皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] 幻想三重奏 スミス警部シリーズ |
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ノーマン・ベロウ | 出版月: 2024年11月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
論創社 2024年11月 |
No.1 | 5点 | nukkam | 2024/11/30 03:01 |
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(ネタバレなしです) 英国のノーマン・ベロウ(1902-1986)は森英俊が「世界ミステリ作家事典 [本格派篇]」(1998年)の中で「イギリス最良の密室作家のひとり」と絶賛した作家で、1930年代から1950年代にかけて20作ほどのミステリーを残しています。第二次世界大戦中の従軍のため1941年から1945年の間は作品を発表していません。マイナー作家ながらも戦後の作品に注目作があるようです。1947年発表の本書は全5作のスミス警部シリーズ第1作の本格派推理小説で、三つの消失事件を扱っているところはピエール・ボアローの「三つの消失」(1938年)を連想する読者もいるでしょう。第一の消失は二階に上がっていった男が消失する事件ですが、消失の謎よりもこの男と接したはずの証人たちが相次いでそんな男はいなかったと証言する「存在しない男」の謎の方が印象的です。さらに幻の部屋の消失、路地の消失と続きます。阿井渉介の列車シリーズが好きな読者なら本書も好きになるかもしれません。トリック成立のために非常に手間暇かけているのが特徴ですが、どちらかと言えば度が過ぎるとあきれる読者の方が多いかも。逆転の発想の幻の部屋トリックはなかなか面白いですが。 |