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[ 本格/新本格 ] シャーロック・ホームズたちの冒険 |
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田中啓文 | 出版月: 2013年05月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
東京創元社 2013年05月 |
東京創元社 2016年10月 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2020/01/28 22:43 |
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シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパン―ミステリ史に名を刻む両巨頭の知られざる冒険譚から、赤穂浪士の討ちいりのさなか吉良邸で起こった雪の密室殺人、シャーロキアンのアドルフ・ヒトラーが戦局を左右しかねない事件に挑む狂気の推理劇、小泉八雲が次々と解き明かす“怪談”の真相まで―在非在の著名人たちが名探偵となって競演する、奇想天外な本格ミステリ短編集。
『BOOK』データベースより。 解説では連作短編集とありますが、相互の関連性は全くありません。架空の人物を含めた歴史上の偉人有名人が探偵を務める本格ミステリの作品集となっています。ホームズの第一話はバカミスですし、ルパンはよくあるトリックではありますがちょっと意外でした。しかし、ホームズやルパンにはさして思い入れもないので、悪くはないと思いますが、どちらかと言えば平凡でしょうか。ヒトラーは当時の世相や戦局が背景にあったり、八雲は怪談話を論理的に解決していたりと、一々作風を変えています。全体としてクオリティはそれなりに高いのではないかと。 個人的にはやはり日本人の誰もが慣れ親しんだ赤穂浪士の物語『忠臣蔵の密室』が最も印象的ですね。元々ベースがしっかり出来上がっているので、そこに雪の密室が絡めば面白くない訳がないです。探偵役は果たして誰なのか、勿論映画やドラマ、或いは小説でお馴染みの主要キャストの一人です。そして内蔵助の決断とは?など魅力的なドラマ性たっぷりの逸品で、浅野内匠頭の切腹以後の模様が語られており、時代小説としても違和感は全くありません。ミステリとしては弱いですが、これは好感度が高いですね。 私は本格ミステリ志向が高いと自認していますが、こんな色物的なのを好んで読んでいるのは、実はそうしたどこか「外れた」小説に惹かれる為なのでしょうか。だから誰も読まない、或いは書評数の少ない珍品を読む羽目になるのかも知れません。生まれながらのマイノリティなんですよね。 |