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[ クライム/倒叙 ]
大列車強盗
マイクル・クライトン 出版月: 1976年01月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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早川書房
1976年01月

早川書房
1981年07月

早川書房
1981年07月

No.1 7点 tider-tiger 2016/02/07 10:24
時代は1850年代、舞台はロンドン。
英国はクリミア戦争に突入しており、兵士の給料として多額の金塊を列車にて輸送している。その金塊を掠め取ろうと目論むエドワード・ピアース。仲間を集め、入念な下準備のもとに計画は進められていくのだった。

「大列車強盗」と呼ばれる英国で実際にあった事件を下敷きにした作品であり、前書きの段階で物語の結末が明かされる。
ページ配分は金塊強奪の準備に250頁ほど費やし、実際の犯行と後日譚は100頁もない。つまり、冷酷で頭の切れる悪党ピアースによる犯行の準備を主に楽しむ作品である。いろいろな準備が多発的に同時進行で行われるため散漫な印象も受けるが、それらが一つの目的に向かって収斂していくのは気持ちがいい。
また、犯行の準備に絡めて当時の風俗もしっかりと書かれている。この歴史風俗の説明は資料をそのまま引き写した感じがするが、おそらく作品にドキュメンタリー風味を持たせるため、あえて教科書的な文体を織り交ぜたのだと思う。
ピアースの策略がうまくゆき過ぎるきらいはあるが、個人的には許容範囲。
また、人物描写はいま一つだが、主人公のピアースだけは魅力的であった。
大きな企み、驚きはないが、小技の積み重ねで頁を繰らせる。
佳作であり、マイクル・クライトンの異色作でもあると思う。

マイクル・クライトンといえば今では「ジュラシック・パーク」の人という印象かもしれませんが、守備範囲の広い、優れたエンタメ作家だと思います。私の読んだ限りではハズレ率は低い。
また、エンタメ精神旺盛である一方、背景についてもしっかりと調べてきちんと書くところなども好印象です。

※本作のモデルと思われる大列車強盗の犯人ロナルド・ビッグスは外国に高飛びしていましたが、英国に帰国、収監され、釈放されるも二年ほど前に亡くなりました。マイクル・クライトンよりも長く生き延びてしまったわけです。



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