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[ サスペンス ] 心閉ざされて |
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リンダ・ハワード | 出版月: 2000年01月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
二見書房 2000年01月 |
No.1 | 7点 | クリスティ再読 | 2021/10/31 18:54 |
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これは、出来がいい。ゴシック・ロマンスのツボを押さえて、意外な犯人のミステリ興味もあれば、ヒロインの成長物語、家族大河小説の味わいまで備えたロマンティック・サスペンスの名品。
南部の名家に生まれた少女ロアンナは交通事故で両親をなくし、同じ境遇の従姉ジェシーと共に本家を取り仕切る女主人の祖母ルシンダに引き取られた。ルシンダは事業の後継者としてロアンナとも幼馴染で兄のようにしたうウェッブを後継者とするが、ジェシーは美人で優雅に成長してウェッブの妻の座を射止める。それに引き換えドジで変わり者のロアンナは、ジェシーに意地悪されつつも、ウェッブを慕っていた。ロアンナにキスをするウェッブをジェシーが見とがめた夜、ジェシーは何者かに殺された。容疑は夫婦喧嘩をしたウェッブにかかるが、証拠もなく事件はうやむやになる。容疑の晴れきれないウェッブは怒って家を出る....十年後、事件の影響で心を閉ざしつつもルシンダの補佐役として事業を切り回すロアンナに、ルシンダはウェッブを連れ戻すように頼み、ウェッブの住む西部をロアンナは訪れる....ウェッブは南部に帰還して事業を継承するが、ウェッブとロアンナに危害を加えようとする怪事件が続けざまに起きる... こんな話。意地悪な従姉ジェシーは死んでもレベッカみたいな影響力を持つし、性格が歪んで帰還するヒーローって嵐が丘だ。遺産を狙う叔父伯母もいてゴシックロマンスのテンプレをうまく使い倒す剛腕がなかなかのもの。それにヒロインの屈折と、屈折の陰に隠れつつも成長していく姿に感情移入しやすい。不遇系ヒロインのロアンナ、キャラに面白味があってナイス。ジェシー殺しには意外な真相もあって、ミステリ興味も外さないし、ヒロインの屈折にもそれなりの「真相」っぽいものがあって、構図が切り替わる面白さもある。 うん、よくできたエンタメ。 |