海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格 ]
インパーフェクト・スパイ
ケイト・ファンスラー教授
アマンダ・クロス 出版月: 1996年03月 平均: 5.00点 書評数: 2件

書評を見る | 採点するジャンル投票


三省堂
1996年03月

No.2 7点 ROM大臣 2022/06/16 14:16
フェミニズムや人種差別を扱ったミステリは、昨今アメリカのミステリ・シーンでは実に多い。作品がその主義主張のための単なる手段になってしまう傾向が無きにしも非ずで、やはりミステリとしての核の部分がしっかりしていないと、それなりの評価を下すことはできない。だが本書に関しては、そんな心配はご無用。
フェミニズムを中心にしながらも、それがプロットと有機的に結びつき、読後もひたすら爽快感が残る。数々の驚きやどんでん返しにも満ちており、何よりもジョン・ル・カレに対する作者の思い入れのほどが感じられるのが嬉しい。

No.1 3点 nukkam 2015/04/11 23:18
(ネタバレなしです) 1995年発表のケイト・ファンスラーシリーズ第11作です。ジョン・ル・カレの「パーフェクト・スパイ」(1986年)を意識したタイトルが付いていますが、あいにく私はカレ作品を読んでいないのでどれほどの影響を受けているのか見当もつかず(あちこちでカレ作品からの引用があるのはわかりますが)、国際的陰謀があるわけでも産業スパイが登場するわけでもありません。フェミニズム問題ばかりが目立っており、終盤のケイトのせりふにあるように、探偵が「何かを解決する」わけではなく、これまでに私が読んだクロス作品の中でも最もミステリーらしくありません。デビュー作でユーモア本格派だった「精神分析殺人事件」(1964年)と本書を比べるとあまりの作風の違いに驚きます。クロス(1926-2003)は本書以降にシリーズ作品を3作発表したところで自殺してしまうのですが、本当に書きたかったのは何だったのだろうと考えさせられます。


キーワードから探す
アマンダ・クロス
1996年04月
ハーヴァードの女探偵
平均:6.00 / 書評数:2
殺人の詩学
平均:5.00 / 書評数:2
1996年03月
インパーフェクト・スパイ
平均:5.00 / 書評数:2
精神分析殺人事件
平均:5.50 / 書評数:2
1988年02月
ジェイムズ・ジョイスの殺人
平均:5.50 / 書評数:2