皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
マニアさん |
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平均点: 6.04点 | 書評数: 169件 |
No.149 | 5点 | UFO大通り- 島田荘司 | 2008/12/22 02:10 |
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まず、本作を読んで、やはり御手洗は日本にいて石岡君と絡んでいる時が一番生き生きしていると改めて感じた。
「UFO大通り」・・・面白いっていうより勉強になった(笑)。婆さんが目撃した宇宙人の戦争やら、目張り密室の中で不可解な格好で死んでいた被害者など、奇天烈な謎を奇麗に解決する流れは流石。ただ、同じく婆さんが目撃した道路を走るUFOの謎の真相は拍子抜け・・・。 「傘を折る女」・・・これも、奇天烈な日常風景から、御手洗が不可解な殺人事件を解決する流れは良い。ただ、話が冗長に感じられる。犯人の心理描写がくど過ぎて、途中からついていけなくなった。あと、事件の核心部分に「UFO大通り」の核心部分の真相が使い回されているのも個人的にマイナス。 |
No.148 | 4点 | 悪魔の百唇譜- 横溝正史 | 2008/12/20 02:24 |
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ドロドロした人間の、どす黒い部分をベースとした猟奇犯罪を描く横溝ワールドはこの作品でも楽しめる。
現在進行の2重殺人事件と1年前の殺人事件の関係やそれに関して暗躍する脅迫者、そして事件の真相と、これらの問題を解決する終盤の金田一の推理には勢いがあって良かった。 しかし、警察関係者の登場人物が多すぎて把握しきれないのと、それにより重要な容疑者の影が薄くなっているような感じがして読みづらかった・・・。なので、犯人も意外と言えば意外だが、「ふ~ん」という感想に止まってしまった。 短いが、結構退屈な作品だった。 |
No.147 | 6点 | 悪魔の寵児- 横溝正史 | 2008/12/18 00:06 |
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とりあえず後味がかなり悪い・・・。でも、結構好きな作品かな。ストーリー展開は氏の『幽霊男』に似ているかも。しかし、物語を通じて「ベシャベシャと降る」と表現される雨が陰鬱な情景を演出しているのが面白い。
事件はかなりエグい。人間のどす黒い部分のオンパレード。犯行のえげつなさでは金田一シリーズでも上位に入るのでは?中だるみが気になるが、意外な犯人とそれに説得力を与える伏線は上手いと思った。 しかし、関係者がバタバタ殺された上に犯人に狙撃されて重傷を負うって・・金田一さん・・・。 |
No.146 | 8点 | 螢- 麻耶雄嵩 | 2008/12/14 00:52 |
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今のところ、麻耶作品のマイベスト!
最初から不自然な記述が目について、叙述トリックが用いられていることには早い段階で察しがついた。それだけで終わればよくある叙述ミステリなのだが、さらに驚きの二つめの仕掛けが仕組まれてる!しかも、その「読者ではなく登場人物達にだけ仕掛けられていて、登場人物たちの驚愕が読者に更なる驚愕を与える。」という発想には見事に嵌められた。 特に、綾辻行人の『館シリーズ』が好きな人にはお勧めかも。 しかし、ジョージの共犯者が共犯関係に至った過程が語られていなかったり雑な印象も受ける(個人的に結構気になったもので・・・)。エピローグも少々やり過ぎちゃったかな・・・。 |
No.145 | 6点 | あいにくの雨で- 麻耶雄嵩 | 2008/12/10 23:56 |
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まず「なんじゃこのハードボイルド学園は!こんな生徒会あったら怖いわ!」と、思わずツッコミたくなった(笑)まぁ、そこが面白かったりするんだけど!
