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[ サスペンス ]
図地反転
改題『本ボシ』
曽根圭介 出版月: 2009年09月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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講談社
2009年09月

講談社
2012年08月

No.2 6点 メルカトル 2025/10/06 22:43
河原で少女の全裸死体が発見されて、初めて捜査本部に詰めることになった一杉研志。目撃情報から浮かび上がったのは、とかく噂の絶えない小学校教師。その不敵な容疑者が取調官の説得に落ちた瞬間、事件は解決した……。しかし2年後またもや起きた少女殺害事件に、研志の過去までが甦る。『図地反転』改題。
Amazon内容紹介より。

なかなか骨太の、優れたリーダビリティで読ませる本格警察小説。
冤罪を生み出す警察の姿勢と冤罪を許さない弁護士を中心とする会の対立や、被害者遺族の心情、事件に相対する刑事達のそれぞれの想いなどがせめぎ合い、真に迫る緊迫感を溢れさせます。ただ、何故少女が殺され全裸で遺棄されねばならなかったのかがすっぽりと抜け落ちており、その意味では不満が残りました。

第二部に入った辺りから自分なりに事件の構造を推測してみましたが、やはり一筋縄では行かず、誰が犯人なのかが全く予断を許さない状況に追い込まれました。
著者の『鼻』等を読んで随分感心した私としては、こんな小説も書けるのかという思いでいっぱいです。流石に数々の賞を受賞した人だなと思いました。寡作な作家ですが今後も期待したいものだと個人的に感じました。

No.1 5点 猫サーカス 2021/10/13 18:45
己の目で見たものは間違いない、と誰しも思っている。だが、見た目や先入観に惑わされる人は多い。ましてや、自分の記憶さえ、後になって都合よく改竄してしまう場合があるという。そんな人間心理の複雑なあやを扱った犯罪サスペンス。新米刑事の一杉研志は、幼児殺害事件捜査の応援で隣の署へまわされた。約二カ月たっても進展が見られなかったとき、ある目撃証言により犯人らしき男が特定された。だが前歴や言動などからも有力な容疑者とされたものの、決め手に欠けていた。実は研志は、子供の頃に妹を同じような事件で失っていた。犯人は逮捕され刑に服したが、一方で冤罪の可能性があったという。単なる犯人捜しではなく、現在と過去の犯罪を追うことによって見える真実を暴き出そうという物語。個人ばかりか、組織全体が見誤ることは、これまでも多くあったことだ。その過程を具体的に描き出すことで、奥底にある心理をあぶりだし、ドラマを劇的なものにしている。


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曽根圭介
2019年08月
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