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[ サスペンス ] 憲兵トロットの汚名 |
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デイヴィッド・イーリイ | 出版月: 1968年01月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1968年01月 |
早川書房 2004年11月 |
No.1 | 4点 | クリスティ再読 | 2019/06/16 14:50 |
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短編名手イーリイの初長編である。
第二次大戦直後のフランスに進駐する米軍の憲兵トロットは、同僚マレイのヤミ容疑による逮捕をわざと逃した疑いで、同僚たちから責められていた....嘲る後任者をはずみで殴り殺したトロットは脱走してパリを目指した。何としても疑いを晴らして、根源のマレイをこの手で捕まえるんだ... と復讐に燃えるトロットを主人公とした...と思わせながら、実はそういう小説ではない。確かに導入はそのとおりなんだけど、あっさりトロットはマレイと行きあってしまい、行き場のないトロットはマレイが属する、偽憲兵をつかった美人局一味に加わることになる。なので、トロットとマレイの腐れ縁の話といった感じのものだ。トロットは手柄を立てて返り咲きたい心もあって、何回もマレイを密告しようとするが、そのつど邪魔が入ってうまくいかない。そのうちに、この美人局一味も空中分解し、なんやらナチ残党絡みらしい話に巻き込まれていく.... まあ、なんというか、ヘンな話である。イーリイらしいヘンさかもしれないが、どうみても不発。トロットの心理を書き込みすぎてて軽快さがない。トロットも何となくマレイに丸め込まれて、しかもマレイ、裏切られるのを承知しながら恩を売るような、食えない悪党である。本当に腐れ縁としかいいようのない、しょうもない関係である。シーンをうまく短編で切り取ったらそれなりに面白いのかもしれないが...ちなみにトロットもマレイも、憲兵でも所属はCID(犯罪捜査部)だから、刑事みたいなものである。悪徳警官モノの変形かもね。 次の「蒸発」とかもっと面白いんだがねえ。 |