海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 時代・捕物帳/歴史ミステリ ]
信長島の惨劇
田中啓文 出版月: 2020年12月 平均: 7.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


早川書房
2020年12月

No.1 7点 メルカトル 2021/03/15 23:19
本能寺の変で織田信長が明智光秀に討たれてから十数日後。死んだはずの信長を名乗る何者かの招待により、羽柴秀吉、柴田勝家、高山右近、そして徳川家康という四人の武将は、三河湾に浮かぶ小島を訪れる。それぞれ信長の死に対して密かに負い目を感じていた四人は、謎めいた童歌に沿って、一人また一人と殺されていく―。アガサ・クリスティー『そして誰もいなくなった』にオマージュを捧げた本格時代ミステリの傑作。
『BOOK』データベースより。

駄洒落を封印した真面目な田中。
時代ミステリは現代小説と比較して制約が厳しく、本格に寄せれば寄せるほど自らの首を絞めることになりかねません。そこを見事にクリアしてサスペンス風の本格ミステリに仕上げた手腕は褒められるべきだと思います。死んだはずの信長の命を受けて孤島に集められた秀吉、家康、勝家、右近の生き様や思考回路が手に取るように分かり、単なるオマージュに留まらない佳作となっています。

ただ、秀吉の三河弁が緊迫感を欠く事に繋がっているのはやや残念でしたが、他にも千宗易(のちの利休)や光秀の娘お玉も登場し、場を盛り上げます。そして、結果的に何故光秀が信長に謀反を起こしたのかが逆説的に説明されているところは大変面白いと思いました。残りページも僅かになって大丈夫かと思いきや終盤の畳み掛ける展開にはやられました。


キーワードから探す
田中啓文
2020年12月
信長島の惨劇
平均:7.00 / 書評数:1
2018年02月
警視庁陰陽寮オニマル 魔都の貴公子
平均:3.00 / 書評数:1
2017年11月
宇宙探偵ノーグレイ
平均:5.50 / 書評数:2
2016年10月
漫才刑事
2015年09月
イルカは笑う
平均:6.00 / 書評数:1
2013年05月
シャーロック・ホームズたちの冒険
平均:6.00 / 書評数:1
2011年10月
こなもん屋馬子
平均:7.00 / 書評数:1
2011年03月
獅子真鍮の虫
平均:5.00 / 書評数:1
2010年09月
ミミズからの伝言
平均:6.00 / 書評数:1
2010年02月
ハナシがうごく!
平均:6.00 / 書評数:1
2009年11月
あんだら先生とジャンジャラ探偵団
平均:3.00 / 書評数:1
2008年08月
辛い飴
平均:7.00 / 書評数:1
2008年05月
ハナシがはずむ!
平均:7.00 / 書評数:1
2006年08月
ハナシにならん!
平均:6.00 / 書評数:1
2005年11月
落下する緑
平均:6.40 / 書評数:5
2005年02月
天岩屋戸の研究
平均:3.00 / 書評数:1
2004年12月
笑酔亭梅寿謎解噺
平均:7.00 / 書評数:1
2004年06月
蹴りたい田中
平均:4.00 / 書評数:1
2003年11月
邪馬台洞の研究
平均:3.00 / 書評数:1
2003年07月
忘却の船に流れは光
平均:6.00 / 書評数:1
2003年02月
異形家の食卓
平均:3.00 / 書評数:1
2002年10月
蓬莱洞の研究
平均:4.00 / 書評数:2
2002年01月
UMAハンター馬子〈1〉湖の秘密
平均:6.00 / 書評数:1
2001年08月
鬼の探偵小説
平均:4.00 / 書評数:3
2001年04月
禍記
平均:6.00 / 書評数:1
2001年02月
銀河帝国の弘法も筆の誤り
1998年12月
水霊
平均:6.00 / 書評数:1