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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
失われた黄金都市
マイクル・クライトン 出版月: 1982年11月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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早川書房
1982年11月

早川書房
1990年07月

No.1 7点 tider-tiger 2017/08/10 00:05
ブルーダイアモンドの鉱脈を求めてコンゴの奥地に分け入った調査隊が全滅した。調査隊の撮影した映像にはゴリラに似た生物と奇妙な建造物が映っていた。
第二次調査隊が結成され再調査に向かうが、手話の使い手であるゴリラが一頭メンバーに加えられていた。

1980年の作品。原題は『Congo』かつてベルギー国王の私有地扱いをされ散々な目に遭ったアフリカのほぼ中央に位置する国。
高校生の頃に夢中になって読んだ作品。二十ウン年ぶりに読んでみたが、やはり面白い。
きちんと調べて書くのが持ち味のマイクル・クライトンだが、序盤は蘊蓄が悪玉コレステロールのごとくで物語の血流がイマイチ悪い。興味ある蘊蓄(ゴリラ系)は良いのだが、興味のない部分は読み飛ばしてしまった。そんなに支障はなかったりする。
中盤はまさに冒険小説。次から次へと襲い来るアフリカならではの困難は予想を大きく外れるものではないものの、丁寧に状況が説明されるためとても臨場感があって面白い。
終盤の謎の生物との絡みも多少???な部分もあったが、非常にスリリング。
まあ、ラストはこの手の話の常道ではあったが、それもまたよし。

気になった点
調査隊に手話のできるゴリラと動物学者、彼らを参加させる必然性が薄い。また、明らかにやばい展開になっているのに動物学者が大切なゴリラを継続参加させるものかも疑問。
まあゴリラがいなくちゃ話にならないのだが。
調査隊の主要メンバーである三名。マイクル・クライトンにしては人物造型を頑張ったとは思うが、この三名の関係がちょっとビジネスライクに過ぎる印象。これだけの冒険を共にこなしていくわけだから、好きにせよ嫌いにせよ、もう少し人間的な心情の交錯があって然るべきでは。
ちなみにもっとも魅力的なキャラはゴリラのエイミーだった。
エイミーは賢すぎるが、荒唐無稽ギリギリでどうにか踏みとどまっている。

冒険小説というと同時期によく読んでいたアリステア・マクリーンやジャック・ヒギンズが浮かぶが、本作のようなものが私にとっては理想の冒険小説。
その理由は作品の質ではなくて、女王陛下のユリシーズ号に乗艦するのもシュタイナ大佐とパラシュートで英国に降下するのもご容赦願いたいが、本作のアフリカ行には自分も参加してみたいから。

※邦題が「黄金都市」であらすじにブルーダイアモンドなんてあるので宝探し小説のように思えますが、そういう話ではありません。少なくとも黄金はタイトルにしか出てきません。


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