ミステリとしては「雪の密室」という難テーマを前に、少々力及ばずといったところで、トリックからは大きな衝撃を得られなかった。犯人もいかにもといった感じでありきたり。全体的にキレがないといった印象。 でも、話自体はとても面白いと思う。もともと、学園モノの青春ミステリは好きなので!烏兎、獅子丸、祐今、少年たちの暗~い少年群像をご覧あれ・・・。 |
No.144 | 5点 | 痾- 麻耶雄嵩 | 2008/12/07 23:40 |
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『夏と冬の奏鳴曲』の続編で、さらに『翼ある闇』も読んでいないと(ネタバレも含むため)本作を楽しめないでしょう。
前2作は色々な面で穴が見られながらも、勢いと迫力で押し切るパワーがあったが、本作は少し地味目であっさりしている印象を受けた。なので、真相が明らかになった時もさほど驚けなかったかな。情緒不安定の烏有の心理描写は面白かったけど・・・。 トリックは実現可能かどうかは別にして、よくできていると思う。 シリーズ物としては烏有と桐璃がどうしても好きになれない・・・。まぁ、メルカトルの遺志を継ぐ(?)烏有の今後の成長に期待・・・。 |
No.143 | 4点 | 夏と冬の奏鳴曲- 麻耶雄嵩 | 2008/12/06 01:44 |
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自分の能力では採点不能><;
まず、真相を読者に丸投げするのは個人的に最も嫌いなパターンであり、終盤の密室トリックの解明も含めて、終盤の有り得ない展開には正直ついていけなかった。途中のキュビズム談議なども自分の理解を超えていて(恥ずかしながら・・・)楽しめなかった。あと、犯人も陳腐。そう言った意味では1~2点。 しかし、物語内で語られなかった真相(ラストのメルカトルの発言も含め)は恐怖&驚愕。麻耶雄嵩という作家の恐ろしさを味わえる!?それでも未だに不明なこともあるけど・・・。そういった意味では7~8点。 よって、間をとって4点・・・。に、しときます。 |
No.142 | 10点 | そして誰もいなくなった- アガサ・クリスティー | 2008/12/01 22:55 |
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過去、何百いや何千もしくは何万のミステリが世に発表されただろうか?この『そして誰もいなくなった』は著者アガサ・クリスティの名とともに、それらの頂点のひとつとして永遠に輝き続けるだろう!
舞台は陸との交渉を断絶された絶海の孤島。そう、手に汗握るクローズド・サークル!童謡になぞらえられた見立て殺人によって一人、また一人と殺されていく「主人公」達。犯人の動機は?島到着初日に突然行われた謎の犯罪告発の意味は? そして、次第に深まっていく疑惑・恐怖・焦燥・狂気・後悔・諦観・抵抗・・・・これらの心理描写は実に真に迫ってスリリングである!物語開始から驚愕の犯人に行きつくまでの流れは一気読み間違いなし! 確かに真相は多少乱暴な所があることは否めない。しかし、それは、この物語の評価を落とす何らの力も持っていないことを自分は信ずる。 |
No.141 | 3点 | 七つの仮面- 横溝正史 | 2008/11/30 18:15 |
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小粒な作品が多い。横溝氏の没作品集のような印象を受けた。横溝作品に特有なおどろおどろしい雰囲気は影を潜め、ロジカルな作品が多いが、真相解明が結構いいかげんで・・・。
しかし、「雌蛭」は横溝氏得意の人物入れ替わりトリックが効果的に使われていて面白い。 また、「薔薇の別荘」の真相は、密室トリックに関してはあまり評価の高くない著者の作だが、推理する側の盲点を突いていて非常に出来の良いものだと思う。この作品だけなら「8点」の高得点かな!でも、金田一がパーティに招かれた理由は?? |
No.140 | 6点 | 翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件- 麻耶雄嵩 | 2008/11/26 21:34 |
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洋館、奇人・変人ぞろいの住人、2人の名探偵の対決、密室、首切断、と舞台設定は自分好みで文句なし。さらに、結末は木更津の密室トリックに対するぶっとび推理を皮切りに、二転三転!事件のスケールがどんどん大きくなり、しまいにはトンデモ犯人にいきつく怒涛の流れは馬鹿馬鹿しくもあり、また清々しい。そういった面ではとても楽しませてもらった。
ただ、好き嫌いが分かれるだろうが、自分には本作の文章は合わなかった。特に会話文は誰の台詞か分かりづらく途中何度か挫折しそうになった。また、観念的で抽象的で理解不能な会話が多く、登場人物にリアリティが感じられずに、物語世界になかなか馴染めなかったなぁ・・・。あと、木更津と香月は嫌い・・・。 |
No.139 | 7点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2008/11/20 00:37 |
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途中までは、「うーん・・・これが最後の事件かぁ・・・」という感想で読み進めていた。失踪した博物館警備員の謎や、盗難されたシェークスピアの著書に隠された謎など、こてこての殺人事件を期待していた自分としては少し拍子抜けだった。
