皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] その殺人、本格ミステリに仕立てます。 音更風゛(おとふけぶう)シリーズ |
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片岡翔 | 出版月: 2022年07月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 4件 |
光文社 2022年07月 |
No.4 | 7点 | mozart | 2023/10/01 14:08 |
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最初は脱力系なのかと思いましたがそんなことはなくしっかりとした本格ミステリーでした。どうでも良いことですが、さすがに「風゛」という字は読み辛くて何度でもそこで目が止まってしまい読み進める上でテンポが悪くなったのが個人的には残念でした。
彼女のキャラには結構好感が持てたのですが(コンビを組んだ形での)続編はさすがに無理でしょうね。 |
No.3 | 7点 | メルカトル | 2022/10/24 22:42 |
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音更風゛は、ミステリ作家の一家にメイドとして就職した。だが一族は不仲で、殺人計画さえ持ち上がる始末。これを止めるべく、風゛は計画を請け負った男・豺と「フェイク殺人計画」を練るのだが、なんと予想外の人物が殺されてしまい……。
死者を出さない“殺人計画" VS. 孤島のクローズドサークル 胸躍るノンストップ・本格ミステリ! Amazon内容紹介より。 先月この『ひとでちゃんに殺される』の書評で予告した通り、片岡翔の二作目です。どうせならミステリが良いと思い本作に決定。 コーディネーターによるマーダーミステリ(仮想現実)の、飽くまでゲームと云う新しいタイプのミステリ小説かと思わせて、結果定型の枠に嵌ったミステリに収まっています。言ってしまえば孤島ものですね。 最初の事件が呆気なく解決してしまい、一体これからどう物語を作り直すのかと思っていたら、お見事タイトル通り本格ミステリに仕立てております。 主役の一人で探偵役でもある風゛(ぶう)がなかなか個性的で好みの別れるところかもしれませんが、結構いい味を出しています。たまにボケたり鋭く指摘したりと、探偵を夢見る少女としては合格点でしょう。 途中、私の頭が悪いせいで事件と証言が錯綜しやや煩雑になってしまったのは残念でした。これは普通の読者であれば問題ないと思いますが。 クリスティよりは綾辻行人に影響を受けている感じがしましたね。作中に出てくる小説名や舞台となる館などにそれが見られます。真犯人に関しては・・・。 尚、最終章で感動したのとエピローグでの後味の良さを加味してプラス1点としました。 |
No.2 | 7点 | まさむね | 2022/10/18 19:50 |
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本格モノとして純粋に面白かったですね。ユーモアタッチも嫌いじゃないです。映画監督や脚本家として活動されている方だけに、ミステリとしての見せ方も達者で、飽きさせません。(でも、館内部の描写がもっと分かり易いとよかったかな。)内容について敢えて多くは書きませんが、個人的には好きなタイプの作品。
ちなみに、探偵役のキャラクターがなかなかに楽しく(逆に嫌な印象を持たれる方もいらっしゃると思うけど)、続編を期待したいところですが、難しいのかな。 |
No.1 | 7点 | 人並由真 | 2022/09/10 07:14 |
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(ネタバレなし)
あらすじを書かない方がいいタイプの作品だと思うので、今回はソレも省略。 とにかくこのユカイな題名に釣られて、読んでみた。 一種、技巧派フランスミステリを思わせる趣向で(?)途中までの物語は進行するが、文体や叙述のノリがそういった方向性に合致しない印象で、正直、半ばまでは、やや退屈であった。 ユーモアギャグっぽいネタも、ところどころ、ココで笑わせようというのは分かるのだが、笑えない、的な意味で引っかかる(汗)。 だ・が、中盤になって本筋の流れに突入してからは、鮮烈な加速感が増加。 それまでの伏線を回収しまくり、自由闊達なロジックで疑問や矛盾に応えていく終盤の謎解きのパワフルさに圧倒された。 (なお評者は、ミスディレクションのひとつぐらいは見破ったが、それは事前に勘付いてもなお、ニヤリとできる種類のもので、この辺も本作の魅力の一端。) 最終的には堂々たるフーダニットパズラーに着地しながら、それでも小説の旨味の方がそれより上に来る感じで、結構な力作であり、同時に好編だと思う。 ところどころであざといほどに、ここで読者の心のツボを刺激しよう、ここで(中略)もらおうという作者の欲目も見えるが、それが全体的に嫌味にもいやらしさにもなってない(評者の主観である)のは、本作の長所といえるだろう。 作者は映像関係の方で、演出と脚本の両面ですでにかなり活躍している人だそうで、最終的なバランス取りの良さには感心する。 (それだけに~作者が何をしたかったのか何となくわかる気もするが~前半の迂路ともいえる? 叙述が少し残念。) いずれにせよ、パズラー分野での今年の収穫のひとつとはいえるだろう。 シリーズ化に関してはちょっとあれこれ思う所もあるが(詳しくはいえない)、またこの探偵役のキャラクター(表紙の女子)に会えるといいなあ。 |