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[ 本格/新本格 ] 團十郎切腹事件 中村雅楽 |
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戸板康二 | 出版月: 1960年01月 | 平均: 7.25点 | 書評数: 4件 |
河出書房新社 1960年01月 |
講談社 1981年10月 |
東京創元社 2007年02月 |
No.4 | 8点 | クリスティ再読 | 2020/01/05 22:12 |
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パズラーだったら、作中で提示された手がかりを読者が評価して、正しく推論できるものでなければ...という理想はあるにはあるのだけど、それが必須か、というとそうでもないように思う。この連作で提示される手がかりから推理するためには、歌舞伎に相当通暁していないと無理だ(苦笑)。しかしそれが弱みになっているか、というと全然そうじゃない。「読者がわからなく」ても、そこで明かされる知識が独りよがりなものでなくて、作品とうまく整合したものだったら、十分オトナの読む小説として成立するのである。
そういう意味じゃ、この中村雅楽を主人公とするシリーズは、半七の香りがするかなり貴重なシリーズのようにも感じる。まあ綺堂も作者同様に演劇記者を勤めて、歌舞伎の作者にもなった人のわけで、江戸趣味のバックグラウンドも共通するし、また直接に半七捕物帖をかなり意識したようでもある。候文の手紙を書く中村雅楽の姿に半七老人を重ねるものいいだろう。半七の明かす真相によって幕末の人々の生活が身に迫って理解されるのと同様に、雅楽の明かす真相は歌舞伎の世界の伝統や慣わしを読者に実感させるのだ。モデルとしたドルリー・レーンの演劇知識は評者はハッタリだと思うけども、雅楽はそうじゃない。地に足のついた名探偵の造形として、模範となるようなものだと評者は思うよ。 まあそういう評価なので、この短編集に収められた作品のどれも、過不足なく面白い。個別の作品の良し悪し、というよりも、短編集として名作、という印象である。 |
No.3 | 7点 | ボナンザ | 2014/04/08 01:13 |
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一作目だけあってアイディアがすばらしい。
こんな名作がこれまで埋もれていたとは。 |
No.2 | 7点 | TON2 | 2013/01/07 01:56 |
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創元推理文庫
クイーンのドルリー・レーンを模倣したという老歌舞伎役者・中村雅楽が探偵役で、気持ちのいい作品です。 時代が大正から戦後間もないころで、少々古い感じがしますが、これはまた作品の趣ともいえます。 |
No.1 | 7点 | kanamori | 2010/05/10 21:22 |
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歌舞伎の老俳優・中村雅楽を探偵役とした連作短編集。
当シリーズは後期の作品になると日常の謎系の軽めのミステリが主流になってしまいましたが、第1短編集の本書では、江川刑事の登場する事件ものが多く含まれていて本格度が高いと思います。 表題作以外では、「奈落殺人事件」「等々力座殺人事件」「松王丸変死事件」なんかがいいですね。 |