皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格 ] 古時計の秘密 少女探偵ナンシー・ドルー 別題「古い柱時計の秘密」 |
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キャロリン・キーン | 出版月: 1962年05月 | 平均: 4.50点 | 書評数: 2件 |
金の星社 1962年05月 |
金の星社 1998年11月 |
東京創元社 2007年11月 |
No.2 | 3点 | mini | 2014/05/27 09:56 |
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本日27日に論創社からA・E・W・メイスン「被告側の証人」とキャロリン・キーン「歌うナイチンゲールの秘密 ナンシー・ドルーの事件簿」が同時刊行される、ただ当サイトの登録はメイスンのが刊行前から登録されてたのに対してナンシー・ドルーのは無視されてましたけど(苦笑)
結構ジャンルの守備範囲の広い論創社だが、ジュヴナイルにまで手を広げたのには驚いた、しかし私としてはこういう傾向はあまり嬉しくない、もっと出して欲しい作家・作品は有るのにこんなのに労力使って欲しくないなぁ アメリカを代表する児童ミステリー少女探偵ナンシー・ドルーは30年代からずっと続く長寿シリーズで、児童向けミステリーとしての本国の存在感では日本の少年探偵団など凌ぐ存在だろう もっとも児童向けとは言っても、主人公のナンシー・ドルーは18才、車は乗り回すし、どちらかと言えば日本のラノベ感覚かも(笑) キャロリン・キーンはもちろんハウスネームで、複数の作家が書き継いできたわけで、年代により作風は多少変遷してきたのだろうが、世界的によく紹介されるのは"オリジナル・クラシック”と呼ばれる第56作まである(第57作以降は原著出版社が変わったりと歴史的意義がやや薄れる) 今回の論創社のもその第56作まの中の1作でシリーズ第20作目だが、シリーズ第1作が「古時計の秘密」である 実は創元文庫からも初期作が何作か出ており、同じ原著のが現在日本の児童向け叢書からでも読めるのに何故に創元がわざわざ新規翻訳したのか 活字のサイズや、ルビは振って有るものの児童にはやや難しい漢字や語句を平気で使用した翻訳文など、基本的に児童限定を想定しているとは思えない 創元の意図としては、完訳でオリジナル原著の雰囲気を伝えようとしたのだろう、ついでにこれで入門した児童が大人になっても引き続いて創元文庫に親しんでもらいたいとの商売上の大人の事情というのもちょっぴり有るのかも知れない(小笑) 従来は「古い柱時計の秘密」と訳される事が多かったが、今回の創元版では”柱時計”という解釈は間違いだと指摘し”置時計”に解釈した題名となった 内容的には当サイトでのnukkamさんの御書評が的確に言い表しているので私が付け加える事はあまり無いのだが、ただ1つだけ言及したいのが、御書評中でも指摘されていた”勧善懲悪の徹底”という要素である、本当に勧善懲悪に”徹底”しているんだよね、いやぁ極端過ぎでしょう(笑) とにかく厭な奴・感じの悪い奴等は徹底して嫌な奴、同情すべきは徹底して良い人達 児童向けという事情で仕方ないんだろうけど、この勧善懲悪の徹底があまりに鼻につくので読んでるのが辛かった やはりねえ、ミステリー小説ってのはさ、悪ぶってるくらいで丁度良いと思うんだよね そもそもミステリー小説というものは本来は児童向きじゃないのではないかと思わずにいられない ただ暴力シーンとかが一切嫌いで、ハードボイルド系などが全く合わないタイプの読者には合うかも知れない |
No.1 | 6点 | nukkam | 2012/08/16 13:35 |
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(ネタバレなしです) キャロリン・キーンは特定の作家ではなく、複数作家による合同ペンネームです。米国作家のエドワード・ストラッテメイヤー(1862-1930)が少年少女向けミステリーを専門に発表する出版社兼作家団体のストラッテメイヤー・シンジケートを1906年に設立し、合同作業で書かれた膨大なシリーズ作品を世に送り出しましたがその最大のヒット作が世界で1番有名な少女探偵ナンシー・ドルーのシリーズです。ストラッテメイヤー・シンジケートは他の出版社に買収されてもう存在しませんが、このシリーズは今なおキーン名義で書き続けられています。本書は記念すべきシリーズ第1作で1930年に発表されています。起伏に富む展開、勧善懲悪の徹底、わかりやすい謎解きと子供向けミステリーの王道路線を行ってます。ナンシーは探偵能力以外は等身大の少女かと勝手に思っていましたが、車を運転したりモーターボートを操船したりと結構かっこよさをアピールしていたのが意外でしたね。いくらアメリカでもこの時代に車を運転する18歳の少女は珍しかったのでは。あと単に解決するのが目的でなく、弱者への思いやりを見せているのがよかったです。 |