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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] スカイティップ |
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エリオット・リード | 出版月: 1960年01月 | 平均: 4.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1960年01月 |
No.1 | 4点 | クリスティ再読 | 2018/02/25 00:01 |
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アンブラーがチャールズ・ロッダという作家と合作で発表したエリオット・リード名義は5作あるが、これがその第一作。「航空冒険小説の決定版!」なカッコいいタイトルである...嘘です。「スカイティップ」というのは採掘跡にできる排石の山「ズリ山」のことである。主人公の建築家は仕事のしすぎでノイローゼ気味になったことから、医師のすすめでコーンウォールの田舎で静養することになった。そこで知り合った政治評論家は何かに怯えているようだ....果たして政治評論家はロンドンに用事がある、と言って出たまま失踪した!
まあそんな話で、その背景にはアーサー王気取りの、右翼泡沫政党の党首の過去のナチ協力歴を巡る恐喝事件があった。怪しげな政治ゴロたちが暗躍する中で、主人公はその証拠書類の争奪戦に巻き込まれていく。クライマックスはその「スカイティップ」、ズリ山のトロッコでのアクションで終わる...というわけで、リアルって言えばリアルなんだが、右往左往する連中のほとんどがイギリスのナチの(元)シンパたちで、早い話がヤクザまがいの卑小な政治ゴロどもである。おおよそチンケな連中ばっかりだ。陰謀のスケール感もまったくないし...でカッコ悪いこと甚だしい。 舞台となるコーンウォールの地方色とか出てるが、およそロマンには程遠いというか、そういうロマン性の下らなさを強調したような、反ロマンな小説である。読んでて盛り下がって、何か、困る。今一つ真相解明感もなくて、すっきりもしない。「アンブラーにハズれなし」と思ってきたけど、こういうのもあるか(「反乱」はもっと面白い)。 |