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[ ハードボイルド ]
サンジェルマン殺人狂騒曲
私立探偵ネストール・ビュルマ、新編パリの秘密
レオ・マレ 出版月: 1984年05月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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中央公論社
1984年05月

No.1 5点 mini 2014/08/25 09:58
本日発売の早川ミステリマガジン10月号の特集は、”藤田宜永責任編集”
福井市出身の藤田宜永氏は、推理小説協会賞や直木賞を受賞した和製私立探偵小説の第一人者の1人である、奥さんも作家の小池真理子
洋の東西を問わず不思議とハードボイルド作家の妻にはミステリー作家が多く、離婚してしまったが生島治郎と小泉喜美子も夫婦だった
海外ではこれも離婚してしまうがブレット・ハリディとヘレン・マクロイ、離婚してない方で有名なのがロスマクとマーガレット・ミラー、ビル・プロンジーニとマーシャ・マラー
さらに不思議なのが奥さんの方はサスペンス系統の作家が多い事だ、夫婦揃ってハードボイルド作家のプロンジーニとマラー夫妻などは例外に近いだろう

藤田宜永はフランス渡航経験が有り、フランス作品の翻訳も手掛けていた、絵画も文学もパリには”藤田”の名が似合うのだろうか
中公文庫からレオ・マレ作品が4冊出ており、私はブックオフの100円棚で4冊揃いを見つけて纏めて買っておいたのだが、この内2冊は仏語では御馴染みの長島良三訳だが、もう2冊を訳したのが藤田宜永なのである
ミスマガ10月号でもレオ・マレの短編が収録されておりマレと藤田の縁は深い

フランスでは英米のミステリー動向の影響を受ける事がよくあり、戦前の本格派ブームは有名だが、チャンドラーなどに影響を受けた戦後のハードボイルドの流行も見逃せない、その時期の仏産ハードボイルドの人気作家の1人がレオ・マレである
その代表シリーズが”新編パリの秘密”シリーズで、これはパリの各区(具体名ではなく通し番号で呼ばれる)に1作を割り当ててパリの観光案内にもなるという趣向である
東京で言うなら新宿区だけでなく、1話ごとに各区を舞台にするようなものだ、東京五輪に向けて日本のミステリー作家もやってみてはいかがでしょうか

この「サンジェルマン殺人狂騒曲」だが、パリの街にも私立探偵がちゃんと似合っているのは良いのだが、ただいかにもアメリカ産ハードボイルドに影響されて書きましたっていうレプリカっぽさは拭えない感は有る


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レオ・マレ
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