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[ 本格/新本格 ]
五色の殺人者
千田理緒 出版月: 2020年10月 平均: 5.67点 書評数: 3件

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東京創元社
2020年10月

No.3 5点 ミステリ初心者 2024/12/20 15:43
ネタバレをしております。

 目撃者の証言が大きく食い違っているという魅力的な謎に惹かれて読みました。同系統の謎で思い出すのは、この間読んだヘレン・マクロイの月明かりの男ですw

 鮎川賞受賞作ということは、新人賞だと思うのですが、この作品はまるでベテラン作家の作品のように読みやすく、無駄がなかったです。序盤に事件が発生し、速やかに謎が提示されます。それ以降、捜査していくなかで自然に事件の詳細があきらかになり、被害者と容疑者と証言者のデータ提示と動機探しも同時並行されます。途中、何かに気づいた者が急死し(死んでなかったが)、主人公も危ない目に遭いサスペンス性が足されます。ラストにはどんでん返しと、さわやかな少しのラブストーリーがあります。この流れが王道ながら非常にスムーズで余計な部分がなく、小説を書くのがうまい作者なのだと感心しました。素人探偵ものなのも含め、D・M・ディヴァイン的なものを感じましたw

 以下、不満点。
 メインの謎となる五色に分かれる犯人の服の色の証言の謎ですが、思ったよりもあっけないですw ただ、非現実なわけでなく、むしろ現実にもありそうな事でした。
 藤原イツキと思われていた人物がイツキではない・・・という展開は流石の私でも読めました! 老人ホーム内の表現や名前と名字の表現など、フェアすぎるぐらいに伏線が張られていました。ただ、こういう勘違い系ドンデン返しは推理小説にありふれており、オリジナリティは感じませんでした。ラブストーリーに絡めてる点はよかったですねw

 総じて、優等生的な推理小説でよくできておりますが、謎やトリック自体は平凡でした。最近の鮎川賞には名作も多く、ややハードルが上がってしまった感じが否めません。悪い作品じゃないと思います。

No.2 6点 虫暮部 2022/11/24 12:17
 地味で小粒。好感は持てる。犯人に追われる場面はスリリングだった。しかし金看板は似合わない。賞の次点として世に出るくらい方が、寧ろ気分的に高く評価出来たかも。

 ところで、選評で紹介されている本能寺かぼちゃ作品は、まるで某このミス大賞文庫グランプリ作品だけど……?

No.1 6点 HORNET 2021/08/22 11:30
 第30回鮎川哲也賞受賞作。
 メイこと明治瑞希が介護士として働く高齢者介護施設で、利用者が撲殺される殺人事件が起きた。逃走する犯人らしき人物を目撃したのは5人。ところが、その人物の服の色について、「赤」「緑」「白」「黒」「青」と5人はバラバラの証言をする。一方、容疑者の中には職場の同僚・ハルが心を寄せている青年がいた。青年の無実を証明してほしい、とハルに泣きつかれ、ミステリ好きの「メイ探偵」が事件の真相を探り出す。

 目撃者が証言する服の色が全て違うという、単純で分かりやすい謎と、ライトな文体で非常に読み易い。「赤」「緑」ときたところで、まさか今さら海外古典に多用されたアレか?と訝ったがそういうこともなく、理論的に解き明かされていた。よい意味で複雑なひねりもなくオーソドックスで、平均的に面白かった、という感想。


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千田理緒
2020年10月
五色の殺人者
平均:5.67 / 書評数:3