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松崎有理 出版月: 2017年06月 平均: 6.33点 書評数: 3件

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筑摩書房
2017年06月

筑摩書房
2017年06月

No.3 6点 糸色女少 2022/11/27 23:29
ある秘密のために数学ができない少年と心優しい天才数学者の幽霊が交流する表題作、動物実験が全面的に禁じられた世界で「彗星病」と呼ばれる不治の病と医師たちが命懸けで戦う「たとえわれ命死ぬとも」など、六編を収録している。
印象深いのは無知と盲信の恐ろしさだ。例えば「やつはアル・クシガイだ」。トリックをを見破る能力に長けた元奇術師・ホークアイ、世界的な科学賞を二度受賞したワイズマン博士、二人の補佐役を務めるマコトが、疑似科学バスターズとしてある殺人事件を調査する。売れないホラー作家がジョークのつもりで出したトンデモ本が、未曽有の惨劇の引き金になる。「ひとは幻想の幻想ではなく、真実の幻想を求めているんだ」というホークアイのつぶやきは忘れがたい。ポスト真実が幅を利かせる今、絶対に起こらないとは言えない話でゾッとする。次に収められている「バスターズ・ライジング」も切なく、疑似科学バスターズの物語がもっと読みたくなる。

No.2 7点 虫暮部 2020/02/08 10:51
 可笑しな味わいの、しかしなかなかの佳作揃いだと思う。もとより決してリアルな設定の話ではないが、語り口の醸し出す絶妙な嘘っぽさが本書を特別なポジションに引っ張り上げている。

No.1 6点 人並由真 2018/03/19 18:06
 半年かけて、少しずつ味わうように、ちびちび楽しんでいた中短編集。
 早川の「異色作家短篇集」を21世紀の国内作品として再生させたら、こんなのになるんじゃないかなという感じでとても愉しかった。
 ジャンルを超えて、本を読むことは面白いと素直に思える一冊である。


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松崎有理
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