、結構どじな推理もしたりして、まあそれなりに面白い。
 五課のスタッフは全員格好といい名前といい凄そうなのだが、その割にはたいしたことはなく、幽霊に簡単にやられたりしてしまう。こんな登場人物ならもうすこし特徴だった活躍ができそうなのに、なんだかその他大勢といった感じとなってしまっているのが残念です。
 最後の話はちょっとびっくりではあるが、このお話はこの連作一つで十分でしょう。

No.367 6点 花の鎖- 湊かなえ 2014/01/02 17:08
 三人の女性の話が別々のようで、でもいずれ必ず絡み合ってくるという展開が初めから誰にでも分かるようになっているので、どんな風に絡むのかが読みどころといったところなのでしょう。
 三人の女性の話はどろどろとした展開となり最後には確かに結びついてくる。なるほどこういう話だったのかと納得はするのだがそれが感動に結びつくというものではなかった。
 女性にしか書けないお話ではあり、その点男性にとって興味深いとともに理解し難いところもある。
 女性が読んだらもっと面白いのかもしれない。
 

No.366 3点 鏡の城の美女- 石崎幸二 2013/12/30 13:00
 これはぜんぜん良くなかったです。
 たった一つのトリックを思いついたのでそれをうすーく延ばして長編風に仕上げたとしか思えない。そのトリックもほとんどのトリックを見破れないわたしでも簡単に分かってしまうようなちゃちなもので、それ以外はばかな娘たちとやたらセクハラだと決め付けられて女に殴られるという自虐的な作者の会話を延々と語られるのです。さらに3人の娘のうちミリアとユリの書き分けができていないので発言かはっきりしない。ひょっとして何作目かのシリーズ物なのでずっと読んできた人にはわかるのかも(こんなものずっと読むかなあ)。
 短編化してくだらない会話をなくしたらまだ読めたかもしれない。
 
 

No.365 7点 放課後はミステリーとともに- 東川篤哉 2013/12/27 20:30
 私としては作者の名を知らしめた「謎解きはーー」シリーズよりこちらのほうが好きです。本格物としても明らかに上だと思うのです。
 まず名前が良い。探偵が(あんまり探偵として機能してはいないが)霧ヶ峰涼とは実に覚えやすい。なかなか愛らしいキャラクターで読んでいてだんだん好きになりました。
 結構なトリックも楽しめる。お話ごとに結構大胆なトリックを惜しげなく投入しているんです。まあ現実には無理そうなトリックもあるけど、ユーモアミステリーだから許せてしまう。
 バカミスなる小説ではしばしば内容も貧弱でばかばかしいものがみうけられるけど、作者の小説はそれとは一線を画する本格ユーモアミステリーと思います。 

No.364 7点 ペルソナ探偵- 黒田研二 2013/12/23 09:07
 インターネットを介したお話はあまり得意ではないが、これならわたしでも何とかついていけました。
 いろんな作者の作風を書き分ける作者の筆力はなかなかのものです。作中作のいずれもがそこそこの面白く、しかも最後にかなりのどんでん返しもあるサービス満点の作品でもあります。
 最後が多少複雑で分かり難いところもあったが、結構楽しめました。

No.363 6点 疾風ロンド- 東野圭吾 2013/12/15 14:27
 東野圭吾氏は話題作を次々にかけるということだけでも本当にすごい才能だと思いますが、やはり多作すぎると内容は薄いものが出てきてしまうのは避けられないのでしょうか。
 本作品は細菌学兵器開発についてのお話なのですが、以前の氏の作品であったらもっと凝った内容となったのではと思われます。
 本格推理度はきわめて薄く、冒険物というほどでもありません。話の進行は二転三転しますが、どこか行き当たりばったりでご都合主義なのです。
 それでもさすがに物語を語る手腕があるのでなんとか最後まで読ませてしまいますが、帯にあるようなぶっとびとは程遠いのは残念です。
 まあ暇つぶし程度なら問題ない作品ですが。

