海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ サスペンス ]
幻視者の曇り空
織守きょうや 出版月: 2021年04月 平均: 5.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


二見書房
2021年04月

No.1 5点 猫サーカス 2024/06/29 19:26
語り手の久守一は身体に触れることで、相手の眼前の光景を垣間見る「幻視」の力を持っている。大学の後輩・真野莉子との縁でホームレス支援を行うNPO法人の活動に参加している久守は、新たに活動に参加した美大生・佐伯優を偶然幻視するが、そこには刃物で切り刻まれた血まみれの死体が倒れ伏していた。折しも街では連続通り魔殺人が起こっている。佐伯が真野に興味を抱いていることを知った久守は、彼の殺人の証拠を掴むため佐伯に接近するのだが、佐伯の描く絵、その人柄に徐々に魅かれてしまう。他者の秘密を知ってしまうことで懊悩する主人公の切ないモノローグが読みどころ。友人関係を育む日常と究極の非日常である殺人行為、その双方につながる感情が一個人の人間の内にあることが、本作のサスペンスとサプライズの源泉だ。特殊なロジックを明らかにする語りこそが本書の肝だろう。


キーワードから探す
織守きょうや
2023年09月
隣人を疑うなかれ
平均:6.00 / 書評数:1
2022年09月
悲鳴だけ聞こえない
平均:5.75 / 書評数:4
2022年03月
夏に祈りを ただし、無音に限り
平均:5.00 / 書評数:1
2021年07月
花束は毒
平均:7.38 / 書評数:8
2021年04月
幻視者の曇り空
平均:5.00 / 書評数:1
2019年07月
少女は鳥籠で眠らない
2018年08月
ただし、無音に限り
平均:6.50 / 書評数:2
2018年06月
世界の終わりと始まりの不完全な処遇
平均:5.00 / 書評数:1
2016年03月
301号室の聖者
平均:5.00 / 書評数:2
2015年10月
記憶屋
平均:6.00 / 書評数:1
2015年03月
黒野葉月は鳥籠で眠らない
平均:6.20 / 書評数:5