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[ ホラー ] 庵堂三兄弟の聖職 |
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真藤順丈 | 出版月: 2008年10月 | 平均: 5.50点 | 書評数: 2件 |
角川グループパブリッシング 2008年10月 |
KADOKAWA 2010年08月 |
No.2 | 6点 | メルカトル | 2020/11/20 22:29 |
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死者の弔いのため、遺体を解体し様々な製品を創り出す「遺工」を家業とする庵堂家。父の七回忌を機に、当代の遺工師である長男・正太郎のもと久々に三兄弟が集まる。再会を喜ぶ正太郎だが、次男の久就は都会生活に倦み、三男の毅巳も自分の中の暴力的な衝動を持て余していた。さらに彼らに、かつてなく難しい「依頼」が舞い込んで―。ホラー小説の最前線がここに!第15回日本ホラー小説大賞受賞作。
『BOOK』データベースより。 ホラーではないと思います。遺工師という一風変わった職業の長男正太郎と、主な語り手であり帰郷した次男、粗暴で口汚い三男のアットホームな物語です。とは言え勿論グロ描写に容赦はありません。かなり異様な小説ではありますね。異色と言うのも憚れるほどの怪作と呼んでもあながち間違いではありません。 読み始めて暫くはゴツゴツした文章やいかにも荒削りな作風に慣れるのに時間が掛かりましたが、読み進むにつれ馴染んできます。しかし、読者を選ぶ作品には間違いないと思います。こういうのが苦手な読者は少なからず存在するでしょう。冒頭から自ら切り刻んだ死体に添い寝する長男の姿で始まるわけですから、想像が付くとは思いますが。 それにしても、前振りが長くいつになったら本筋がスタートするのかとやきもきしましたが、100ページ過ぎ、豊島興業の美濃田会長が登場してから俄かに話が締まってきます。やっと面白くなってきて本編が始まったなと思いました。そこからサイドストーリーを挟み、一気呵成に物語が進行していき興が乗ってきます。 しかしながら、一番盛り上がり泣かせるべきシーンが呆気なさ過ぎてがっかりしました。一流の作家ならばここで読者を号泣させる事でしょう、残念です。そしてラストのあれは出来れば無かったことにしたかったところです、個人的には。何故そこまでして?という疑問は通用しないんでしょうね、この場合。まあその辺りも容赦なしです。その割には後味は悪くありませんでしたけれど。 しかし、これがホラー小説大賞?直木賞作家の仕事なのかと素朴な疑問が湧いてきてしまうのは私だけでしょうかね。 |
No.1 | 5点 | 八二一 | 2019/10/11 19:47 |
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第十五回日本ホラー小説大賞受賞作だが、いわゆるホラーを期待して読むと肩透かしを食らう。グロテスクに装飾された、兄弟の再生の物語。題材の選択、設定のふくらませかた、キャラクターなど、全てが奇跡的にうまく噛み合って生まれた、他に類のない作品。 |