終盤間近にようやく殺人事件が起こるが、そこからはラストまで怒涛の勢い!鋭い論理展開で「犯人」に近づいていく!そして・・・感涙のクライマックスへ! ドルリー・レーン4部作のうち、前3作は「~の悲劇」と名付けられているが、この作品にもその法則を当てはめるとしたら何になるだろう?自分はこの物語が最も悲劇的だと思う!! |
No.138 | 8点 | Zの悲劇- エラリイ・クイーン | 2008/11/17 02:05 |
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『Xの悲劇』『Yの悲劇』から10年後。すっかり老けこんでしまったドルリー・レーン、丸くなってしまったサム警視を始め、物語自体からも盛り上がりに欠ける印象を受けた。
しかし、クライマックスで見せるレーンの推理の美しさには酔いしれること必至!そこだけは、個人的には『Xの悲劇』『Yの悲劇』以上だと思っている。消去法により犯人を限定していく緊張感、淡々と論理を展開していく名探偵レーン、最後に2人に絞られた容疑者、そして・・・。この場面を味わうだけでも、読む価値あり。やっぱり傑作!! |
No.137 | 9点 | Yの悲劇- エラリイ・クイーン | 2008/11/13 01:03 |
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頭のおかしな家族と関係者が住む「きちがいハッター家」で起こる頭のおかしくなるような犯罪の数々!真相も含めて、物語全体に狂気が見え隠れする舞台設定は、前作『Xの悲劇』よりも自分好み。いい感じで狂ってる登場人物たちは長い物語を退屈させない魅力を持っている。
そして何より、クライマックスでドルリー・レーンが明かす意外な真相と、それを裏付ける論理の嵐には鬼気迫る迫力があり、「これでもか!」というような説得力を突きつけて来る。特に、凶器にマンドリンが選ばれた動機は圧巻!ただ、確かに原書を理解できて読めれば、もっと感動的なんだろうなぁと思う。とにかく、後のミステリ界に与えた影響の大きさも納得できる。 警察の捜査に不可解な点があったのも事実で少し残念だが、ミステリ史に燦然と輝く傑作であることには変わりない! |
No.136 | 8点 | Xの悲劇- エラリイ・クイーン | 2008/11/10 03:03 |
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最初、犯人の名を示された時は「え・・・?誰だっけ・・・?」という感じだった。軽く全体を見直して理解したものの最初は納得はいかなかった。
しかし、解決編で示される奇麗かつ単純にして明快なロジック。そして、複雑そうに見えた事件の謎が、ドルリー・レーンの名推理によってスルスルと1本の線上にまとまっていくのは見事としかいいようがない。最後には意外な犯人もすんなり受け入れてしまっていた! 少々中だるみが気になるが、純粋な推理と華麗なロジックを楽しめる傑作。 |
No.135 | 5点 | 三つ首塔- 横溝正史 | 2008/11/05 21:49 |
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美しい女主人公・音禰が謎の男に導かれ、莫大な遺産を賭けた戦いと、愛の逃避行に巻き込まれていくというサスペンスが中心。それゆえ、ミステリ分は極めて低い。金田一の出番も最初と最後にちょっとだけで、物語のほとんどが音禰視点で描かれている。
自分的にはあまり好みの設定ではなかったが、莫大な遺産に群がる怪しい登場人物や、おどろおどろしい怪奇趣味、エログロなど横溝特有の世界観も散りばめられていて、やはり面白かった! |
No.134 | 6点 | 二の悲劇- 法月綸太郎 | 2008/10/21 00:40 |
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法月氏の書く悲劇は、徹底的に悲劇に徹しているというか、救いがないというか、後味が悪いというか・・・まぁ、それが醍醐味なんだろうけど、この作品は悲しすぎる・・・。さらに、章ごとの幕間に書かれているユーミンの『卒業写真』の歌詞がこの悲劇に味を足している。
プロットは非常に上手い。特に結末で明らかにされる二人称視点の謎はよく練られているなぁと感じた。しかし、その事も含めてトリックには納得できないという人も多いと思う。確かに自分もミステリとしてのアンフェア感は拭えなかった。 しかし、そんなものとは関係なく純粋に「悲劇」として見るなら、この作品は紛れもなく優れた作品だと思う。 本筋とは関係ない、寄り道的な描写が多いのが少し受け入れがたかったかな。(作中でも作家探偵法月が皮肉っているが・・・) それにしても、のりりんの性格が変わってるのは見物! |
No.133 | 9点 | 悪魔の手毬唄- 横溝正史 | 2008/10/13 19:16 |
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外界から隔離されたように佇む寒村で、その地に伝わる手毬唄になぞらえた戦慄の連続殺人が・・・!!23年前の惨劇が!地元出身の女性スター歌手の凱旋!突如、謎の老婆が現れ殺人劇の幕を切る!一癖ありそうな登場人物達・・・誰が犯人か!!
