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[ 本格 ] ドーヴァー3 別題『ドーヴァー③誤算』 |
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ジョイス・ポーター | 出版月: 1967年01月 | 平均: 6.33点 | 書評数: 3件 |
ノーブランド品 1967年01月 |
早川書房 1980年09月 |
No.3 | 6点 | 雪 | 2018/07/05 15:05 |
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村内を壟断する猥褻な手紙の横行にキレたアリス夫人。地元警察の頭越しに強引な手でロンドン本部を動かすも、のこのこソーンウイッチ村にやって来たのはドーヴァーとマグレガーだった・・・。
シリーズ3作目。しょっぱなに尋問した女性がいきなり自殺未遂を図ったり、手紙を受け取った女性の一人が遂に自殺したり、養子ビジネス(遣り手婆の小遣い稼ぎ程度ですが)の存在が明るみに出たり。錯綜した筋立てに見えますが、終わってみるとシンプル極まりないコージー物でした。 ドーヴァーシリーズはキレキレなやつと、ユーモア重視の穏便なやつの二種類あるそうですが、これはおとなしめの方。④→③→⑥と読んできましたが、ギャグ関連はこの作品が一番。色々とテンポの良いのが多いですが、酷いのだとガス自殺の現場でマグレガーに「タバコ吸ってみろ」とか言っちゃいます。 まあでも、最大のギャグはあの結末でしょうね。ミステリとしての本筋はホント大したことないですから、あれをどう評価するか。列車もそれほど本数は無いはずだから、間が悪かったんでしょうね。 読み物としては楽しいけど、7点までは付けないかな。6.5点。自分の好みとしてはキレキレな方が合ってます。まだ読んでない②も③と同じ路線らしいけど、こっちはどうなんでしょうか? |
No.2 | 7点 | tider-tiger | 2016/09/13 12:10 |
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ロンドンからほど近い田舎村で村中の女に繰り返し繰り返し猥褻きわまりない手紙が届けられるという事件が起こっていた。お偉いさんの大人の事情によりヤードからも人員が派遣されることとなり、(こんなろくでもない仕事ならばということで)ドーバー警部に白羽の矢が立った。だがしかし、ドーバーは自分の不運を嘆きつつ寝食に励むばかり、部下のマクレガーに「いつかあのクソ爺(ドーバー)をぶん殴ってやる」と穏やかならぬ決意までさせてしまう。そんな最中にも女性教師の自殺未遂、さらには村人のガス中毒死事件までも発生、さらにドーバーの元にも卑猥な手紙が……。
笑えないという方も多いシリーズだが、笑いの閾値が低い私は文庫の裏表紙にある内容紹介を読んだだけで笑ってしまった。裏表紙だけでこれだけ笑えた作品というと『大相撲殺人事件』があるが、あれは「一番笑えたのは裏表紙を読んだときだった」という問題があった。本作は中身でそれ以上に笑えたので笑いという点ではこちらに軍配を上げたい。 ドーバー警部シリーズの最高傑作はやはり『切断』だとは思うが、本作の方がまとまりがよく読み易い。ドーバーは相変わらず一点読みで犯人を決めつけるが、果たしてこの人物が本当に犯人なのか。この謎?をうまく引っ張っています。 ドーバーは名探偵というほど頭脳明晰ではないが、そうかといってまるでバカというわけでもない。彼の意見にはとんでもなくバカげたものもあれば、意外と真っ当なものもあり、その混在ぶりが絶妙。このバランス?のよさが大好きです。 『切断』は真相が仄めかされるのみ。素晴らしい締め方だった。ところが、本作はいわゆる「お喋りな犯人」。通常ミステリでは瑕疵と見做される。犯人のこのお喋りぶりが笑えるポイントなのだが、こんなん笑えない、ただの瑕疵だ、と考える方もいるでせう。この結末をどう考えるかで本作の評価も大きく変わると思う。 あと、卑猥な手紙の内容が具体的に書かれていない点がどうなのか。 星新一は書かなくとも、筒井康隆ならねちっこく描写したことでしょう。 優れた物書きは時として読者に言葉の再定義を強いることがあるが、ドーバー警部シリーズを読んで、自分は「婦人(夫人)」などという本来は面白くもなんともない言葉に過剰反応してしまい、これらの言葉を聞くと心中ほくそ笑むようになってしまった。 ゆえにジョイス・ポーターは優れた物書きだ! |
No.1 | 6点 | kanamori | 2012/04/14 18:06 |
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ドーヴァー警部シリーズ。ポケミス版「ドーヴァー3」を文庫化に際し改題したものです。
複数の猥褻な中傷の手紙が村を揺るがし、女性の自殺未遂とガス中毒死が連続する奇っ怪な事件に、ロンドン警視庁の厄介者ドーヴァーが出馬する。例によって、面倒くさい捜査は部下のマグレガーに押し付け、自分は飲み食い昼寝を決め込むという、いつもながらの展開です。 ”天敵”である村の有力者の女性との攻防も可笑しいが、見当違いの推理をするドーヴァーに対して、最後に真犯人が採った行動がまた爆笑ものでした。 |