海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 法廷・リーガル ]
七人目の陪審員
フランシス・ディドロ 出版月: 2015年02月 平均: 7.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


論創社
2015年02月

No.1 7点 kanamori 2015/03/02 22:27
薬局の店主グレゴワールは、河べりを散歩中に水浴びをする娘ローラに出くわし、悲鳴をあげられた混乱のなか彼女を殺めてしまう。しかし嫌疑は彼に及ばず、ローラの愛人アランが犯人として逮捕される。グレゴワールはアランの冤罪を雪ごうと策を弄するうちに、事件の陪審員に選任されてしまう---------。

冤罪を扱った法廷ミステリ、とはいっても重厚さやシリアスな感じはあまりなく、軽い語りでブラック・ユーモアもある、いかにもフランス・ミステリらしい作品。(ただ、最後まで読むと、その印象がだいぶ変ってくるのですが)。
夢想家ぎみの中年男グレゴワールという人物の揺れ動く内面描写が終始興味深く、自首はしたくないが無実の青年は救いたいため、あの手この手と策を弄するも、皮肉な展開の連続に翻弄される。このあたりフランス版「試行錯誤」という評も肯ける。
一方で、誰もが顔見知りで噂がすぐに広まってしまう小さな町という舞台背景が重要な要素になっていて、それがバークリー作品とはテイストが異なる、風刺的で不条理な本作の結末に結びついているように思います。


キーワードから探す
フランシス・ディドロ
2015年02月
七人目の陪審員
平均:7.00 / 書評数:1
1961年01月
月あかりの殺人者
平均:5.00 / 書評数:1