自分の最も好きな舞台設定の連続でドキドキワクワクしっぱなしだった。 事件を大きく・恐しく・戦慄なものに見せるためのエンターテイメント性を追求する描写の仕方に関しては、国内では横溝正史に並ぶ作家はいないと思う。特に本作中にある、葬儀の席上において、五百子刀自が参列者の前で事件の核心となる手毬唄の存在を明かす戦慄の場面は、横溝作品名場面ベスト3に入る程の見所! ミステリ的には不満なところもあるけど、そんなものはふっ飛ぶほどの素晴らしい小説世界を提供してくれた。優しいラストも好き! |
No.132 | 7点 | 眼球綺譚- 綾辻行人 | 2008/10/10 17:54 |
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読みながら「世にも奇妙な物語」を思い出した(笑)
ホラー・グロ・猟奇耐性のある人は結構楽しめると思う! 「再生」・・・オチはありがちだが描写の仕方は面白い。 「呼子池の魚」・・・これも真相はバレバレ。ラストがよく分らんのが自分的に残念。 「特別料理」・・・ストーリーうんぬんより、怒涛のゲテモノ料理解説に笑ってしまった。 「バースデイ・プレゼント」・・・これが一番面白かった。幻想系ホラーの雰囲気もよく出ていたし、プロットも良い。戦慄のラストも面白い。 「鉄橋」・・・こういう小噺的作品も嫌いじゃない。 「人形」・・・オチはバレバレだが、人間のアイデンティティとは?成長するとは?などの深い人間テーマも読み取れて面白い。 「眼球綺譚」・・・囁きシリーズっぽい?小説世界と現実世界がラストにまとまる構成は面白い。ただ、グロすぎ・・・ |
No.131 | 5点 | 首- 横溝正史 | 2008/10/08 01:12 |
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シュウさんのおっしゃる通り、当時の社会状況や風俗がよく描かれていて面白いですね。
「生ける死仮面」は男色・死体凌辱・性転換・腐乱死体・バラバラ死体などが次々出て来る強烈なエログロ風味作品。真相は強引すぎる感じ・・・。特に性転換のくだりがよく分らなかった。 「花園の悪魔」は本作で一番面白かった。死姦や全裸死体放置などの猟奇的な謎が、鋭いロジックで解き明かされていく。 「蠟美人」はプロットやロジックは優れているのだろうが、真相はもう少し丁寧に説明してほしかった。復顔術に目をつけた点はグッド。 「首」は本作で一番普通のミステリ。ロジックの切れ味は鋭い。 全体的に謎の解答が不丁寧なのが残念。ちょっと分かり辛い。 |
No.130 | 6点 | 女王蜂- 横溝正史 | 2008/10/06 03:24 |
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絶世の美女にして生粋の女王智子が、20年前の月琴島での惨劇と、現在の彼女の周りで起きる血みどろの連続殺人劇を通じて、少女から背伸びした大人の女性へ、そして再び無垢な少女へと回帰していく成長物語はそれだけでも楽しめる。
しかし、動機、トリックを含めた真相は強引すぎたり納得できないものもあり、ミステリとしてはちょっと拍子抜けしたかも・・・。特に犯人の動機はいきなり突拍子の無い感じが否めない・・・。 でも、とても美しい情景を想像できるエンディングはかなり好き。 |