皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ パスティッシュ/パロディ/ユーモア ] 大相撲殺人事件 |
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小森健太朗 | 出版月: 2004年02月 | 平均: 5.33点 | 書評数: 3件 |
角川春樹事務所 2004年02月 |
文藝春秋 2008年11月 |
No.3 | 5点 | パメル | 2024/02/22 19:33 |
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大学の留学を希望して来日したマーク・ハイダウェーは、間違えて相撲部屋・千代楽部屋の門を叩いてしまう。通訳として彼の話を聞いていた親方の一人娘・聡子は、この勘違いに気付いて愕然とする。だが逸材を手放したくない親方は、力士として取り組みを続けながら大学受験に取り組んではどうかと提案、マークは力士・幕ノ虎として人気者になっていく。その千代楽部屋を中心に次々と殺人事件が発生し、マークが鋭い洞察力で真相を看破する。
「土俵爆殺事件」取り組んだ瞬間に力士が爆発する怪事件が起きる。トリックは、あっさり暴かれる。どちらかと言えば、マークの紹介がメイン。 「頭のない前頭」千代楽部屋の浴室で前頭の千代弁天が、首切り死体となって発見される。しかも現場は密室だった。トリックもユーモアも今ひとつ。 「対戦力士連続殺人事件」マークの取り組みの相手が次々と殺されていく。バカミス炸裂。御前山の存在感が発揮、動機が興味深い。 「女人禁制の密室」女性が上がれないはずの土俵上で行事が殺される。性差密室ともいうべき、心理的タブーが人間の行動に及ぼす影響を考慮した怪論理に唖然。 「最強力士アゾート」力士を狙った連続バラバラ殺人事件が発生。しかも身体の一部が持ち去られる。占星術殺人事件などでお馴染みのアゾートをこんなトリックに使うとは。 「黒相撲館の殺人」山中の洋館に閉じ込められた千代楽部屋の一行が、黒力士の亡霊に襲われる。まさかの歴史改変ミステリ。無茶苦茶な終わり方。 相撲とミステリの取り合わせは面白いのだが、探偵役のマークを含め登場人物のキャラクターが立っておらず、それぞれの関係性の描かれ方も物足りない点が残念。 |
No.2 | 5点 | 江守森江 | 2011/02/03 23:45 |
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言い逃れ出来ない物証(メール)ありでの八百長発覚オメデトウ!!!
国技大相撲も一皮剥いたらプロレスと同じでした。 謎と解決(←理事長の現役時代の四股名じゃないよ!)だけでなく描かれる相撲界も含めてバカミスだが、これ位の事件が起きなければ現実の相撲界は良くならない気がするから不思議なものだ。 幕下力士に「〜関」なんて表記があるのだから、作者はミステリ的発想を相撲に当てはめただけで相撲には無関心だったのだろう。 しかし、フィクションではあるが横綱を含めてメチャクチャに死亡するのに相撲界が壊滅しないのだから、現実世界でも八百長如きで大相撲は廃れまい!(大関互助会相撲万歳!私なんか、千代大海引退前過去5年間の魁皇対千代大海戦の勝敗予想が完全的中だった) ※恥ずかしい余談 両国国技館の近場に墨田区横網なる地名があるが、以前私は相撲関連から名付けられた地名で横綱だと思っていた。 2サス・ドラマで同様のネタが使われて横網だと認識出来た。 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2010/06/07 23:44 |
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いわゆるバカミスの系列に属する作品。
くだらなさとトリックの安直さは頂けないが、取り組み中に爆死する力士、入浴中に切り取られた力士の頭など、謎の提示は意外と魅力的ではある。 これらの謎に十分納得の行く解決が示されていたなら、傑作になったであろう可能性が高いだけに残念。 小森健太朗にもこんな作品が書けるのだという、新たな認識を世に示した怪作。 |