No.362 6点 一応の推定- 広川純 2013/12/10 20:14
 保険調査員としばしば話をせざるをえない仕事をしているのでこの業種に対する不信感はどうしてもぬぐえない。保険って入るときは良いことばかり言っているけどいざ払うとなると何とか理由をつけて払わないことに全力を尽くす。この本を読むとやっぱり保険調査員は保険金を払わない調査をすると報奨金が出るんだということが良く分かりました。やっぱりね。
 作者は保険調査会社関係の方。こういった職種でも正義感が強くきちんとやる方もいることを今後理解することとしましょう。
 ただ小説のないように関しては??がつくところがかなりあります。
 死体検案書に自殺と書いていないなんてところにこだわっているのはありえないでしょう。自殺か他殺か事故かなんてことは医師にとって何の係わり合いもないのです。これを決めるのは司法の領域でしょう。
 また最後の報告では残念ながら決定的な証拠とはなりえません。
 なまじ自分が知っているところではあまり楽しめないようです。
 こんなこと知らなかったらもっともらしい話に納得して感動したかもしれません。
 このサイトでは社会は推理小説は取り上げられ方が少ないのですが、感動的な話しだし良い小説と思います。
 

No.361 6点 謎解きはディナーのあとで 2- 東川篤哉 2013/12/03 18:09
 このシリーズがどうしてこんなにあたったのか分からない。氏の作品にはもっと面白いものがたくさんあるのだが。
 でもこれだってまあ悪くはない。ユーモアがパターン化されているのであんまり笑えないが、きちんと本格していると思います。さらっと読むには良いのではないでしょうか。
 ところで今回も気になったのですが、作者はジャガーが左ハンドルであると思っているようです(他の作品でも日本のスポーツとジャガーが並んで止まって運転手が両側から出てきたというシーンがあった)。イギリスは日本と同じ「人は右車は左」の交通ルールの世界なので当然ジャガーは右ハンドルなのです(なぜかウインカーとワイパーの配置は日本と反対についているの)。
 本格物をはじめて読む方にとってはハードルが低く、しかも本格物の楽しさは味わえるのですからお勧めではないかと思います。

No.360 6点 目白台サイドキック 魔女の吐息は紅い- 太田忠司 2013/11/29 20:24
このシリーズの第1作を読んだときから次が出ることを予想していましたがやっぱり出てきました。第1作の「女神の手は白い」で北小路準を何でこんな設定にしたかが疑問でしたが、この作品を読んで分かりました。
 なるほどこれがやりたかったのだ。太田さんこの作品を書くために1作目に本格物としての「キズ」をあえて作ったのですね。
 太田氏の作品ではその物語の内容より登場人物が好きで読んでしまうところがあるのですが、本シリーズの南塚君はあんまり感じが良くないね。しかも今回は北小路との掛け合いが少なくちょっと物足りない。シリーズ化するために内容を薄めたような感じでした。
 本格ものを書き続けるのは大変と思いますが、ファンとしては作者にはぜひ頑張ってもらって霞田シリーズのようなお話を作ってもらいたいのです。狩野君シリーズも書いてほしいなあ。

No.359 6点 女王陛下のユリシーズ号- アリステア・マクリーン 2013/11/23 17:26
 まあ海洋冒険小説として素晴らしいのでしょうが、たくさんの登場人物がきちんと描ききれていない上に人を呼ぶのに本名だったり愛称で呼んだりして(これがイギリスでは当然なのでしょうが)とても分かり難かった。
 それにしてもイギリス海軍は統制が取れていないことはなはだしい。イギリス軍は最悪の気象条件でぼろぼろ。しかるにどういうわけかドイツ軍は同様の気象条件で戦っているのに(そんな風には書かれていないがきっとそうでしょう)実に有能で勇敢。Uボートなんか遅くてちっちゃくてユリシーズよりきっと大変だよ。
 もちろん有名な作品なので面白いところも多々あったのだが、期待したほどのことはなかったというのがわたしの印象です。

No.358 7点 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 2013/11/10 09:19
 これを書いたころの東野氏の作品のほうが今のものより好きです。最近のものはこれだけ多作にもかかわらず比較的でこぼこが少なく良く出来ていると思うのですが、だんだん孤独で冷たい感じがするのです。その点20年ほど前のこの作品はどこかに暖かさがありしかもトリック、どんでん返しと読むものをひきつけます。
 この作品も登場人物がある面では寛容であたたかい。心の冷えた人間の心の冷えたお話というのはびっくりしたりぞっとしたりしますが読後感が悪いのです。

以下ネタバレがあります。
 本作品は殺害?された明美も非常にかわいく同情の念を禁じえません。
 ただ雪絵がこの役割をどうして引き受けたかがわからない。この娘がいなければ話は成り立たないのだが、こんなこと普通絶対引き受けないと思うのですが。
 ここが多少減点です。でも大変面白く優れた本格物と思います。

