皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ ハードボイルド ] 霊柩車をもう一台 スカット・ジョーダン弁護士 |
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ハロルド・Q・マスル | 出版月: 1961年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1961年01月 |
No.2 | 5点 | nukkam | 2022/01/03 22:34 |
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(ネタバレなしです) 1960年発表のスカット・ジョーダンシリーズ第8作です。ハヤカワポケットブック版(1961年出版)の巻末解説によると国内に初めて翻訳紹介されたマスル作品で当時のシリーズ最新作でしたが、過去のシリーズ作品を読んでる読者にちょっとした衝撃を与える趣向があり、最初に読むべきシリーズ作品ではないように思います。その巻末解説で「たくみな構成」とほめていますが、5万ドルの持ち逃げ事件、警察とギャングの癒着疑惑、遺産を巡る富豪一族の争いが複雑に絡み合いながらも読みやすく仕上げられています。第18章のほろりとさせるエピソードの活かし方も巧みです。しかし本格派推理小説としては本書のジョーダンの推理はかなり粗くて犯人特定の証拠は弱く感じるし、他の容疑者についてただ「するわけがない」との説明では説得力不足でしょう。 |
No.1 | 7点 | mini | 2015/03/17 09:56 |
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戦後1940~50年代の作家達は、翻訳ミステリー史における空白地帯である
戦前の黄金時代にも埋もれている作家は居るが昨今発掘も進んでいる、しかし40~50年代というのはまだまだ未訳だったり何作か訳されたが絶版のまま埋もれてしまったりしている その原因の1つには40~50年代の特にアメリカ作家はサスペンスやハードボイルド派や警察小説が主流というのもあるのだろう、古典の復活をリクエストする連中の多くが本格オタだからねえ、例えばハードボイルド派とかのファンも40~50年代の埋もれた作家を発掘しろと声をあげるべきだ でも本格派以外のジャンルのファンって新作ばかりに目が行ってしまう読者が多いんだよねえ ハロルド・Q・マスルはニューヨーク出身の弁護士作家で、MWAの法律顧問をしていた事もあるが会長職にも就いている もちろん法律顧問の肩書きも作用したのだろうが、歴代の会長の多くは当時の人気作家であり、作家としての評価が全く無名なら会長には推挙されないと思う 尚日本での名前の表記はマスルの他にアンソロジーなどでマスア表記のものも有るが、”Masure”だったらマスアが近いと思うが、語尾に”e"が付かない”Masur”なのでどちらかと言えばマシュールに近い感じなんじゃないかなぁ、少なくともマスアという表記は誤りな気がする 実は早川ポケミスで7冊も出ており当時はまぁまぁ翻訳には恵まれていたのである しかし今では全く話題にも挙がらない残念な作家の1人だ 最初に訳されたのがこの「霊柩車をもう一台」で、これはデビュー作では無く既に人気作家になってからの作で、様子見として当時の最新作が最優先されたのだろう、初期の数作も後にポケミスから出た 作風を一言で言えば解説にもあるように”通俗的なペリー・メイスン”である 当サイトのジャンル投票では他に適切なジャンルが無かったので仕方なくハードボイルドに投票したが、強いてジャンルを言うなら”通俗リーガルスリラー”だ ただし探偵役が弁護士な割には法廷場面などは殆ど無く、要するに行動派探偵なのである スピーディーな展開や軽妙な文章や行動的な探偵役といい、まさに”通俗的なペリー・メイスン”というのは適切なキャッチだ、個人的にもう1つ付け加えるなら”活動的なマローン弁護士”といったところか |