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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] リマから来た男 カーク将軍&レヴィン卿 |
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ジョン・ブラックバーン | 出版月: 不明 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
東京創元社 |
No.1 | 4点 | クリスティ再読 | 2019/06/18 20:59 |
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重版がなくて創元のブラックバーンで一番の入手難だが、入手難だから名作...ということはエンタメだもん、ないよ。「小人たち」「薔薇の環」と比較して2枚くらい落ちる。重版かからなかったのも納得。レギュラーの細菌学者レヴィン卿・元KGBでレヴィン卿の愛妻タニア・英国諜報部を仕切るカーク将軍のトリオ登場の作品である。
イギリスの対外協力相など、政治家の暗殺が続いていた。有名だったり影響力が強い政治家ではない、陣笠クラスの「なぜこの人が?」となるような小物ばかりなのだ。イギリス対外協力相を殺した暗殺者は、直後に車にはねられて死んだのだが、その血液に奇妙な原虫がいることにレヴィン卿は気づく。この原虫はドイツの狂気の学者が、南米の小国ヌエヴェ・レオンで見つけたと報告したものに似ていて、しかも暗殺された政治家たちは、何らかのかたちでそれぞれにヌエヴェ・レオンの開発計画と関係していたのだ。レヴィン卿夫妻とカーク将軍は真相を追ってヌエヴェ・レオンに旅立つ。折しもヌエヴェ・レオンではクーデター騒ぎがあり、一行の面前で協力を約束した大統領が暗殺された。これも一連の暗殺の続きのようだ。狂人学者が原虫を発見したとされる、密林の奥地「天国の窓」に向かって川を遡行する旅が始まる... という話。この原虫は感染者を気分爽快かつ気力充実させる、麻薬めいた作用がある反面、一定の間隔で地衣類から抽出した薬品を服用しないと、逆に感染者を攻撃して死に至らしめる、という麻薬どころじゃない「奴隷化」作用がある。レヴィン卿は意図的な感染源がいるのでは、と疑っていたのである....となってくると、はい、ブラックバーンらしいB級テイストが立ち上ってくるわけ。南米の奥地というわけで「黒い絨毯」みたいな軍隊アリに襲われるシーンもあって、B級テイストは皆さん、期待通りじゃないかな。けどね、安っぽいからご用心。 まあ本作、それ以上の面白さみたいなものは、残念だけども、ない。それでも川を遡る旅が「地獄の黙示録」みたいに見えるときがあるのが...隠し味かなあ。 |