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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
墓頭
真藤順丈 出版月: 2012年12月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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角川書店(角川グループパブリッシング)
2012年12月

KADOKAWA/角川書店
2015年10月

No.1 7点 メルカトル 2022/02/14 22:51
双子の兄弟のなきがらが埋まったこぶを頭に持つ彼を、人々は“墓頭”と呼んだ。数奇な運命に導かれて異能の子どもが集まる施設に入ったボズは、改革運動の吹き荒れる中国、混迷を極める香港九龍城、インド洋孤島の無差別殺人事件に現われ、戦後アジアの暗黒史で語られる存在になっていく。自分に関わった者はかならず命を落とす、そんな宿命を背負った男の有為転変の冒険譚。唯一無二のピカレスクロマンがいま開幕する―。
『BOOK』データベースより。

まずは作者の語彙力の高さに圧倒されました。ボキャブラリーが豊富であるだけではなく、使い処が的確なのです。トーンは飽くまで暗く、その重さはとてつもなくへヴィです。
ストーリーとしては比喩ではなく頭の中にバラバラ死体を宿した墓頭と呼ばれた男の一代記であり、壮大な大河小説でもあります。謎の探偵が探し出した養蚕家が語る異様過ぎる物語。その中で墓頭に関わる脇役達を含め、それぞれのキャラが立っており、ある種の群像劇を繰り広げます。

その中には毛沢東らも含まれていて、アジアの裏歴史とも言える壮大な法螺話がとても魅力的に思えました。ただ、私が最も注目していた案件が最後まで果たされることなく暈かされたのは残念でした。又、いくつかのミステリ的手法を駆使して読者を惑乱する技も披露されており、真藤順丈の底力を見せつけます。これぞ氏の本領発揮と言えましょう。『宝島』の直木賞受賞は伊達ではないという事ですね。


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真藤順丈
2021年04月
われらの世紀
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