皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 社会派 ] 灼熱 |
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| 葉真中顕 | 出版月: 2021年09月 | 平均: 8.00点 | 書評数: 2件 |
![]() 新潮社 2021年09月 |
![]() 新潮社 2025年02月 |
| No.2 | 8点 | E-BANKER | 2026/06/05 15:19 |
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| 「葉真中顕」である。今、(個人的に)最もアツい作家。
またも大作である。単行本で650ページ超。今回も作者が紡ぐ大いなる物語の世界に吸い込まれるような読書になるのだろうか? 週刊新潮に連載された後、加筆し、単行本化は2021年。 ~「日本は戦争に勝った!」 無二の親友を引き裂いた「もう一つの戦い」の真実。デマゴギーの流布と分断が進む現代に問う、渾身の巨篇。沖縄生まれの勇と、ブラジルで生まれ育った日本移民二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠い地・ブラジルの日本人入植地「弥栄村」で出会った二人は、かけがえのない友となるが……。第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死傷者を出した「勝ち負け抗争」。共に助け合ってきた人々を過激な抗争へと駆り立てた熱の正体とはなんだったのか。分断が加速しフェイクニュースが横行する現代にこそ問う、圧倒的巨篇~ 熱い物語だった。 舞台は戦前から戦後のブラジル。タイトルのとおり「灼熱」の土地で繰り広げられた「勝ち負け抗争」に題がとられている。 主人公はふたりの少年。少年は異郷の地でさまざまな経験を経て、成長しやがて大人になっていく。 感じたのは抗うことのできない「時代」とそれがもたらす「運命」。 作者の名作「凍てつく太陽」の時代背景もほぼ同様だった。舞台は北海道。主人公はアイヌにルーツを持つ青年。 本作と同様、「日本という国家、天皇という存在」に絶対的な服従を強いられた時代。「凍てつく」では純日本人から差別の対象となりながら、己の矜持を貫く存在として主人公が語られ、本作ではブラジルという遠く離れた世界で「日本人の矜持」を貫こうとする人たちの姿が描かれる。 あまり政治的な話はしたくないけど、戦時下においては「デマゴギー」「大義名分」が為政者にとって必要となる。民衆の頭の中をマヒさせるのがこの「デマゴギー」であり「大義名分」なのだろう。一歩下がって冷静に考えれば気付くはずなのに、“作られた雰囲気”のなかでどうしても流されることになる(流されたほうが楽なのだ)。 本作ではそういう異常な雰囲気を纏った世界が描かれる。親友だったはずのふたりの少年も、ほんのちょっとした「ボタンの掛け違え」のようなきっかけで道を違えていく。 うーーん。なかなかうまく表現できないな。なんていうか、とにかくもどかしいのだ。「こんなこと普通に考えれば分かるでしょ!」って言いたくなることばかり。それでも人々は流されるように不幸の道に進んでしまう。 とにかく「人の悪意」というのが、諸悪の根源なんだというのは痛感させられた。 本作にはミステリとしての興趣はほとんどない。 ラストに少しだけ、作者らしい人物に関する仕掛けが用意されているけれど、それ以外はとにかく圧倒的な取材量に裏打ちされた物語にこの身を投げうつのみ。 いうなら「作者が投げてきたストレートの剛球」が本作。きっと、読み終わったときには、キャッチャーミットに「ズバーン」ていう大きな音が響いてるんじゃないかな・・・(分かりにくい表現だな) |
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| No.1 | 8点 | take5 | 2026/03/26 15:17 |
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| とんでもない熱量、660ページ超に
大好きな葉真中顕作品ではあっても さすがに躊躇しましたが、拾い読み したページで一気にはまれました。 ブラジル移民の敗戦への受け止め方 一言で言えばテーマはそういう事、 しかしそこに単純な対立構造でなく 例えば風説の流布は如何に起きるか など示唆に富む内容盛り沢山です。 池上彰さんの説明を以下要約します。 戦争を勝ったとする勝ち組と、負けを 認める負け組の思想対立のなかで、 勝った日本の円の価値がこれから上がる と言って、敗戦で紙くず同然になった 旧円を売りつけるなどの詐欺が相次いだ のです。被害者は、もちろん「勝ち組」 でした。人々は、信じたいことを信じる。 フェイク情報が氾濫する現在、ブラジル での事態は、決して過去の遠い地のこと ではないのです。そんなブラジルで、 日本人たちはどの様に懸命に生きたのか。 物語は、沖縄で生まれ従弟夫婦とともに 移住した勇と、祖父の代に移住しブラジル で生まれ育ったトキオ、二人の人生を軸に 進みます。日本へ共に帰ることを誓った 親友同士の道は、しかしやがて大きく 分かれていくことになります。 地球の裏側だからこそ、天皇を神格化し そこに救いを求める。戦争被害者として 女性がいかなる立場にいたのか。等々、 取材をしっかりされているからこその 熱量を、独りよがりでない作品として 落とし込めるのだと、私は強く感じます。 |
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