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[ 本格 ]
殺人者なき六つの殺人
アンドレ・ブリュネルシリーズ
ピエール・ボアロー 出版月: 1985年03月 平均: 4.00点 書評数: 3件

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講談社
1985年03月

No.3 4点 mini 2016/12/11 10:52
論創社からピエール・ボアロー「震える石」と、S=A・ステーマン 「盗まれた指」が刊行された、今月分の配本は黄金時代のフランス本格派の競演という事ですな、両作共に舞台設定が古城だけにその手のばかり求めるような読者向きかも(笑)

クイーンなど合作作家は何人も居るが、それぞれが知名度の有った作家同士が合作を始めたというのは案外と例が少ない
逆に合作で地位を確立した後に何らかの理由で単独でも書き出した、という例なら枚挙に暇がないが
合作前のボアロー&ナルスジャックはそれぞれが単独でそれなりにミステリー作家としての地位を確立してたんだよね
特にピエール・ボアローはトリック中心のガチ本格ばかり書いていた作家で、後の合作での作風を考えると不思議な気さえする

今回の論創の新刊を除けばボアロー単独作で現在入手可能はものは、合本形式『大密室』所収の「三つの消失」(ただし雑誌『EQ』のバックナンバーでも可)と、もう1つが講談社文庫の「殺人者なき六つの殺人」の2冊でしょうね
実はもう1冊、読売新聞社が”フランス長編ミステリー傑作集”という新書版のシリーズをやった時、ボアローの「死のランデブー」というのが入っていたのだが、この叢書の中で最も入手困難な1冊である
おそらく発行部数の少なさも有ったのだろうこの読売の叢書は概ね入手し難いが、同叢書でもフレデリック・ダールやエクスブライヤなんかは比較的入手容易なんだよね
やはりこういう絶版ものまで探し出す読者ってのは本格派しか読みませんてなタイプが多いんだろうな
読売系は何故かフランスものに強くて、レオ・マレの”新編パリの秘密”シリーズを出したのも中公文庫だった

おっとフランス絡みで話が逸れた、で、講談社文庫の「殺人者なき六つの殺人」なんだけど、例の森事典でも酷評されていたな
まぁたしかに物語性に乏しく単なるトリック小説なわけだよな、ただしトリックメーカーとしてのボアローはアイデアは決してそんなに悪くない
作者はフーダニット面が超下手糞なので、折角のトリックが効果的に活かされてないんだよなぁ
私はトリックはそんなに悪くないと思った、題名通り犯人の姿の無い6つの不可能事件が起きるわけだけど、最初の3つ目までは結構良いんですよ
1つ目と2つ目の密室事件の真相は上手く説明されていると思う、トリックと言うよりはむしろ動機の隠し方の方が実に巧妙で、説明されてみれば成程納得なんだけど初心者レベルではまず見抜けないと思う
3つ目はトリックらしいトリック、悪く言えばトリックの為のトリックだから読者によって是非が分かれそうだけど、複雑なようで結構巧妙で、また犯人がそうしなければならなかった理由にも必然性が有って私は悪くないトリックだと思った
森事典では、あまりにも事件が次々に起こるので、もう少し各事件毎の間や余韻を持たせて欲しいと書いてあったが、う~んどうだろう?、各事件の発覚が間髪入れずなのには必然的な理由がちゃんとあるし、3つ目までは怒涛の不可能犯罪オンパレードでそれなりに効果は有る気がするけどね
ただそれぞれの事件発覚までの時間上の短さは仕方ないにしても、たしかにページ数的にもっと詳細に書き込んでも良かったのではという感は有る
問題は4つ目以降なんだよね、第4の事件だけは舞台を遠隔地に設定していてプロット上の工夫は評価出来るんだけど、第3のトリック以上にトリックの為のトリック感が強く密室状態にする必然性が弱い
さらに拙いのが第5の密室事件で、もうトリック自体が古臭い上にフーダニット面での下手糞さを露呈してしまっていて殆ど蛇足と言ってもいいレベル
最後の第6の事件に至っては、普通に頭の働く読者ならば真相は見え見えでしょう

結論としては、第1~から第3までの不可能事件のトリックは決して悪くないだけに、序盤の展開にもっとページ数を割いて手堅く纏めていたらもう少しマシな感じになったのではと思った
密室とか不可能犯罪のオンパレードに作者自身が酔ってしまった感が有るんだよね

No.2 5点 nukkam 2016/08/09 17:16
(ネタバレなしです) 名探偵アンドレ・ブリュネルシリーズ第4作である1939年発表の本書は密室殺人事件が連続して発生、あまりにも次々と事件が起きるのでゆっくり考える時間を与えてほしいという贅沢な不満も言いたくなるほどです。但し物語としての面白さは全くといっていいほどなく、典型的なバズル・ストーリーです。犯人当てとしては容易になり過ぎた感がありますし密室トリックにも目新しいものがないのでミステリー通の読者にはお勧めポイントがありませんが、各々の事件に異なるトリックを用意している点は評価したいと思います。

No.1 3点 イッシー 2008/02/02 18:42
つまらなかった。
密室トリックが単純だし、犯人もばればれ。


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ピエール・ボアロー
2016年12月
震える石
平均:5.00 / 書評数:1
1988年05月
三つの消失
平均:5.00 / 書評数:3
1986年10月
死のランデブー
平均:5.33 / 書評数:3
1985年03月
殺人者なき六つの殺人
平均:4.00 / 書評数:3