皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 四十面相クリークの事件簿 |
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トマス・W・ハンシュー | 出版月: 2011年05月 | 平均: 3.67点 | 書評数: 3件 |
論創社 2011年05月 |
No.3 | 5点 | nukkam | 2016/05/24 16:26 |
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(ネタバレなしです) 米国生まれで英国で没したトマス・W・ハンシュー(1857-1914)はニック・カーター(複数作家による共同ペンネーム)の1人としても知られてますが、最も有名な作品は江戸川乱歩の怪人二十面相に影響を与えたとされる本書でしょう。二十面相の方が明智小五郎の敵役として怪盗役を全うしているのに対してクリークは(怪盗出身でありますが)探偵として活躍しており、本書を怪盗物語と紹介するのは正確ではないでしょう。私が読んだのは短編集「四十の顔を持つ男」(1910年)の連作長編版(1913年)で、「四十の顔を持つ男」も12の短編の内9編と新たに書かれた1編の謎解きが楽しめる内容になっています。書かれた時代が時代なので読者が推理できる余地はほとんどありませんがトリッキーな作品が多く、「ライオンの微笑」事件はトリック紹介本に載るぐらい有名です。 |
No.2 | 1点 | mini | 2013/02/25 09:55 |
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本日発売の早川ミステリマガジン4月号の特集は、”「シャーロック」 とそのライヴァルたち”、BBCドラマの主演俳優来日記念との連動企画なんだろう
そこで便乗企画として”ホームズのライヴァルたち”の中から1つ 以前からホームズのライヴァルたちという分野に関してよく出版社にリクエストされる顔触れが有ってだね、特にダンセイニのリンリー氏ものとこの四十面相クリークなどはその筆頭だろう 四十面相クリークの場合はは乱歩の例の怪人の原型だからという理由も有るんだろうけどね この両者にはある共通点が有るんだけど皆様お解りでしょうか? それはですね、アンソロジーで断片的に読める短編が有って、まぁ上記の顔触れだと「二便のソース」と「ライオンの微笑」がそれだね この両作は作中のトリックに特色が合って、他のシリーズ短編も読んでみたいという思惑からリクエストするんだろうと推測する つまりですね、この両者をリクエストしてた読者層ってのは、トリックにしか興味の無いタイプの読者が多いと思われるんだよな 私はこの風潮が気に入らないんだけど、じゃぁお前は何をリクエストするんだ?と言われそうだからそれはまた後で でこの『四十面相クリーク』だが、これが酷い代物でして その前に、四十面相クリークは怪盗なのに何でホームズのライヴァルなのかというと、改心して警察に協力するわけだ ところが序盤の怪盗シーンの方は面白いのに、探偵役に転身すると全く駄目、何しろトリックが鍵を握る話が多いのに、そのトリックがつまらないからだ ミステリーの原則に、未知の毒薬とかを使用しちゃいけない、みたいなのが有るが、まさにそれ使っているんだもんな 冒険ロマンス的要素も盛り込まれているが、これも読んでて恥ずかしくなるレベル カーは四十面相クリークのファンだったらしく、なるほどカー作品の冒険ロマンス要素の源泉はこれだったのかも、しかしカーの冒険ロマンス調の作には時々つまらないのが有るが、こんなのに影響されたのが良くなかったんじゃねえの?(笑) デビューは怪盗ルパンの方が先だが、怪盗から探偵役に転身というパターンはむしろ四十面相クリークの方が早かったんじゃないかなぁ、ルパンの方がクリークに影響を受けたと思われるが、でもルパンが探偵役の連作短編集『八点鐘』の方が数段マシな気がする 結論として『四十面相クリーク』は、私が読んだホームズのライヴァルたちの中で最もつまらなかった こんなのを優先するのなら、論創社や創元など各出版社には次に挙げるライヴァルを選んで欲しいものだ L・T・ミード&ハリファックスの「医学探偵ハリファックス博士」 マクドネル・ボドキンの「親指探偵ポール・ベック」 アーサー・B・リーヴの「科学者探偵クレイグ・ケネディ」 マクハーグ&ボルマーの「心理分析探偵ルーサー・トラント」 F・テニスン・ジェシーの「霊感探偵ソランジュ」 オクティヴァス・ロイ・コーエンの「はったり探偵ジム・ハンヴィ」 etc |
No.1 | 5点 | kanamori | 2011/08/01 00:00 |
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元怪盗が改心して名探偵になり、ロンドン警視庁が持ち込む事件を次々と解決してゆく連作長編。論創社の”ホームズのライヴァルたち”シリーズの1冊。
不可能犯罪がテンコ盛りという前評判だったが、その真相は現在ではいずれも残念レベルというしかありません。それでも有名な「ライオンの微笑み」事件が読めたので良しとしよう。 エピローグで明かされるクリークの正体をはじめとして、全体的に大時代の冒険+ロマンス小説の色彩が濃く、そういったミステリだと思って読めば楽しめるかも。 |