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[ 時代・歴史ミステリ ]
消えたエリザベス
リリアン・デ・ラ・トーレ 出版月: 1958年01月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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東京創元社
1958年01月

No.2 6点 YMY 2023/05/09 22:19
十八世紀イギリスで実際に起こった女中失踪事件を歴史ミステリに仕立てたもので、著者は当時コロンビア大の史学科教授だった。
当時の地図や風俗画を挿入して濃密な時代色を出そうとしているが、平井呈一の名訳もまた、古色の再現に功あり、未だに強い印象が褪せることがない。この種ジャンルの金字塔と言えよう。

No.1 5点 kanamori 2012/09/22 13:55
18世紀の英国で実際に起きた迷宮入り事件を、当時の膨大な証拠・証言などの資料をもとに再構成し、作者が謎解くという歴史ミステリの路傍標的作品。
18歳の女中エリザベス・キャニングの失踪監禁事件は、日本の読者には全く馴染みがないのですが、ジョセフィン・テイもこの事件をモデルにグラント警部ものの「フランチャイズ事件」を書いているほどで、英国ではかなりセンセーショナルな事件だったようです。
本書は、史実をありのまま正確に伝えようとしたため、歴史研究論文を読まされている感じを受ける。特にエリザベス側と被告のジプシーの老婆側の関係者の証言が延々と繰返される裁判場面の数章は正直しんどかった。真相(作者の結論)はミステリ的な驚きもあるものの、全体的に物語性に欠けた。作者を探偵役にせずに、登場人物の一人たとえば本書で脇役になっているヘンリー・フィールディング(盲目の治安判事ジョン卿の兄)を探偵役にするなどのエンタメ志向だともっと楽しめたかもしれない。

(追記 2012.9.24)
たまたま論創社のホームページをのぞいてみたら、刊行予定にデ・ラ・トーレの「サミュエル・ジョンソン博士傑作集」が挙がっているではないか。同じ18世紀英国が舞台ながら、こちらは「クイーンの定員」にも選ばれた、”ホームズ&ワトソン”スタイルの連作ミステリだから期待できるかな。


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リリアン・デ・ラ・トーレ
2013年11月
探偵サミュエル・ジョンソン博士
平均:7.00 / 書評数:4
1958年01月
消えたエリザベス
平均:5.50 / 書評数:2