海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格 ]
養鶏場の殺人/火口箱
ミネット・ウォルターズ 出版月: 2014年03月 平均: 6.00点 書評数: 2件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
2014年03月

No.2 6点 nukkam 2016/01/01 08:57
(ネタバレなしです) 2つの中編を収めて2013年に出版された中編集で、ウォルターズ入門として好適と評されていますがなるほどと納得しました。2006年発表の「養鶏場の殺人」は1920年冬に出会った男女が恋仲になり、しかし4年後に女性が謎の死を遂げるという実際に起こった事件を題材にしたもので、味気ないノンフィクション小説だろうと思ったらいい意味で裏切られました。2人の主人公の心理を丁寧に描写し、悲劇的破局に向かってじわじわとスリルが盛り上がり、大変読みやすいサスペンス小説でした(最後の4ページだけ作者による犯罪ドキュメントタッチになっていますが)。1999年発表の「火口箱」は本格派推理小説です。登場人物も多く、社会問題まで提起している上に結末の意外性もねらった感があって長編並みに濃厚な内容の作品。しかし何度も過去と現在を入れ替えているプロットはさすがに技巧に走り過ぎで、無用に読みにくくしたとしか思えません。もっとも読解力のない私がそう思っているだけのようで、世間一般の評価はおおむね好評です。

No.1 6点 HORNET 2015/02/28 15:58
 読みやすさなら「養鶏場の殺人」、ミステリとしての面白さなら「火口箱」。
 「養鶏場の殺人」はイギリスで実際に起きた殺人事件についての作者の推理が描かれている作品と言えばよいだろう。それも1990年代に起きた事件ということで、現代にも通じる人間の感情が描かれていて読みやすい。
 「火口箱」は閉鎖的なムラ社会の海外版のような話。事件の真相解明だけでなく、今にもまだあるらしい人種による同族意識、敵対意識の様相が作品の主要な要素になっていて面白い。終末はそちらのこともよい方向に向かう結末で、読後感もよかった。


キーワードから探す
ミネット・ウォルターズ
2020年04月
カメレオンの影
平均:5.00 / 書評数:2
2015年05月
悪魔の羽根
平均:5.75 / 書評数:4
2014年03月
養鶏場の殺人/火口箱
平均:6.00 / 書評数:2
2013年02月
遮断地区
平均:7.00 / 書評数:2
2011年12月
破壊者
平均:5.00 / 書評数:2
2007年07月
病める狐
平均:4.67 / 書評数:3
2004年07月
蛇の形
平均:6.20 / 書評数:5
2002年04月
囁く谺
平均:7.00 / 書評数:1
1999年09月
昏い部屋
平均:4.33 / 書評数:3
1996年11月
鉄の枷
平均:6.50 / 書評数:6
1995年07月
女彫刻家
平均:5.75 / 書評数:8
1994年04月
氷の家
平均:5.50 / 書評数:4