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[ 本格/新本格 ] 眠れる森の惨劇 牧場智久/別題『緑衣の牙』 |
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竹本健治 | 出版月: 1993年08月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 3件 |
光文社 1993年08月 |
光文社 1998年03月 |
No.3 | 6点 | 雪 | 2021/07/26 17:05 |
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深い森に囲まれた函館近郊の美しいミッションスクール・星辰女学園で惨劇が起きた! 〈三姉妹館〉の二年生・朝倉麻耶が、森の奥の鐙沼で水死体となって発見されたのだ。さらに彼女が飛び込んだと思われる岩には「罪ハ血デ贖ヘ」の血文字が・・・。悪魔めいた魅力で人々を魅了していた麻耶にいったい何が!?
生徒たちを包み込む異様な気配。緑衣の悪魔が跳梁する時、古典様式を残す学園に何かが起こる。本因坊・牧場智久と女子高生・武藤類子のコンビが閉ざされた聖域の謎に挑む、竹本健治の意欲作! 1993年発表。『妖霧の舌』に続く智久&類子シリーズ第三作で、著者十六番目の長篇。処女短篇集『閉じ箱』の前に来る作品でもあり、今回は伝奇ホラー『クレシェンド』(2003)の前フリとして読了した。『クレシェンド』では須堂真一郎の盟友・天野と共に、本書で智久とほぼ対等な役回りを受け持つ人物のその後が描かれるが、こうしてみると確かに再登場させたくなるキャラではある。 全19章で前半各章は麻耶の死を受け止める少女たちの個別語り、中盤以降は〈桃井ショック〉で大スランプに陥り、本因坊戦第五局の気分転換に学園を訪れた智久と類子に主体が移行する。動機こそいつもの竹本だが内容的には意外にスッキリ纏まっており、メイントリックは〈三姉妹館〉のシステムと構造を利用して巧妙。容疑者が少ないため犯人は割れ易いが、舞台設定や雰囲気など、学園ものとしてはまず合格と言っていい。 『緑衣の牙』の別題通り(こちらが構想時のタイトルらしい)同モチーフの綾辻行人『緋色の囁き』との関連が指摘されているが、未読のため詳細は不明。こんな解説されたらそっちも読破するしかないじゃないですか法月先生。また宿題が増えてしまったなあ。腰掛けのつもりであまり期待せずに読んだら存外まともな作品で、採点はギリ6点。 |
No.2 | 6点 | nukkam | 2021/04/03 22:20 |
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(ネタバレなしです) 後年に「緑衣の牙」に改題された1993年発表の牧場智久シリーズ第7作で、類子&智久シリーズとしては第3作となる本格派推理小説です。深い森に囲まれた女子高で起こった悲劇の謎解きを扱っており、建物配置図と三姉妹館の見取り図があるのが読者サービスになっていますがそこまでやってくれるなら森の地図も欲しかったですね。死体の発見された鐙沼と女子高の位置関係が私にはよくわかりませんでした(文章から読み取れるのかもしれませんが)。作者が「最も透明度の高い作品に仕上がった」と自己評価しているように、人物の心理描写が時に幻想的になりますがこの作者の作品としてはわかりやすく、トリックの使い方の巧さが印象的でした。とはいえ最後に類子が発した「本当にそれでいいの」という質問に対する智久の答えは個人的には納得できるものではなく、後味はよくなかったです。 |
No.1 | 6点 | 蛙ライダー | 2001/04/22 15:19 |
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ラストが、あんたあんまりやという話でした。 どんでーんとかそんなんでなくって、ヒロインが哀れなり。 |