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[ 本格 ]
弔いの鐘は暁に響く
ドロシー・ボワーズ 出版月: 2025年03月 平均: 5.00点 書評数: 1件

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論創社
2025年03月

No.1 5点 nukkam 2025/03/26 07:17
(ネタバレなしです) 長く辛い第二次世界大戦がようやく終結し、ドロシー・ボワーズ(1902-1948)は「アバドンの水晶」(1941年)以来となる本書を1947年に発表します。翌1948年には英国推理作家のディテクション・クラブへの入会も果たしますがその矢先に肺結核で世を去ってしまいます。タイタニック号の海難事故に巻き込まれたジャック・フットレル(1875-1912)、心臓発作で倒れたE・D・ビガーズ(1884-1933)、スペイン内乱で戦死したクリストファー・セント・ジョン・スプリッグ(1907-1937)、アルコール中毒だったクレイグ・ライス(1908-1957)、ガンに冒されたケイト・ロス(1956-1988)たちと共に早すぎる死が惜しまれます。遺作となった本書ですが田舎と都会が混ざり合ったレイヴンズチャーチと周辺の村で春から初夏にかけて5件の自殺事件が起きます。6件目の事件は殺人事件で、被害者は「五人が死んだ。だが六人目も死ぬかもしれない」という匿名の手紙を受け取っていました。本当に自殺だったのかの疑問については探偵役のレイクス警部が第五章で「五件もの殺人を明白な自殺に見せかけることなど、天才でなければ無理です」と語っていて論創社版の登場人物リストには自殺者の名前が載っていないので重要でないのかと油断していると、中盤以降は彼ら(と関係者)についての捜査があって誰が誰だかわかりにくくなってしまいます。登場人物リストを補完することを勧めます。第十章で「もつれた糸を解きほどすことに多大な時間を費やすのが仕事のレイクス」と紹介されているように非常に地味に展開しますが終盤は容疑者同士が二人きりになる場面が相次いで挿入されてサスペンスが盛り上がり、劇的な(それでも抑制が効いていますが)結末を迎えます。探偵役による推理説明が不十分なのは本格派推理小説としては不満もありますが、犯人の自供書が印象的です。マザー・グースの「オレンジとレモン」の詩を引用しているところはマーサ・グライムズの「『五つの鐘と貝殻』亭の奇縁」(1987年)を連想させます。


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ドロシー・ボワーズ
2025年03月
弔いの鐘は暁に響く
平均:5.00 / 書評数:1
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