No.357 6点 セカンド・ラブ- 乾くるみ 2013/11/05 20:44
 わたしにはこの作品は分からないところが多くあります。どういう風にもとれる様に書かれたのだとは思いますが。それがすっきりしないといえばすっきりしない。
 イニシエーション・ラビと同様に女はかわいいけど怖いよというところをまざまざと見せてくれます。わたしのような読者は当然作者の思いどうりにだまされ最後にぎゃふんと言わされるのですが、みなさんが述べておられるようにイニシエーション・ラブよりちょっと落ちる。どうもすっきりしないところがあるのです。

No.356 7点 猫は知っていた- 仁木悦子 2013/11/05 20:32
 かなり前の作品なので社会情勢が今と異なるところがかえって面白かった。だいたい医院の病室に下宿するなんてことは今では到底考えられないのだが当時はこんなこともあったのでしょうね。
 家の中で殺人事件があったのに家族が案外ドライでいるところなど今の無機質なパズル小説に近い感じがしました。
 ただトリックはどうかなあ。猫を使って実験したって確実性は乏しいしちょっと無理があるように思うけど。
 でも全体としてまずまずきちんとした本格推理小説でした。だからこそ何度も再販されているのでしょう。

No.355 6点 七人の鬼ごっこ- 三津田信三 2013/11/03 08:17
 ホラーと本格を結びつけるといった作者の意図は確かに感じられる作品です。ことに本作品はホラーのほうが強い感じ。
 犯人は以外だし、最後の結果もびっくりなのだがあんまり楽しくはなかった。
 

No.354 5点 キョウカンカク- 天祢涼 2013/11/03 08:12
 これはまあメフィスト賞作品らしいといえばそれまでなのですが、本格物のような雰囲気で読むとかなりがっくり来ることは間違いない。
 キョウカンカクとは聴きなれない言葉であるが、ある刺激を受けるとそれと違う感覚も同時に刺激されて感じてしまう間隔のこととっ説明されている。主人公の女性は音から色が感じられるという感覚の持ち主で、その感覚のみで犯人を確信して強引にそれを結び付けてしまう。途中までは文章の問題はともかく比較的面白く読めたのですが、犯人が指名されてからの展開はもうめちゃくちゃ。極めて残酷な話となり私の嗜好にあわなかった。

No.353 8点 ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 2013/11/03 08:01
 この作品は20年ほど前に読んだのだが、当時は本格物の変り種といった印象が強かった。作者はかなりのへそ曲がりで新手の種を思いついたのでさっさと書いてみたという風に思えたのです。
 今回再読してみるとこの物語はまるみえの虚構のようでそうでもなく、登場人物がだまされそれを読むものもだまされるといった凝った内容がとても楽しかった。最終的にある意味でのハッピーエンドでもあり最近の東野氏にない暖かさがあった様に思います。
 ただ犯人の執念はすごすぎますけどね。

No.352 6点 パティシエの秘密推理 お召し上がりは容疑者から- 似鳥鶏 2013/10/20 13:07
 三上氏のビブリア古書堂が当たってからこの手の物は良く見かけるようになったが、どれもビブリアより落ちると思います。似鳥氏のトリックメイクはなかなか優れていると思いますが、いかんせん直井巡査のーーッス言葉は何とかならないものかねえ。女の警官がこんな言葉使いは(作者もそんな風に書いてはいるのだが)いただけませんね。読むのが嫌になる。
 最後の話は犯人は何となく分かってしまった。犯人を決めておいてから後出しのような展開はもう少し何とかできそうなんだけど。
 氏のトリックメイクに期待はしています。

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makomakoさん
ひとこと
歴史ミステリーや、本格物が好きです。薀蓄も結構好き。変人が登場するのは嫌いではないが、冷たい人間が出てくるのは肌に合いません。外国ものは登場人物が理解不能であったり翻訳文が合わないことが多くあまり得意で...
好きな作家
鮎川哲也、山田隆夫、綾辻行人、法月綸太郎、高田崇史、伴野朗
採点傾向
平均点: 6.17点   採点数: 891件
採点の多い作家(TOP10)
高田崇史(38)
有栖川有栖(32)
樋口有介(30)
アガサ・クリスティー(29)
東野圭吾(28)
太田忠司(27)
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