皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ SF/ファンタジー ] たまご猫 |
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皆川博子 | 出版月: 1991年04月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
中央公論新社 1991年04月 |
早川書房 1998年01月 |
No.1 | 5点 | 糸色女少 | 2024/03/28 21:31 |
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表題作では、主人公が有能な姉の不可解な自死の原因を探りつつ、姉の夫や旧友と会話を重ね、その足跡をたどる。
それに象徴されるように作中では、しばしば家族・血族の絆が隠されていたはずの過去を引きずり出し、作品世界に影を落とす。姉と弟、叔母と姪、夫と妻、母と娘、義兄と義妹、どの関係も危うさを孕み、時に切なく美しく、時に醜悪に描かれる。さらには、死さえ絶望ではなく、生を凌駕する希望と化すことも。 どこかほの暗い展開は先が読めず、最後のページに至るまで、ミステリか恐怖小説か幻想譚か判断がつかない。 |