皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] あなたに聞いて貰いたい七つの殺人 |
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信国遥 | 出版月: 2024年04月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 4件 |
光文社 2024年04月 |
No.4 | 5点 | 虫暮部 | 2024/08/09 11:48 |
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好きなタイプではあるけれど、それだけに同系統の作品を沢山読んだので、第一章の設定だけで色々見当が付いてしまう。と言う皮肉な状況が私の中で既に出来上がっていて参ったね。
計画は不自然、推理は恣意的、と感じられた。冤罪を上手く着せるには、あの人も殺しちゃうべきでは。本格ミステリと言うよりもサイコ・サスペンス的なキャラクター小説? 不自然さを帳消しに出来る程の突破力は無かった。 |
No.3 | 6点 | メルカトル | 2024/07/28 22:16 |
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若い女性ばかりを惨い手口で殺害し、その様子をインターネットラジオで実況するラジオマーダー・ヴェノム。その正体を突きとめてほしいと、しがない探偵・鶴舞に依頼してきたジャーナリストのライラは、ヴェノムに対抗してラジオディテクティブを始めることを提案する。ささいな音やヴェノムの語り口を頼りに、少しずつ真相に近づきはじめる鶴舞とライラ。しかしあと一歩まで追い詰めたとき、最悪の事態がふたりを襲う――
これは何を書いてもネタバレになりそうで、ちょっと難しいですね。 と言いながら書きますが、あまりに伏線が安易過ぎて・・・先の展開が読めてしまうと云うか、誰がどんな役割をしているのかがミエミエなので、興を削がれてしまうんですね。 探偵対連続殺人鬼に警察が絡むプロットはなかなかよく考えられています。しかしそれは必然であり、そこに無駄は一切ありません。 特に後半楽しめました。途中、えっ?まさか、と思わず声を出しそうになりました。ところが、後になってその理由に必然性がないのが解り、残念な気持ちになりました。 評価はちょっと厳しいかと思いますが、7点付けるには何かが足りなかった感が強いです。 |
No.2 | 8点 | HORNET | 2024/07/15 16:21 |
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年若い女性ばかりを残酷な手口で殺害し、その様子をインターネットラジオで実況中継する「ラジオマーダー」。その正体を一緒に突きとめようと、しがない探偵・鶴舞に依頼してきたジャーナリストのライラは、対抗して「ラジオディテクティブ」を始めることを提案する。かくして、殺人者VS探偵の戦いが、ラジオを介して公開で行われることになった。前代未聞の展開の中、少しずつ真相に迫りつつある2人だったが―
劇場型犯罪VS劇場型捜査。派手な舞台設定だが、本作の真骨頂はそんな作品の外観だけではない。しがない探偵・鶴舞に事件の真相解明を持ち掛けてきたジャーナリスト・桜通ライラの真意は何なのか?彼女は本当に味方なのか?そして、ラジオマーダーを名乗る犯人の目的は?・・・などなど、飽きさせることなく提示されていく謎と動的な展開に、引き込まれるように読み進められた。 なかなかの驚愕のラスト、ちょっと飛躍的な展開ではあるにせよ、読み物として十分魅力的な一冊だと感じた。 |
No.1 | 7点 | 人並由真 | 2024/06/23 09:42 |
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(ネタバレなし)
その年の夏、インターネットラジオの世界では、ある騒ぎが生じていた。それは若い女性を次々と殺害する謎の人物「ラジオ・マーダー・ヴェノム」が繰り返す、全7回と告知された殺人行為の瞬間の連続配信だ。そんななか、元銀行員で今は流行らない私立探偵稼業を営む「僕」こと鶴間尚は、Ⅹ大法学部の後輩の美人ジャーナリスト、桜通来良(さくらどおりらいら=ライラ)の訪問を受ける。ライラの希望は、巷を騒がす「ラジオ・マーダー」に対抗して、鶴間に匿名の「ラジオ・ディティクティブ」になってもらい、この連続殺人事件に挑んでほしいというものだった。かくして「ライラくん」をワトソン役に迎えた鶴間はふたりで「ヴェノム」事件に関わっていくが、そんな彼はやがて殺人犯の行動に、ある観念を見出した。 「ジャーロ」誌上の新人発掘企画「カッパ・ツー」の第三期受賞作品(真門浩平の『バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵』と同時受賞)。 あんまり意識しなかったが、改めて概観すると歯応えのある作品ばかりが登場している賞である。 で、この本作も外連味の塊みたいな新本格で、非常に面白かった。 ただし"犯人"は伏線が丁寧すぎて察しがつくし、一部の展開にはかなりの強引さも感じる(あと、真相の開陳を犯人自身の述懐に任せすぎるのも、ちょっと気になった)。 それでも中盤からのドライブ感と、クライマックスに判明する事件の真相はなかなか鮮烈。 演出の仕方でもっと際立った効果を上げられたんじゃないか? という伸びしろも感じるが、得点的には十分であろう(とはいえ、どっかの、評者がまだ出会っていない既存の新本格作品で、すでに前例めいたものがありそうな気もしないでもないが)。 まああんまり詳しく書いちゃいけないタイプの作品なので、ここでは、これくらいで。 そしてクロージングまで読み終えて<思うこと>はいささかあるけれど、その辺は、この作者の今後の作品を待たせてもらうことにしよう。 評点は8点に近い、この点数で。 |