海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格 ]
震える石
アンドレ・ブリュネルシリーズ
ピエール・ボアロー 出版月: 2016年12月 平均: 5.00点 書評数: 1件

書評を見る | 採点するジャンル投票


論創社
2016年12月

No.1 5点 nukkam 2017/01/06 12:00
(ネタバレなしです) ピエール・ボアロー(1906-1989)はフランスでは数少ない本格派推理小説の書き手です。1934年発表のアンドレ・ブリュネルシリーズ第1作の本書でデビューしました。作家として大きな転機を迎えたのがサスペンス小説家のトーマ・ナルスジャック(1908-1998)との出会いです。意気投合した2人は1952年から1970年代まで合作でミステリーを発表しますが、ほとんどが心理サスペンスに分類される作品だそうです(他に子供向けミステリーやアルセーヌ・ルパンシリーズのパスティッシュもあるようです)。さて本書は本格派の謎解きのあるスリラー小説か、スリラー色の濃い本格派か分類に悩みそうな作品です。列車の中で謎の男に襲撃される若い女性をブリュネルが救うのですが、その後も彼女の周辺に謎の男は出没してついに殺人事件まで発生します。ボアローは不可能犯罪作品を得意としましたが本書でも密室からの人間消失を扱っています。第17章で語られる事件背景が「探偵だけが知っていて読者にはヒントさえ与えられない」ものなので本格派推理小説として評価しようとするとアンフェア感が気になってしまいますけど物語のテンポは速くて読みやすく、さりげないですが風景描写は意外とよかったです。


キーワードから探す
ピエール・ボアロー
2016年12月
震える石
平均:5.00 / 書評数:1
1988年05月
三つの消失
平均:5.00 / 書評数:3
1986年10月
死のランデブー
平均:5.33 / 書評数:3
1985年03月
殺人者なき六つの殺人
平均:4.00 / 書評数:3